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コーニング、抗菌のGorilla Glassや折り曲げられるWillow Glassを紹介
(2014/5/19 17:19)
コーニングジャパン株式会社は19日、都内で記者説明会を開き、同社 LCGグループ 製品技術 部長の進藤克彦氏、およびコーニング ディスプレイ テクノロジー アジア コマーシャル テクノロジー・ジャパン マネージャーの川西直之氏が、現在開発/製造中の製品についての説明を行なった。
コーニングジャパンの親会社である米Corningは、1851年の創業以来、実に163年の歴史を誇るガラス製造会社。日本にも旭硝子のようなガラス専門の製造会社があるが、旭硝子は建築用の一般ガラスを主体とする会社であるのに対し、Corningは特殊用途向けのガラス製造を得意とする。
例えば1879年には、トーマス・エジソンの白熱灯用ガラス球の製造を手がけた。1915年には、世界ではじめて直接火にかけられる耐熱性ガラス「PYREX」を開発。理科室の実験用のビーカーやフラスコなどに用いられた。1947年には、それまで手作りであったブラウン管の大量生産技術を確立し、TVの普及に貢献した。
1970年には、世界ではじめて低損失の光ファイバーを開発し、現在のインターネットの基盤を支え、1972年には、自動車排ガス用セラミックハニカム担体を開発し、現在自動車の触媒コンバータの世界標準を確立。そして1984年には、液晶ディスプレイ用のガラス基板の商業生産を開発するなど、ガラスが持つ可能性を近代技術の開発や普及に繋げてきた。
Corningのガラスは、独自の「Fusion」技術を使って製造される。溶けたガラスを逆五角形の容器に入れ、容器の両端から溢れたガラスを容器に沿って下に流し、逆五角形の下の頂点で1枚のガラスになる。そしてそれを空中にそのまま冷えるまでぶら下げて、固まった後カットするという製造方法となる。一般的にほかの板の上に乗せて伸ばすような製造法と比較すると、空気しか触れないため不純物が極めて少なく、なおかつキズが付きにくいのが特徴だという。
今回の説明会では、液晶ディスプレイ用ガラスにフォーカスされた。液晶には画素や回路などをその上に形成するためのサブストレート用ガラスと、それを保護するためのカバーガラスの2種類に分かれる。
サブストレート用ガラスについては、今後プラスチック素材に置き換わるのではないかといった見方もあるようだが、常温で画素などを形成できる有機ELはともかく、現在では250℃以上の温度で加工する必要がある上、特に高解像度を実現できるポリシリコンでは300℃以上で加工する必要があるため、今後しばらくはガラスの方が有力だとした。
一方カバーガラスについては、現在の主力製品「Gorilla Glass」を紹介した。実は一般のガラスも強度的にはかなりのものだというのだが、表面に細かなキズが入ると衝撃や圧力が掛かった時に割れやすくなるという。
そこでGorilla Glassではガラスそのものの伸縮性はもとより、擦った時のキズへの耐性をも高め、ガラス自体が割れることを回避しているのだ。最新の「Gorilla Glass 3」では、Gorilla Glass 2からさらにキズの耐性を高めることで、さらに薄くそして強くすることに成功したという。
また、強化ガラス製造にはイオン交換を行なうが、この工程で銀のイオンを入れ、表面を半永久的に防菌としたGorilla Glassも開発したとしている。
加えて、ガラスは薄くしていくことで折り曲げ可能なフレキシブル性も実現できるとしているが、同社は現在0.1mm以下の超薄型ガラス「Willow Glass」もパイロット生産中だとした。これにより、折り曲げ可能なディスプレイやカーブがかかった液晶ディスプレイ、壁の形に沿ったライティングなどが実現できる。
さらにWillow Glassは、フレキシブルになったことでロール状での提供が可能となり、メーカーにとっても生産性の向上に大きく貢献できるとした。