イベントレポート

展示会場でみかけた各種ガジェットとスマートフォンアクセサリ

~なんちゃって「Surface Pro」も中国メーカーが展示

会場:ドイツ連邦共和国 ハノーバー市 ハノーバーメッセ

会期:3月5日~3月9日(現地時間)

一見すると「Surface Pro」に見まがうデザイン

 ドイツで開かれているCeBITで、中国のHKCグループはWindows 8タブレットを出展した。一見しただけではMicrosoftの「Surface Pro」に非常によく似ている。製品の型番は「HR116」で、OEM向けの製品。11.6型で1,366×768ドットの液晶ディズプレイを搭載する。本家のSurface Proは、10.6型で1,920×1,080ドットなので、ディスプレイとしては一回り大きいが解像度は低い。外観は見ての通りそっくりで、やや剛性に不安がありそうな感じだがキックスタンドなど本家と同じ仕様も備える。

 OEM向けということで搭載するCPU、メモリ、SSD容量などは柔軟に対応するようだ。展示サンプルのシルクスクリーンには32GBの表記があるが、手書きのスペック表によると最大128GB。そのほか、本家にはない3G通信のオプションもあるようで、本体の上部にはmicroSDスロットと並んで、標準サイズのSIMカードスロットらしきものも見える。底面にはSurface Proと同様の電気的な接点も見えるが、用途についてはブースにいた説明員も分からないとの答え。モックアップではないようだが、起動を確認することはできなかった。

なぜか手書きのスペック表。OEM先の要求に合わせて搭載するCPUやメモリ、SSD容量は変更が可能とのこと
本体の背面。OEM向けということで、製品名の部分は仮に「BRAND」となっている
キックスタンドの裏にあるシルクスクリーン印刷。Windows 8、32GBの表記に加えて、FCC、CEなどの認証ロゴも見える
Surface Proには1つしかないUSBポートも2つ備える。Surface ProはMini DisplayPortの外部ディスプレイ出力だが、こちらはMini HDMIを採用する
スペックは不明だが、LEDフラッシュ付きの背面カメラを搭載。側面のボタンはボリューム部分
microSDカードスロット(左)と、3G通信用と思われる標準サイズのSIMカードスロット

 イタリア企業のM31グループが出展していた“Android Watch”の「WEAR IT」。Mobile World Congressでは「i'm Watch」を出展していたが、それとは異なる製品。M31グループはベンチャーキャピタルのようで、同グループの組み込みソリューションを利用するガジェットを、「Si14」の名称で支援および紹介している。後述する「GlassUP」も同様。

 WEAR ITは、OSにAndroid 4.0を搭載する腕時計型のデバイス。展示はプロトタイプということで本体部分とベルト部分が別構造だが、トレッキングやスポーツにフォーカスしているということで、製品化の際にはラバーによる一体構造になるらしい。ラインナップは「WiFi」、「GPS」、「Pro」の3モデル。トレッキングなどをターゲットにしたGPSモデルには、いわゆる通信機能がなく、WiFiモデルではGPS機能がない代わりにIEEE 802.11b/g/nとBluetooth 4.0LE、ANT+を搭載する。Proモデルは全部入り。

 CPUはCortex-A8でメモリ領域は256MB、ストレージ部分は2GB。画面の解像度は240×240ドット。全モデルに電子コンパス、歩数計、USB 2.0を搭載する。開発者向けにはSDKも提供するほか、App Marketも用意される。出荷予定は2013年の5月で、価格は最上位のProモデルが299ユーロ。ワールドワイドで販売を行なう予定とのことだが、日本市場についてはディストリビュータを探している段階だという。

Android搭載のスマートウォッチ「WEAR IT」。スポーツ向けにフォーカスしている
GlassUP
おなじくM31グループがサポートする「GlassUP」。メガネのリム部分のユニットから、レンズ面に映像を投影する。表示は黄色の単色。シースルーで視界を完全に遮ることはない。解像度は320×240ドット。加速度センサー、電子コンパス、ライトセンサー、高度計などの各種センサー類を搭載する。通信機能はBluetooth。Android、iOS、Windows Phoneに対応するサードパーティ向けのSDKも用意される。価格は299ユーロですでにプリオーダーを受け付けており、2013年9月に出荷開始の見通し
ヘッドマウントディスプレイの「cinemizer OLED」を展示したCarl Zeissのブース

 ドイツの光学機器メーカー、Carl Zeissが出展したヘッドマウントディスプレイ(HMD)「cinemizer OLED」は、有機ELディスプレイを使ったメガネタイプ。870×500ドットのディスプレイを左右両眼部分に搭載する。NVIDIAの3D Visionシステムと、NVIDIA 3DTV Playに対応しており、対応するゲームやコンテンツでは3D表示が可能。

