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インテルが描くITの近未来像とは?

~視線入力UIや街全体と対話する車など

会場の様子

 インテル株式会社は14日、「インテルフューチャー・ショーケース2014」と題して、現在利用可能なものから、同社が近い将来実現すると考える近未来のコンセプト技術などを一堂に披露する報道関係者向けイベントを開催した。

 IoTの普及・発展に伴い、ネットに繋がる端末の数は2015年からの5年間で3倍以上になると言われる。イベントの冒頭で挨拶した同社執行役員マーケティング本部本部長山本専氏の自宅には現在、PCやゲーム機、TVなど12の接続可能な端末があると言うが、同氏はこれから5年間で個人のPCの数が3倍になるとは思えないと話す。つまり、3倍になった暁には、新たな種類の端末が登場しているということだ。

 今回のイベントで展示されたのは、そういった「今日」の端末から、登場間近の「明日」の技術、そして将来に向けて開発が進む「未来」のコンセプト技術など、約30種類。また、先日リニューアルオープンしたインテルつくば本社のインテルコラボレーションセンターのデモもいくつか展示された。こちらはハードウェア自体はインテルが製造していないが、技術面で協業したり、メーカー同士のつなぎ合わせなどを行なっている。以下に、写真で紹介する。

 なお、このイベントはIntelがワールドワイドで実施してるもので、アジアでは日本が初。この後、台北とシンガポールでも順次開催する。

今日

IoTによるクラウドI/Oアクセスの例。こちらはGalileoを使い、特定のハッシュタグでツイートを行なうと、クラウドでそれを検知し、端末に信号が渡され、シャボン玉メーカーに電源が入りシャボン玉が飛ぶ
こちらはEdisonでのデモ。スマートフォンで色を指定すると、Edisonに繋がったLEDチューブの色が変わる。デモの内容は単純だが、ポイントはこれらの端末がインターネットに繋がっているということ。デモもP2PのWi-Fiではなく、きちんとクラウドを利用している。この応用で、自宅の家電を屋外から制御という応用も(法規制は別として)技術的には簡単に実装できるだろう

明日

SMS Audioの「BioSport」イヤフォン。イヤフォンに赤外線センサーを搭載することで、心拍数を計測可能。音楽を聴きながらのジョギングで心拍数を計測するには、今まで複数のデバイスが必要だったが、これはそれを1つにまとめた。外部電源が不要なのも特徴
Intelが買収したBasisの活動量計。写真では見えないが背面に光学式の心拍計などを備え、汗で濡れたりしても安定して計測できるようになったという。海外では来週発売
インテルの3DカメラRealSenseとASUKANETのパネルを組み合わせた浮き出るディスプレイ。写真では分からないが、画面がパネルの手前にそそり立つ。そこに手をかざしたり、指で指すとRealSenseが距離を読み取り、タッチやスワイプ動作を検出する。真ん中の写真がRealSenseの中身。日本でも富士通の液晶一体型PCにすでに組み込まれているが、薄型のため海外ではDellがタブレットにも搭載している。タブレットでは手に持って人物の周りを一周撮影すると、人物の3Dモデリングデータを瞬時に作成可能。色も読み取れるので、カラーの3D人物データがすぐにできる

未来

未来のデモは、IoTにより街の隅々にセンサーが設置されたという想定の下での運転
カーシェアで車を借りた場合、現在ではスマートフォンによる認証を行なっているが、未来の車ではRealSenseの発展版のようなカメラが運転手の認証を行なう。また、運転手の嗜好もクラウドで参照し、お気に入りの音楽を流したりする
HUDに表示されている真ん中の数字は現在の速度で、その左上に出ているのはその道路の制限速度。この情報もIoT経由で取得している
信号の情報も取得
ダッシュボードの計器類も瞬間的に警告を出したりする。赤信号でアクセルを踏み続けると、強制的に停止させることも可能
前方にスクールバスがいることを検知し、即座に代替ルートを提示
運転手の娘が途中で乗車したという状況では、助手席のモニターが娘向けの表示に変わる。お腹が空いたといった発言を認識し、お勧めのレストランを表示
最寄りの駐車場空き情報もリアルタイムで表示される
駐車の際は自動運転に

コラボレーションセンター

これはすでに法人向けだが発売されている富士通の静脈認証センサー付きUltrabook。手をかざして、静脈のパターンを読み取り認証を行なう。パスワードや指紋よりも強力かつ簡単にセキュリティを確保できるという
一方こちらは開発中のソリューションで、タブレットなどのWebカメラを使って静脈パターンを読む。Webカメラでは静脈パターンの読み取り精度が低いため、手のひらの指紋に相当する掌紋も読むことでユーザー認証を行なう。Android版は完成しており、現在Windows版を開発中。開発元はユニバーサル・ロボット
tobiiの技術を使った視線入力デモ。例えば地図を表示した際、目線を上下左右に動かすと、その方向に自動的にスクロールする。用途やUIは開発途上ではあるが、かなり高速な追随性を見せていた。真ん中の写真に見える、ヒンジ部にあるのが赤外線センサー。薄く作れるのでノートPCにも内蔵できる。日本でも興味を示しているPCメーカーがあり、早ければ2015年にもこれを搭載したノートPCなどが出てくるかも知れない
インテルも加盟するA4WP規格の無接点充電。磁気共鳴方式を採用しており、Qiなどで使われている磁気誘導方式に比べ、距離や範囲に融通性があり、充電台の大体の場所に置くだけでよく(真ん中の写真の光っているところが充電可能範囲)、範囲内なら複数も同時受電できるといったメリットがある。このデモでは、スマートフォンの背面カバーとタブレットカバーにレシーバを装着している。2015年第1四半期にも製品化され、当初は5W程度の給電能力だが、下半期には15~20W程度になりノートPCも充電できるようになる見込み

(若杉 紀彦)