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Drobo、“真のプライベートクラウド”を実現する「Transporter」を年内発売
~P2Pでファイルを高速転送し共有できるNASキット
(2013/11/7 16:57)
米Droboおよび日本代理店を務める国際産業技術株式会社は7日、都内で記者会見を開き、Droboの新戦略および2013年内に国内で発売予定のプライベートクラウドデバイス「Transporter」について説明を行なった。
Droboは、RAIDのようなデータ保護をHDDの容量や速度などに関係なく構築できる「Beyond RAID」技術を所有しており、それを採用したNASやストレージを主力製品とする企業。2005年に創業されて以来、その使いやすさと低価格で、特に米国内のハイエンドコンシューマユーザーに受け入れられてきた。それ以降、DroboはBeyond RAID技術を応用したエンタープライズ製品の強化への方針転換した。
しかしBeyond RAIDのコア技術を開発し、Droboの創業メンバーでもあるジェフ・バレル氏は、“あくまでもコンシューマに特化したデバイスを作りたい”という思いで、2009年にDroboを離れ、Connected dataという新たな会社を設立し、コンシューマ向けデバイスの開発を進めていた。
その後Droboのエンタープライズ製品は思ったほど順調にはいかなかった。そこで再度コンシューマへの転換を果たすこととなり、Connected dataを買収する形で、再度ジェフ・バレル氏をCEOとして再び招くこととなった。今回のTransporterは、Droboとして久々となるコンシューマに特化した製品となる。
Transporterは、2.5インチHDD/SSDを内蔵できるNASキット(米国では1TB HDD内蔵の完成品モデルも用意される)である。Transporterのサービスを利用することで、PCやMacはもちろんのこと、スマートフォンやタブレットなどのデバイスからアクセスすることもできる。
ここまでは、近年のNASにも実装されている機能であり、それを切り開いたのは「Pogoplug」だったりするのだが、Transporterの最大の特徴は、複数台を用いてP2P(ピア・ツー・ピア)によるファイル共有ができる点である。
例えば1台のTransporterを自宅に置き、もう1台を実家に置く。そしてその2台を同期するファイルやフォルダを設定すると、P2P経由で同期が行なわれる。またファイルが編集中であった場合や、フォルダ間の移動を行なった場合でも整合性を取るようにしている。同社ではこのシステムを「グローバルファイルシステム」と呼んでいる。
これによる利点の1つは速度で、例えば一般的なクラウドサービスの場合、クラウドにあるファイルをアクセスする場合、自宅からクラウドのサーバーを経由してファイルを転送することになるため、サーバーの速度に依存することになるが、Transporterの場合、置かれている場所であればローカルで転送されるため高速である。
もう1つは安全性が高い点。Transporterのサービスサーバーはお互いのデバイスの接続のコントロールは行なうものの、実際のデータ転送はP2Pで暗号化して行なわれ、ローカルストレージにしか保存されないため、サーバーのクラッキングによる情報が漏洩する可能性が極めて低いという。
速度面を考慮した場合、Transporterを固定の2カ所以上で共有したり同期したりする場合は、それぞれの場所に設置したほうが良いということになるが、もちろん外出先から自宅内のTransporterに直接アクセスすることもできる。
また、Dropboxのようなクラウドストレージサービスなどと比較すると、低コストで大容量を実現できることも特徴としている。
これらの特徴を踏まえてバレル氏は「プライバシーの保護、信頼性、費用、容易さなどあらゆる面で優れており、多数あるクラウドサービスと比較してもその優位性は明らかである」とアピールした。
国際産業技術の立花和昭代表取締役社長は、「12月の販売を見込んでおり、少なめに見積もって年間1万台を発売したい」とした。また、ストレージベイがなく、USBでストレージを接続する「Sync」も近日中に投入するとしており、こちらは年間2万台を見込むという。なお価格やSKUについては未定で、近日中に改めて案内するとした。