 ヘッドトラッキングのアタッチメントが付属しており、コンテンツによっては首を振ったり身体の向きを変えることで異なった視界が開ける。用途としては、HMDとして3Dゲームに利用したり、クアッドリコプター(4翼ヘリコプター)などに搭載したカメラの一人称視点の表示、あるいは3Dビデオ撮影時の同時モニタリングなどを想定している。

 iOSデバイスに対応する30ピンコネクタのアダプタも付属。iPhone 5以降のLightningコネクタに対しては、Apple純正の「Lightning - Digital AVアダプタ」を使ったHDMI経由で入力が可能とのこと。製品はすでに出荷済み。価格は650ユーロ。

「cinemizer OLED」。両眼の部分に870×500ドットの有機ELディスプレイを搭載。左右に見えるダイヤルは視度調整用。ヘッドトラッキングのアタッチメントも取り付けられる
iOSデバイス接続用の30ピンコネクタ用アダプタが付属する。Lightningコネクタを使う場合には、Apple純正の「Lightning - Digital AVアダプタ」でHDMI出力を利用する
Carl Zeissブースに展示された独Microdronesのクアッドリコプター「md-4-1000」。過去にPhotokinaでもデモされていたが、ミラーレス級のカメラを搭載して飛行可能。スポーツカムなどを使って一人称視点の映像を「cinemizer OLED」に表示できる

 iOSデバイスとつながるアナログ腕時計「COOKOO」。BluetoothでiPhone 4S以降、iPad (第3世代以降、miniを含む)、iPod(第5世代)と接続する。iOSデバイスへの着信やSMS通知、カレンダー、アラームなどが文字盤に表示される仕組み。

 腕時計側からも、GPS機能をもとにしたFacebook、Foursquareへのチェックイン、カメラのリモートレリーズなどを行なえる。やや本体が大きめだが、表示が何もないときの見かけは通常のアナログ時計と変わらないシンプルさだ。すでに129ドルで販売を開始しており、対応するアプリケーションはiTunes Storeからダウンロードが可能。ソフトウェアによってさらに機能追加が行なえるとしており、今後はAndroidスマートフォンにも対応を予定している。

iOSデバイスに接続可能なアナログ腕時計「COOKOO」
やや大ぶりだが、一見はシンプルなアナログ腕時計。充電機能はなく、Bluetoothの駆動用にCR2032電池を利用する。電池の交換は自分で行なえる
リュウズのほか、周囲には4つのファンクションボタンが付いている
製品はすでに出荷済みで、価格は129ドル。すでに日本国内でも輸入品が購入できる

 韓国のDio Systemsが出展した「Sixth Sense」。Galaxy Note IIのジャケット型コントロールユニットで背面のみで各種操作を可能にする。本体とはMicro USBで接続。マウスやタッチパッドなどの機能はAndroid標準のHIDドライバを利用するため、専用アプリケーションなどをインストールすることなく利用できる。

 背面には3つのボタンと、いわゆるカーソル機能となるタッチパッドがある。背面操作でできることは、内側カメラ撮影時のフォーカスエリアの選択、着信時のワンタッチ通話、メインスクリーンの切り替え、マウスカーソルのポインティング、ショートカットの選択、画面のスクロールなど。韓国内では1カ月ほど前に出荷済みで、CeBITを機にEU圏でも販売する意向。価格は約33ユーロ。現在はGalaxy Note II向けの製品のみだが、今後はGalaxy S4(と呼ばれるSumsungの次期製品)など単体で大規模な出荷が見込める端末へは対応製品を発売するとしている。

