イベントレポート
NOKIA、Windows Phone 8対応の新モデル、Lumia 720/520を発表
~新興国向けには15ユーロのSymbianスマートフォンも投入
(2013/2/27 00:00)
日本からの視点では、最近はすっかりAngry BirdsのROVIO Entertainmentにお株を奪われてしまった感はあるものの、フィンランドのIT企業といえばNOKIA(ノキア)が筆頭だ。欧州市場はもとより北米市場、そして中国などの新興市場にも多くの製品を投入し続けており、依然としてそのブランド力は揺らいでいない。Microsoftのパートナー企業としてWindows Phone 8を搭載する「Lumia」シリーズを次々に投入してきた。日本市場からは撤退して久しいものの、Windows Phone 8のリリースを機にした日本市場再上陸が繰り返し囁かれている企業でもある。
そのNOKIAは、2011年に一度はブース出展を取りやめながらもMobile World Congressへの再出展を果たした2012年に続いて、2013年も会期初日にプレスカンファレンスを開催した。現在のCEO(最高経営責任者)は、2010年に米MicrosoftのプレジデントからNOKIAのCEOへと転身したステファン・エロップ(Stephen Elop)氏。同時にNOKIAはスマートフォンOSの戦略をSymbianからWindws Phoneへと移す大きな舵をきり、現在に至る。
今回のプレスカンファレンスで発表されたスマートフォンは、Windows Phone 8搭載の製品としては普及価格帯にあたる製品で2モデル。「Lumia 720」と「Lumia 520」は、それぞれ249ユーロと139ユーロの市場想定価格となっている。
Lumia 720はプロセッサにSnapdragon S4 1.0GHzを搭載する。ディスプレイサイズは4.3型(480×800ドット)でIPS液晶。本体ストレージは8GBで、microSDカードスロットを搭載する。バッテリはフラッグシップモデルのLimia 920と同容量の2,000mAh。背面カメラには670万画素のカメラユニットとカール・ツァイスレンズを採用する。レンズのF値は1.9。内側カメラはワイドアングルに対応した130万画素。「Lumia 920」と同様にバックパネルの交換でQi規格のワイヤレス充電にも対応する。
本体サイズは67.5×129.7×9mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は128g。通信方式はGSM(850/900/1,800/1,900MHz)とWCDMA(850/900/1,900/2,100MHz)で、LTEには対応しない。無線LANはIEEE 802.11b/g/nに対応し、Buletooth 3.0、NFCを搭載する。本体カラーは、イエロー、シアン、レッド、ホワイト、ブラックの5色。2013年第1四半期中に香港、ベトナム、シンガポール市場で発売される。第2四半期にはヨーロッパ、アフリカ、インドそして中国にも販売地域を拡大する。
下位モデルのLumia 520もSnapdragon S4 1.0GHzを搭載する。ディスプレイサイズは720より一回り小さい4.0型(480×800ドット)。本体ストレージは8GBでmicroSDスロットを搭載する。背面カメラは500万画素。バッテリ容量は1,430mAh。
本体サイズは64×119.9mm×9.9mm(同)で、重量は124g。通信方式はGSM(850/900/1,800/1,900MHz)とWCDMA(900/2,100MHz)。無線LANはIEEE 802.11b/g/nに対応し、Bluetooth 3.0を搭載する。本体カラーはLumia 720と同様にイエロー、シアン、レッド、ホワイト、ブラックの5色構成。2013年第1四半期中に香港とベトナムで、第2四半期以降にヨーロッパ、南米、アフリカ、インドそして中国に販売地域を拡大する。
また、中国最大のキャリアである中国移動(China Mobile)向けには「Lumia 920T」に続いて、Lumia 720/520のTD-SCDMA対応製品も投入して中国市場におけるシェア拡大を図る。
関連周辺機器としては、NFC対応のワイヤレス充電台と、同じくNFCとワイヤレス充電対応のカークレードルを発表。近日中に出荷を開始する。いずれもNFCを搭載することで、例えば自宅で充電を始めた際に自動的に時計や天候の画面を表示させたり、車に乗った際には通話機能をドライブモードに切り替えてナビゲーションアプリを起動するといった使い方ができる。
【お詫びと訂正】初出時、Lumia 520もNFC対応としておりましたが、非対応です。このほか、「Lumiaシリーズとしては初めてmicroSDカードスロットを搭載」としておりましたがLumia 620/820で搭載例がありました。また「820/920と同様にバックパネルの交換でQi充電に対応」としておりましたが、Lumia 920は標準で対応、820のみバックパネルの交換でQi充電対応となります。以上について本文を修正いたしました。お詫びして訂正いたします。
ソフトウェア/サービス面では、音楽機能に月額サブスクリプションによる「Nokia Music Plus」を追加する。月額料金は3.99ユーロ(約500円)。マップ/ナビゲーション機能は昨秋に発表した「Here」対応のアプリケーションスイートである「Here Maps」、「Here Drive」、「Here Transport」をプリインストールしており、Lumia 720では位置情報にAR機能を追加して表示を行なうことができるようになる。Hereのサービスは、24日に正式発表されたFirefox OSにも提供される予定。
ステファン・エロップCEOはプレスカンファレンスの中で、Windows Phone 8対応のアプリケーションが13万種類を超えたことを紹介したほか、米Coca-Colaをはじめとする世界中の企業でエンタープライズ用途の導入が進んでいる点を強調した。
併せて、スマートフォンがリーチできていない市場が、まだ27億人の規模で存在するとして、そうした新興国市場を対象にして、Symbian OSを搭載する「NOKIA 301」、「NOKIA 105」を発表した。前者はデュアルSIMに対応して市場想定価格が65ユーロ。2013年第2四半期に出荷予定。後者は市場想定価格15ユーロで今四半期中の出荷を目指す。