イベントレポート
Intel、2015年にはA4WPとWiGigでPCの完全無線化を実現
(2014/6/5 14:01)
- 会期:6月3日~7日(台湾時間)
- 会場:
- Taipei World Trade Center NANGANG Exhibition Hall
- Taipei World Trade Center Exhibition Hall 1
- Taipei World Trade Center Exhibition Hall 3
- Taipei International Convention Center
米IntelはCOMPUTEX TAIPEIの2日目(台湾時間6月4日)に記者会見を開催し、同社のさまざまな新技術などを報道関係者や同社のパートナー企業に説明した。
この中でIntel上席副社長 兼 PCクライアント事業本部 事業本部長 カーク・スコーゲン氏は「Broadwellの次の世代で、IntelはA4WP(Alliance for Wireless Power)に準拠した無線給電技術をノートPC、2-in-1、タブレットなどに適用できるようにしたい」と述べ、2015年に計画しているSkylake(スカイレイク、開発コードネーム)搭載デバイスにおいて、同社が幹事企業を努める業界団体A4WPの無線給電規格を実装する意向を明らかにした。
PCメーカー、EMS/ODMメーカー、周辺機器メーカーが新たにA4WPのメンバーに
記者会見の中で、スコーゲン氏は「我々は20Wを越える電力を供給できる無線給電に関する知的所有権やスタックを持っており、これをパートナーにリファレンスデザインの形で提供する。これにより顧客はフル無線のPCやタブレットを設計できる」とし、A4WPでノートPC、2-in-1デバイス、タブレットなどに給電する技術を、リファレンスデザインとしてOEMメーカーに提供する方針を明らかにした。
現在A4WPは、Intelのほか、Broadcom、Gill Electronics、IDT、Qualcomm、Samsung Electro-Mechanics、Samsung Electronics、WiTriCityが幹事企業として構成されている。多数の機器ベンダーなども参加しているが、最近新たに富士通、Lenovo、Dell、Logitech(日本ではロジクール)、Foxconn、パナソニック、ASUS、東芝といったPC業界ではお馴染みの企業がA4WPに加わった。
PCメーカーに加えて、EMS/ODMベンダーのFoxconn、そして周辺機器ベンダーのLogitechがメンバーに加わったことにより、製造メーカーや周辺機器メーカーまで、本体メーカーから給電器メーカーまで一通りエコシステムが揃い、A4WPの普及に向けて拍車がかかりそうだ。
A4WP、WiGigのリファレンスデザインは2015年のSkylake世代から提供される
また、Wi-Fiの普及を目指して設立された業界団体Wi-Fi Allianceが策定した(別記事参照)WiGig(ワイギグ)のデモを行なった。WiGigは短距離(10m程度)ながら数Gbpsと超高速なデータ通信を可能にする方式で、現在Wi-Fi Directで利用されているアプリケーションを置き替える規格として期待されている。
スコーゲン氏のデモは、このWiGigを利用して、ドッキングステーションにタブレットを無線で接続し、無線ディスプレイを高速かつ高解像度で接続するものだった。現在のWiDiやMiracastなどはWi-Fiの帯域に依存するため、実質的にはフルHD程度の画面しか出せないことが多い。しかし、WiGigを利用すれば、4Kなどより高解像度なディスプレイに無線で接続しながら、外付けHDDにバックアップすることが可能になる。
「A4WPやWiGigのリファレンスデザインは、2015年にリリースする予定のBroadwellの次世代における薄型ノート、2-in-1デバイスなどで提供したい。A4WPとWiGigの両方を搭載すれば、完全無線でPCを利用できる」と、Skylake世代デバイスでの採用を促した。
Skylakeは2015年の半ば頃に登場する予定なので、2015年の半ば以降に登場するハイエンドの薄型ノートPCや2-in-1デバイスなどに、A4WPとWiGigが採用され始め、2016年には、メインストリームのノートPCや2-in-1デバイスでも、完全無線で利用できる、そんな未来が現実に見えてきた。