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エプソン、最大60枚/分の高速ドキュメントスキャナ
~小型化した26枚/分モデルも
(2013/11/1 15:33)
エプソンは、A4対応のドキュメントスキャナ「DS-860」、「DS-560」、「DS-510」を11月14日より順次発売する。価格はすべてオープンプライス。
DS-860
フラグシップのDS-860はA4カラー200dpi/300dpi時に60枚/分のスキャンが可能な高速モデル。銀行や官公庁/自治体のバックヤードにおける大量の伝票/帳票のスキャンに向く。発売時期は2014年2月上旬で、直販価格は126,000円。
新開発の「スマートフィーディングシステム」を搭載し、複数の原稿を整える「整紙ガイド」、異なる速度の上下のローラー回転で重送を防ぐ「紙分離ローラー」、重送時にスキャン動作を止める超音波式の「重送防止装置」などを備える。スキャン中に用紙を注ぎ足すことも可能となった。
紙分離ローラーは大型化により信頼性を向上させ、紙へのダメージを軽減。ローラー1つあたり20万枚の寿命を実現し、異なる紙のサイズの混載を実現した。また、キャリアシートなしでA3を2つ折りにしてスキャンできるようになった。
本体に「スキャンナビパネル」を搭載し、付属ソフト「Document Capture Pro」でサイズ/解像度/保存形式などの設定を登録した「ジョブ」を、本体のパネルに9パターンまで割り当て可能で、対応の番号を選択して実行することで一括処理できる。
Document Capture Proを利用して、EvernoteやGoogle Drive、SugarSyncなどのクラウドサービスへのアップロードが可能。新たにスキャンしたデータをOCRしてMicrosoft Office形式のデータに変換して保存できるようになった。
ドライバ「EPSON Scan」もバージョンアップし、多色刷りされた文書の指定した色以外の色を消す「マルチドロップアウトカラー」機能を強化し、詳細な設定を可能にした。テキストなど必要な情報のみ読み取り、OCR処理の精度を高められる。また、これまでは原稿の内容に応じて傾きを補正するだけであったが、新たにエッジを検出して傾き補正する機能が加わり、モードを選択できるようになった。
【11月8日訂正】記事初出時、原稿内容に基づく傾き補正が新たに加わったとしておりましたが、正しくはエッジ検出による傾き補正が新たに加わっておりました。お詫びして訂正します。
【11月7日訂正】記事初出時、「上下ともにローラーになった」の写真が旧機種のES-D530の写真となっておりました。お詫びして訂正します。
オプションで「ネットワークインターフェイスユニット(DSBXNW1)」(31,500円)を用意。有線LANでネットワークに接続すると、同一ネットワークセグメントにあるPCを最大100台までを登録でき、PCを操作せずにユニットのパネル操作のみでスキャン作業できる。
主な仕様は、センサーがカラーCIS×2、解像度が75~1,200dpi(1dpi刻み)、出力階調が24bit。用紙サイズは分離モード時がA4/USレターサイズ/リーガル/はがき/名刺、非分離時が長尺紙/A3(2つ折り)/B4(2つ折り)/プラスチックカード/封筒、給紙枚数が80枚。出力フォーマットはJPEG/TIFF/Multi-TIFF/BMP/PDF。
インターフェイスはUSB 2.0。本体サイズは300×166×158mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約4kg。対応OSはWindows XP/Vista/7/8/Server 2003/2008/2012。
DS-560/510
DS-560/510は26枚/分のメインストリーム向けモデル。発売時期および直販価格は、DS-560が2014年1月下旬で44,980円、DS-510が2013年11月14日で39,980円。
2012年5月発売の「ES-350」の後継モデルで、DS-560はIEEE 802.11b/g/n無線LAN対応、DS-510は無線LAN非対応となる。ES-350と比較して容積で約46%、設置面積で約26%削減しながら、26枚/分の高速読み取りを実現した。
DS-560では、AndroidやiOS専用アプリ「DocumentScan」を利用した無線LAN経由でのスキャンが可能。アプリ上から接続設定できるようになり、設定するためのガイドも表示されるようになった。スキャンした文書の回転などの簡易編集機能も搭載する。
DSBXNW1への対応、スマートフィーディングシステムの搭載、OCR後のOffice形式文書への出力、マルチドロップアウトカラー機能などはDS-860と同等に備えるが、スキャンナビパネルは搭載されておらず、エッジ検出による傾き補正機能も利用できない。
主な仕様は、センサーがカラーCIS×2、解像度が75~1,200dpi(1dpi刻み)、出力階調が24bit。用紙サイズは分離モード時がA4/USレターサイズ/リーガル/はがき/名刺、非分離時が長尺紙/A3(2つ折り)/B4(2つ折り)/プラスチックカード/封筒、給紙枚数が50枚。出力フォーマットはJPEG/TIFF/Multi-TIFF/PICT/BMP/PDF。
インターフェイスは共通でUSB 2.0を搭載。本体サイズは297×152×154mm(同)、重量はDS-560が約2.6kg、DS-510が約2.5kg。対応OSはWindows XP/Vista/7/8、およびMac OS X 10.5.8。
PFUの牙城を崩し、シェア20%を狙う
11月1日に都内で開かれた記者会見では、エプソン販売株式会社 取締役販売推進本部長の中野修義氏が挨拶。「個人向けドキュメントスキャナは、いわゆる本を裁断してスキャンで電子化する“自炊”市場が今後シュリンクする一方で、タブレットやスマートフォンなどのデバイスとの連携利用が今後増えていくだろう。また、法人向けもタブレットやスマートフォンとの連携利用で、今後は市場の拡大が見込まれる。我々は写真のフラットベッドスキャナで培った技術をドキュメントスキャナにも適用し、今後シェアの拡大を図る」と抱負を語った。
販売戦略について、エプソン販売株式会社 BP MD部 部長の鈴村文徳氏は、「DS-560/510はメインストリームの価格帯で、個人向けと法人向けに店頭、カタログ、Webなどで広告を展開。一方DS-860は法人向けを中心に、官公庁や金融業などの特定業務市場では実機を持ち込むなど営業を強化。新たに強化した性能と機能を訴求していく。新機種には自信を持っており、これまでPFUのScanSnapが独占してきた牙城を崩し、現状のシェア6%から、20%以上のシェアを目指す」と意気込みを語った。