株式会社東芝は21日、ノートPC 25周年記念モデル4機種を発表。これにあわせて、都内で製品発表会を開催した。
冒頭では、同社 執行役上席常務 デジタルプロダクツ&ネットワーク社 社長の深串方彦氏が挨拶。同氏は、PC市場の動向を挙げ、「2009年度では、グローバル市場でポータブルPCの比率が60%になり、デスクトップと逆転した。また、当社の累計出荷台数は9,000万台で、ポータブルPCでグローバルシェアトップ4、PC全体でトップ5に入る唯一の日本メーカーである」とアピールした。
その上で、2010年度の目標として、グローバル出荷台数2,500万台を目指すとし、PC全体でシェアナンバーワンを目指すと語った。
同社 執行役上席常務 デジタルプロダクツ&ネットワーク社 社長の深串方彦氏 | グローバルにおけるシェア | 2,500万台の目標 |
そのための取り組みとして、これまで「PC&ネットワーク社」と呼ばれていた会社名を、「デジタルプロダクツ&ネットワーク社」に変更。会社名を略すと「DN」となるが、これには「新しい〇〇を夢見て(Dream New)」というメッセージを込めて、PC専業だった事業領域を拡大することを目指す。
具体的には、これまで展開してきたネットブック、ネットノート、モバイルノートPC、ノートPC、AVノートPCに加えて、オールインワンデスクトップ、クラウド向けデバイス、e-BOOK(電子書籍)、そしてスレートPCにも展開。その第1弾として、今回の25周年記念モデルを発表した。
デジタルプロダクツ&ネットワーク社へ社名変更 | 「DN」には“Dream New”のメッセージが込められている | 事業拡大の分野 |
モバイルノートの「RX3」については、PCの低価格化、小型軽量化、高性能化をすべて持ち合わせるモデルと定義。これはノートPC主流の部材を用いるとともに、東芝独自の空冷技術や、軽量薄型/堅牢化技術によって実現したものとする。
一体型の「Qosmio DX」については、「デスクトップがノートに近づいて実現したもの」とする。デスクトップは高性能を特徴とするが、市場ではノートPCに備わっている省スペース性、省電力性、デザイン性が注目されており、そのニーズに応えたものとした。
Android搭載の「AZ」については、ワイヤレス通信環境の充実、インターネットコンテンツの増加、そしてコミュニケーション携帯の進化に応える、新しいインターネットデバイスと定義。スマートフォンに備わる瞬時機動可能な機動性と、PCライクな操作性を兼ね備えた。そのために、世界で初めてNVIDIA Tegraアーキテクチャと、Androidプラットフォーム、そしてQWERTYキーボードを統合させた。
そしてダブルタッチスクリーンの「libretto W100」だが、初代の「Libretto 20」が登場から第8世代目に入る。2画面を開けば10型相当の情報量を得られる閲覧性や、電子ブックリーダーのように使える縦画面表示、ソフトウェアキーボードによる入力性、さらには従来から踏襲する軽量性などを挙げ、「W100で得た経験を元に、スレートPCにも展開していきたい」とした。
RX3は、価格、性能、薄型軽量化を実現 | DXはノートPCの技術をデスクトップに応用 |
インターネット環境の変革に適したAZ | W100の特徴 |
B2B領域での展開 |
また、今後AZやW100を中心とし、医療向け機器への展開を図り、B2B(ビジネスからビジネス)、B2C(ビジネスからコンシューマ)双方の分野で事業拡大して、2,500万台へ挑戦していきたいと語った。
●「Impossible?」から「I'm Possible」へ
PC第一事業部 事業部長 長嶋忠浩氏 |
続いて、同社 PC第一事業部 事業部長 長嶋忠浩氏が、新製品の特徴や、国内におけるマーケティング戦略を説明した。
新製品の詳しい特徴などについては、関連記事を参照されたいが、主な技術について改めて紹介する。
RX3では真空鋳造技術によるハニカム構造で、薄型軽量を実現しながら剛性を確保。また、冷却ファンの配置を工夫することで通常電圧版のCPUを搭載可能とした。
真空鋳造技術によるハニカム構造 | 新空冷システムの採用で、通常電圧版CPUの搭載を可能とした |
