【IFA 2012レポート】
Dell、キーボードをドッキングできるWindows RT搭載タブレット「XPS 10」
~12型のコンバーチブルノートやタッチ対応の27型一体型も

Dellの記者会見で発表されたDell XPS One 27のタッチ対応版。Windows 8の正式発表以降に投入される見通し

8月30日(現地時間) 開催



 米Dellは、ドイツ時間8月31日から正式に開幕する予定のIFAに先だって、記者会見を開催し、Windows 8/RTの正式発売以降に販売する予定のPC新製品を発表した。

 今回Dellが発表したのは2,560×1,440ドット表示対応27型液晶を搭載した液晶一体型デスクトップPCの「XPS One 27」のタッチ対応版、タッチ対応12型液晶搭載のコンバーチブルノートPC「XPS Duo 12」、さらにQualcommのSoCを採用し、キーボードドックと分離して単体タブレットとしても使えるセパレート型10型ノートPC「XPS 10」の3製品。いずれもWindows 8/RTが正式に発売される10月末以降に市場に投入される。

●すでに販売されているXPS One 27に10点タッチのタッチ機能を実装

 今回Dellが発表した3製品のうちで、一番最初に紹介されたのがXPS One 27のタッチ対応版だ。XPS One 27自体は、すでに発表/発売済みの製品で、日本でも直販サイトで注文することが可能になっている。XPS One 27の特徴は、2,560×1,440ドットという非常に高解像度な27型液晶パネルを搭載したオールインワン(AIO)デスクトップPCであることだ。一般的なAIOはフルHD(1,920x1,080ドット)の解像度を採用したものが多く、これが本製品のアドバンテージとなっている。

 今回展示されたXPS One 27は10点タッチのタッチ機能を追加したもので、Windows 8のタッチUIを利用して、さまざまな操作が可能になっている。フルHDでタッチ対応という製品はこれまでも存在していたが、2,560×1,440ドットでタッチという製品は、筆者の知る限りはおそらく初めてだと思われる。実際に操作してみると、画面が大きく解像度が高いだけで、操作感はWindowsタブレットと何も変わらない感じだ。またヒンジの部分の調節で、水平とまでは行かないものの、かなりの角度まで液晶を傾けることが可能で、快適に操作できた。

展示された製品に搭載されていたCPUはCore i7-3770S(クアッドコア、3.1GHz)で、メモリは6GB。タッチは10点タッチだったヒンジ部最大に傾けたところ、この状態にすると、タブレットのような感覚で利用できる

●回転型液晶パネルを採用したコンバーチブルなXPS Duo 12

 Dellは、今年の年頭に行なわれたInternational CESにおいて「XPS 13」というUltrabookをお披露目し、3月に販売が開始されている。XPS 13は一般的な11型ノートのフットプリントに13型液晶を押し込めた薄型軽量のUltrabookとして注目を集めてきた。その後Dellは、14型の「XPS 14」、15型の「XPS 15」といった大型のUltrabookのラインナップも拡充してきた。

 そうしたDellのUltrabookのラインナップに加えられる形で追加された製品がXPS Duo 12となる。XPS Duo 12は、フルHDの12型液晶を搭載したノートPCだが、液晶パネルが液晶フレームの中央部分を支えにして回転するように作られている。キーボード側に回転させたときにはクラムシェルとして、外側に回転させて閉じた時はスレートタブレットとして利用できる、いわゆるコンバーチブルタイプのノートPCだ。

 なお、フットプリントはXPS 13とほぼ同じだが、厚さに関しては発表会時点では未公表なものの、液晶パネルの回転機構などがあるためXPS 13よりはやや厚めのように見えた。

 プロセッサはCore i7/i5 Uシリーズで、そのほかのスペックや重量、バッテリ駆動時間などに関しては未公表。外見からわかる特徴としては、スレートモード時に利用するためのWindowsボタンが液晶部に用意されていること、キーボードはアイソレーション型であることなどだ。インターフェイスとしてUSBポート×2、Mini DisplayPort×1、SDカードスロット、ヘッドフォン端子などが用意されている。

XPS Duo 12は、Core i7/i5を搭載したコンバーチブルノートPCヒンジ部が回転する仕組み
このように液晶を回転させることで、クラムシェルからスレート型タブレットへと変身させることができる
スレート状態にしたところ本体の右側面にはUSB×2とMini DisplayPort、ACアダプタ端子が用意されていた本体の左側面にはSDカードスロット、ボリュームスイッチ、オーディオ出力などが用意されている

●Windows RTを採用したタブレットPCとなるXPS 10

 記者会見の一番最後に紹介されたのがXPS 10で、これは10型の液晶ディスプレイを搭載したWindows RTタブレット端末だ。標準で「キーボードドック」と呼ばれるキーボードとバッテリを搭載したドッキングステーションが用意されており、本体と合体させるとクラムシェルとして利用できる。Android搭載「ASUS Pad TF」シリーズのWindows RT版だと思えばとっつきやすいだろう。

 QualcommのSnapdragon SoCを採用しており、本体のみで10時間、キーボードドックと併せて利用すると20時間のバッテリ駆動が可能になる。タブレット部分の厚さは10mm以下とされている。

 外見からわかる特徴としては、USBポート×2、HDMI出力と見られるポート、充電やデータ通信などに利用されるマルチポートケーブル用だと思われるコネクタなどが確認できた。解像度に関しては発表会中で言及がなかったので確認出来なかったが、Windows RTの標準的な解像度であれば1,366×768ドットとなるだろう。残念ながら試作機はガラスケースの中に収められており、実際に触って確認することはできなかった。

 なお、Dell PC製品事業部担当 グローバル副社長のサム・バード氏は「今回発表した製品はWindows 8の正式発表以降で遅くとも今年(2012年)末までにに出荷を開始する」という見通しを明らかにした。価格などは現時点では未定で、日本を含むヨーロッパ以外のリージョンでの製品展開の計画に関しても未定とのことだった。

DellのXPS 10は10型タッチパネル液晶を採用したセパレート型ノートPCこのように、スレート部分を分離して、利用することもできる
本体の左側面、USB端子とマルチポートケーブル用と思われる端子が見える本体の右側面。USB端子とHDMI出力と思われる端子が見える

(2012年 8月 31日)

[Reported by 笠原 一輝]