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PFU、スキャナから直接データをクラウド上にアップロードする「ScanSnap Cloud」

~OneDrive/Google Drive/Evernoteなどと連携。無償で利用可能

 株式会社PFUは、スキャナのボタン1つで直接スキャンデータをクラウド上にアップロードする「ScanSnap Cloud」を無償提供開始した。

 対象製品はWi-Fi対応の「ScanSnap iX500」、および「ScanSnap iX100」の2製品。ファームウェアが無償で提供されているので、これにアップデートした後、iOS/Android/Windows/Mac OS Xの設定ツールをダウンロードし設定を行なう。

 これにより、原稿をセットしスキャナのボタンを押すだけで、スキャンデータをルータを経由して、PFUが提供しているScanSnap Cloudサービスに直接アップロードする。ScanSnap Cloudはゲートウェイの役割を果たし、その後OneDriveやGoogle Drive、Evernoteと言ったクラウドサービスに転送する。

 特徴は、原稿を「レシート」、「名刺」、「文書」、「写真」の4つに自動で振り分けし、ユーザーが利用するクラウドサービスに振り分けて転送する点。例えばレシートは会計・個人資産管理を行なうDr.Wallet、freee、弥生会計、名刺はEight、文書はDropboxやEvernote、Google Drive、OneDrive、写真はGoogle Photosといった具合に振り分けられる。振り分け先はユーザーが自由に設定できる(まとめて1つのサービスに上げることも可能)。

 一度ScanSnap Cloudにアップロードしたデータは2週間のみ保存され、クライアントソフトを利用して再振り分けなどを行なうことができるようになっている。この一時保存の期間は設定できない。ScanSnap CloudのサービスはMicrosoft Azureをベースに設計されており、データの保護およびセキュリティの信頼性を実現しているという。

対応機種はiX500とiX100の2製品
原稿を混載しても自動で振り分けられる
ScanSnap Cloudはゲートウェイの働きをし、2週間だけ原稿を保存。その間再振り分けなどができる

 自動振り分けは基本的に原稿のサイズを見て決定している。また、白紙ページを自動的に削除したり、向きを自動的に補正したり、カラー原稿かどうかを自動的に判別する機能などを備えている。また、文書の場合はタイトルや日付を検出し、ファイル名を自動生成する機能も備える。これらはiX500/iX100に内蔵されている自社製の「GI」プロセッサおよびScanSnap Cloudサービスの組み合わせによって処理を実現し、PCレスを実現した。

 サービス開始時点で対応を謳うクラウドサービスは、OneDrive、Google Drive、Evernote、Dropbox、Eight、Dr.Wallet、Freee、Streamed、Google Photosの9つ。MFクラウドは12月上旬、弥生会計は2016年中に対応する予定としている。

ルーターを介して自動的にデータをアップロードする
アップロードしたデータは振り分けられる
従来、デバイスの起動、原稿の仕分け、スキャン、クラウドへのアップロード、ファイル名の変更など、複数の手順が必要だったが、ScanSnap Cloudでは原稿を混載して一発で転送できる
4つの種別に自動判別する
ファイル名を自動生成する
これまでPC上で行なっていた白紙削除機能や向き補正機能などをクラウド上で行なう
設定はアプリから1回だけ行なう
内蔵するGIプロセッサ
Microsoft Azureを利用して基盤を設計
PFU 代表取締役社長 長谷川清氏

 同日に開かれた記者発表会では、PFUの代表取締役社長 長谷川清氏が挨拶。近年、IoTやクラウドといった言葉が当たり前になりつつあるが、PFUとしてはこれまでクラウドサービスに対して、ユーティリティ上からボタン1つで容易にアップロードできるようにしたり、EvernoteやEight、Freeeとの個別コラボモデルを展開してきた。

 今回は、PFU自身がクラウドサービスを提供開始し、“ドキュメントIoT”を提案するという。「我々は2001年にUSBでPCと接続するスキャナを投入したが、USBケーブルが存在する以上置く場所が限られていた。2012年のWi-Fi対応化でこの問題を解決したが、それでも利用するためにはタブレットのような端末が必要だった。今回のScanSnap Cloudの投入によって(スキャン作業に関しては)デバイスレスを実現し、よりスキャナをビジネスや生活で活用しやすくなった」と語る。

2001年当初、スキャナとPCの接続はUSBだった
2012年にWi-Fi対応のScanSnap iX500を投入し、タブレットのような端末でもスキャン可能に
ScanSnap Cloudの登場により、ついにデバイスレスのスキャンを実現する

 もちろん一般文書や名刺の管理にも使えるが、PFUがターゲットとしている主な市場は「Fintech(フィンテック)」である。つまり(ScanSnap Cloudのような)技術を利用し、企業の資産運用や資産管理、決済、金融情報、ソーシャルレンディング、会計などの業務の効率化だ。そのためにFreee、MFクラウド、STREAMED、弥生会計などとの連携を図っており、OCR技術などを利用して、領収書やレシートなどを管理できるようにしている。

 発表会には、連携するクラウドサービス各社の代表が登壇し、自らのサービスの特徴を紹介するとともに、ScanSnap Cloudの立ち上げに際しての祝辞を述べた。

近年のITキーワード
IoTではモバイルデバイスや、ヘルスケア、家電、自動車などがクラウドサービスに繋がることを前提している
現在主に利用されているクラウドサービスの種類
PFUが提案するドキュメントIoT
特にPFUがターゲットとする市場はFintech

(劉 尭)