Qosmio DXでは、ノートに用いられる省電力技術により、2011年度のグリーンの省エネ性マークを獲得し、エネルギー消費効率100%以上を達成した。また、SpursEngineの搭載により、速さ約5倍のBlu-ray Discへのダビングや、超解像技術を実現した。
2011年度のグリーン省エネ性マークを取得したDX | SpursEngineの搭載 | 5倍速のダビングを実現 |
AZでは、NVIDIA Tegra、Androidプラットフォーム、そしてキーボードの搭載による、スマートフォンに備わる機動性や、PCに備わる操作性を実現。さらにHDMI出力端子を備えることにより、Webページや写真、動画をTVの大画面で楽しめるとした。
インターネットを活用できるアプリケーション | HDMI端子の装備で大画面で写真や動画を楽しめる |
最後にW100だが、2画面をさまざまな利用シーンにあわせて角度や表示方法の変更ができることや、“東芝史上最高”の高密度実装技術を応用した基板などを紹介。これにより、PCに備わるべき高性能を699gの軽量ボディに収めたとした。
縦画面表示で電子ブックリーダとなるW100 | ソフトウェアキーボードの搭載 | “東芝史上最高”の高密度実装技術 |
東芝は現在、BCNのノートPC部門で4年連続の最優秀賞を受賞、GfKで販売数量第1位、IDCで国内ノートPC出荷台数4年連続シェア1位を獲得している。「当社は2000年のシェアは6%だったが、2003年のロゴ一新、2007年の田村正和さんと山下智久さんのCM採用により、認知度が向上しシェア21.4%を達成した」とアピールした。
その一方で、2009年度は市場全体で2008年度比で約10%前後の成長があったが、「これはPCがユーザーにとって必要不可欠になってきている証拠」と分析。だが、PCが必要不可欠なだけでは、他の製品に代替されてしまう。そこで、「dynabookでは、“持つ喜び”、“使う楽しさ”を感じてもらえる、他のメーカーでは実現できない製品へ成長していきたい」とした。
TV CMでの展開としては、「できないことを、みんなのできるに。」をキャッチフレーズに、「Impossible?」を「I'm Possible」にするメッセージをユーザーに届ける。
長嶋氏は、「dynabookでは過去に、世界で初めてのラップトップPCや、カラー液晶搭載ノートPCなど、さまざまな不可能を、技術によって可能にしてきた。今後もそれを企業のメッセージとして展開し、認知度の向上につなげていきたい。それによって、コンシューマPC市場でシェアナンバーワンを目指したい」と語った。
BCN、GfK、IDCで三冠達成 | 認知度の向上によるシェアの伸び | CMのキャッチフレーズ |
発表会では、米Intelのポール・オッテリーニCEOや、Microsoftのスティーブ・バルマーCEOのビデオメッセージも上映され、東芝ノートPC 25周年への祝辞が贈られたとともに、今後より一層パートナーシップを強化し、新たな分野へ挑戦していきたいと語った。
Intel ポール・オッテリーニCEO | Microsoft スティーブ・バルマーCEO |
発表会場で展示されたRX3 | 本体を閉じたところ | 右側面 |
左側面 | アイソレーションキーボード | 大容量バッテリ搭載時 |
RX3の基板(裏) | RX3の基板(表) | パームレストにハニカム構造を採用する |
Android搭載のAZ | 左側面。HDMI出力端子が見える | 天板には凹凸加工がされている |
パームレストにも模様が施される | 薄型に仕上がっている |
大半のオペレーションはキーボードのみで可能 | TOSHIBA Media PlayerにはDLNAクライアント機能も装備している |
Qosmio DX | オンキヨー製のステレオスピーカー |
右側面のインターフェイス | 左側面のインターフェイス |
libretto W100 | 天板には通気口が用意されている |
試作機と比べると、バッテリにも模様が入るようになった | ヒンジ部のlibrettoロゴも、試作機ではエンボス加工だったが、プリントに変更されている |
(2010年 6月 21日)
[Reported by 劉 尭]