3月1日(現地時間)提供開始
Windows Embedded Compact 7の正式版(左)と試用版(右) |
米Microsoftは1日(現地時間)、組み込み用リアルタイムOS「Windows Embedded CE」の後継OSである「Windows Embedded Compact 7」の正式版の提供を開始した。同社ウエブサイトから、期間限定の試用版を無償でダウンロードできるようになっている。
これにあわせ、日本マイクロソフトは3月3日に東京・品川でWindows Embedded Compact 7の概要を紹介する無料セミナーを開催した。無料セミナーの冒頭講演「エマージングマーケット向けの製品開発を支援するWindows Embedded Compact 7」は報道関係者向けの説明会を兼ねており、講演会場の最前列に報道関係者席が用意された。
●マルチコアは最大で8コアをサポートMicrosoftは昨年(2010年)6月の時点でWindows Embedded Compact 7のCTP(Community Technology Preview)版を公開しており、日本マイクロソフトはCTP版に関する報道関係者向けの説明会を開催している。このため、Windows Embedded Compact 7の概略は公表済みだ。
現行の最新バージョン「Windows CE 6.0 R3」との大きな違いである対称マルチプロセッシング対応(SMP対応)やARM v7アーキテクチャ対応、SilverLight for Windows Embedded対応、Flash 10.1対応などは、すでにご存知の方も少なくないだろう(詳細は関連記事を参照されたい)。ここでは、CTPから追加または変更された情報を中心にご紹介しよう。
プロセッサアーキテクチャは6月の発表時点と同様にARMアーキテクチャが主体だが、組み込み用x86アーキテクチャもサポートする。今回はこのほかにMIPSアーキテクチャをサポートすることが明らかになった。ただし、サポートの主流はARMアーキテクチャであり、マルチコア対応はCortex-A5/A9コアを想定しているようだ。それからマルチプロセッシング対応は物理的には8コア、論理的には256コアまでサポートすることが分かった。
SuperH(SH)アーキテクチャはWindows CE 6.0 R2まではサポートされていたが、Windows CE 6.0 R3からはサポートしていない。Windows Embedded Compact 7でもSHアーキテクチャはサポートしない。ただし、Windows Embedded Compact 7をベースとする車載情報端末向けOS「Windows Embedded Automotive 7」ではSHアーキテクチャをサポートする。これは、日本におけるSHマイコンユーザーでWindows OSを採用している層のほとんどが車載情報端末の開発者であることから、日本マイクロソフトにおけるサポートのリソースをWindows Embedded Automotive 7に集中させるためだという。
Windows Embedded Compact 7のSKU(Stock Keeping Unit、製品構成)は4種類ある。特定用途向けに機能を限定したSKUが3種類、完全版が1種類である。機能限定版はパーソナルナビゲーションデバイス向けの「C7NR」、組み込み向けの「C7E」、コンシューマ向けの「C7G」であり、完全版は「C7P」となっている。
Windows Embedded Compact 7の概要。ARM、組み込みx86、MIPSをサポートする | SilverLight for Windows Embedded対応。ベースとなるSilverLightのバージョンが更新され、SilverLight 3.0ベースになった | Windows Embedded Compact 7のSKU |
●Compact 7搭載A9デュアルコア・ボードなどを展示
無料セミナー会場にはテーブルトップ形式の簡単な展示ブースが設けられ、Windows Embedded Compact 7を搭載した動作ボードが参考出品されていた。出品企業はルネサス エレクトロニクス、フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン、富士通セミコンダクター、東芝、横河ディジタルコンピュータ、ディジ インターナショナル、である。中には未発表のプロセッサも展示されており、なかなか興味深かった。以下に写真で紹介する。
(2011年 3月 4日)
[Reported by 福田 昭]