Sixth Senseはジャケットタイプの背面コントローラ。撮影は不可だったが、ブース内にはメインユニットとなる基板も展示されておりユニット自体はほかの端末向けにも流用が可能。今後は次期Galaxyシリーズなどに対応していくとのこと
Lightors
こちらも韓国メーカーによる「Lightors」。2,400mAhのポータブルバッテリに、グリップエクササイズ機能を搭載。握る動作の繰り返しで発電が行なえる。本体にはLEDライトやSOSアラーム、あるいは音波による虫除け機能などもあり、サバイバルキットに近い。実際に発電をしてみたが、スマートフォンでは発電量より消費量の方が多いため発電しながら使い続けるのは無理がある。単純に非常用の発電なら、手回しのハンドルタイプの方が効率がいい。あくまでエクササイズのついでに充電もされると考える方がよさそうだ
Woddon Internationalのデジタルトイ製品
IFAなどにも出展されているWoddon Internationalのデジタルおもちゃ。同じクアッドリコプターでも「AR.Drone」などのような精巧さはないが、おもちゃとして楽しめる価格と手軽さがある。今回は飛行船タイプのカメラ搭載製品を発表。多くはiOSとAndroidの両対応で、専用アプリケーションをダウンロードして利用する
AHOKUの電源関連製品
AHOKUのトラベルアダプタ。世界対応のコンセント形状変換のほか、有線LANを無線LANにするルーター機能を備える。側面にあるUSBポートは2.1A出力に対応しており、iPadなどの充電も可能。日本/米国向けの2本タイプが、オーストラリアなどで利用されているハの字型の2本タイプにもスライドするのは面白い機能
台湾AHOKUのBluetoothに対応したテーブルタップ。Android端末とBluetoothで接続して、コンセントの口単位で接続機器の電源オン/オフができる。デモ製品は常時オンが2口で変更可能なものが4口。コンセントの口数は注文に応じて変更が可能とのこと。専用アプリケーションはGoogle Playで提供される。後日、iOSデバイス向けのアプリケーションもApp Storeから提供予定

ドイツ国内の2大モバイル通信キャリアがNFCをデモ

 日本市場においては、スマートフォンの新製品は基本的に通信キャリアの発表会で披露され、そのあとで端末メーカーによっては個別に製品説明会が行なわれるというスタイルがほぼ定着している。最近ではASUSによるPadfone、今後はGoogleのNexus 4など、いわゆるキャリアとの契約を伴わないグローバルモデルの販売も行なわれているが、世界市場ではこちらの方がすでにスタンダードだ。

CeBITに出展した大手通信キャリア、VodafoneとDeutsche Telekom(ドイツテレコム)のブース。ほかにもドイツにはE-Plus、Telefonica系のO2といったキャリアもある

 CeBIT開催の前週にあたる2月25日から28日にかけて、スペインのバルセロナでMobile World Congressが開催され、本誌でも多くのレポートを掲載した。レポートの通り、多くのスマートフォン製造メーカーから数多くの新製品が発表されている。そしてCeBITとなるわけだが、ドイツ市場をターゲットとするドイツの大手通信キャリアであるTelekom(ドイツテレコム)とVodafoneは、いずれもCeBIT会場内に大きなブースを構えている。そのブースにはMWCなどで発表された新モデルが淡々と並んでいる。ユーザーはこうした新モデルをキャリアからコントラクト(任意契約期間)付きで購入することはもちろん、家電量販店では扱われている比較的安価なスマートフォンを購入して任意のキャリアと契約を結ぶこともできる。

Vodafoneブース
Vodafoneのブースに展示されていた「BlackBerry Z10」。純正アクセサリのBluetooth対応スピーカーは、カバンのベルトに挟んで使えるユニークなデザイン
Vodafoneブースの端末展示テーブルの様子。大手メーカーの中ではSamsungとBlackBerryが2テーブルで、ほかは1テーブルずつという配分
Vodafoneブースで紹介されているLTEのカバレッジ。Vodafoneによると800MHz帯を利用するVodafone側が現時点のカバレッジでは有利と説明した。もちろんドイツテレコム側の言い分は異なっている。RealLTEは、日本で言えばXi(クロッシィ)のようなサービスブランド名
VodafoneブースでのNFCサービスの紹介。スライドによる紹介が中心決済の仕組みはMWCのレポートとほぼ同じで、セキュアエレメントを搭載するSIMを利用する。パートナーはVISA。ほかにクーポンサービスなどが準備されている点も、MWCにおけるNFC Experienceとよく似ている
ARを使った買い物ソリューションのデモ。商品が表示されているディスプレイにスマートフォンのカメラをかざすと、商品を認識してカートに品物が追加される
ドイツテレコムブース
ドイツテレコムブースのNFCコーナー。スライドによると決済を含んだNFCサービスの開始時期は2013年。ドイツテレコムのパートナーはMasterCardで、PayPassを利用する。ブースには実際に利用できる自販機も展示された
決済デモンストレーションの様子。手順等はやはりMWCのレポートで紹介した内容とほとんど変わらない。ポーランドにおけるドイツテレコム系の通信キャリアではすでに導入済みとのこと。やはりセキュアエレメントを搭載するSIMを利用する
ドイツテレコムブースの端末展示の様子。いずれもメーカーごとに丸テーブルで展示されている。NOKIAの展示はなかなか楽しいものだった

(矢作 晃)