東芝「dynabook RX3」
〜13.3型液晶搭載の世界最薄/最軽量ノート



東芝「dynabook RX3」

6月下旬 発売
価格:オープンプライス



 東芝がノートPCを発売して今年で25年。それを記念したノートPCの新製品が3機種登場した。その中の1つが、「dynabook RX3」だ。本格モバイルノートとしておなじみの「dynabook SS RX2」シリーズの後継として位置付けられた、13.3型液晶搭載のスリムモバイルノートだ。今回、いち早く試用する機会を得たので、仕様面や使い勝手などを紹介していこう。ただし、今回試用したのは試作機のため、製品版と異なる部分が存在する可能性がある点だけはあらかじめご了承願いたい。

●13.3型ワイド液晶を搭載

 dynabook RX3(以下RX3)は、その型番からも想像がつくと思うが、本格モバイルノートとして人気の「dynabook SS RX2」(以下SS RX2)シリーズの流れを汲む製品だ。SS RX2シリーズは、12.1型ワイド液晶を搭載する2スピンドルマシンとして世界最軽量となる軽さを実現し、薄型のボディも大きな特徴だった。

 新モデルであるRX3に搭載される液晶パネルは、1,366×768ドット表示対応の13.3型ワイドClear SuperView液晶だ。SS RX2よりも一回り大きな液晶パネルが搭載されており、文字の視認性はRX3の方が断然優れる。また、LEDバックライト採用で輝度は高く、発色も鮮やかで、表示品質は申し分ない。パネル表面は非光沢処理が施され、外光の映り込みがほとんど気にならない点も嬉しい。最近では、光沢処理を施した液晶パネルを搭載する製品が多数を占めているが、文字入力の多いビジネス用途では、光沢パネルは敬遠されがちだ。液晶サイズの大型化と合わせ、SS RX2と比べ、ビジネス用途での利用がかなり快適になったと考えていい。

 ただ、このサイズの液晶パネルを搭載するなら、できれば1,600×900ドット表示対応パネルを搭載するモデルも用意してもらいたかった。今後登場する後継モデルでの対応を期待したい。

1,366×768ドット表示に対応する13.3型ワイド液晶を搭載。Clear SuperView液晶を採用しており、非常に鮮やかな発色を実現 表面は非光沢処理が施されており、外光の映り込みは全く気にならない 液晶パネル部は、50度ほどまで開くことが可能だ

●SSDモデルは13.3型ワイド液晶搭載2スピンドルノートで世界最軽量

 13.3型ワイド液晶を搭載することで、フットプリントは316×227mm(幅×奥行き)と、SS RX2よりもかなり大きくなっている。しかし、厚さは16.8〜24.7mm(下位モデルでは16.8〜25.7mm)と、13.3型ワイド液晶を搭載する2スピンドルノートとしては薄い。しかも、天板部分での100kgf面加圧テストをクリアすると共に、76cmからの4面方向落下テスト、キーボード面に対する30cc防滴テストもクリアしている。単なる薄型ノートというわけではなく、モバイルノートに要求される堅牢性もしっかりと備えているのだ。

 ボディ素材としてはマグネシウム合金を、パームレスト部とHDDカバーには、世界初となるマグネシウム合金のハニカムリブ構造を採用する。さらに、マグネシウム合金を真空鋳造することで、素材内の空気の粒子を極限まで排除し、緻密で強度に優れる加工を実現している。実際に、ボディや液晶面をねじってみても、ほとんど不安を感じさせない強度を実感できる。持ち歩く機会の多いモバイルノートとして、この優れた堅牢性は大きな魅力となるだろう。

 堅牢性という意味では、内蔵の加速度センサーを利用し、振動などを検知して自動的にHDDのヘッドを待避させる「東芝HDDプロテクション」、HDDやSSDに保存したデータの暗号化に活用できるTPMチップや、指紋認証機能などの標準搭載も見逃せない。特にビジネス用途では、物理的な堅牢性だけでなく、保存データの保護という観点も大きなチェックポイントとなるが、この点もRX3は安心だ。

 重量も13.3型ワイド液晶搭載の2スピンドルノートとして世界最軽量を実現。公称値では、128GB SSDを搭載する最軽量モデルで、6セルバッテリ搭載時で約1.25kg、9セルバッテリ搭載時で約1.42kgとされている。ちなみに、今回試用した試用機は、HDD搭載モデルで、実測で1,422gであったが、これでも13.3型ワイド液晶搭載2スピンドルノートとしては十分に軽量だ。

 ちなみに、RX3の直接のライバルと言えるソニーのVAIO Zシリーズは、ボディサイズが314×210×23.8〜32.7mm(幅×奥行き×高さ)、重量が約1.37kg(市販モデルのVPCZ129FJ/Sの数値)となる。フットプリントこそVAIO Zシリーズのほうがやや小さいが、薄さと重量はRX3が勝っている。

天板部分。つや消しのブラック塗装で、落ち着いた印象だ。ボディ素材はマグネシウム合金で、天板は100kgfの面加圧に耐える堅牢性を実現 フットプリントは、316×227mm(幅×奥行き)。13.3型ワイド液晶を搭載しているため、SS RX2シリーズよりもひとまわり大きくなった 本体正面。13.3型ワイド液晶搭載の2スピンドルノートとして世界最薄を実現しており、正面から見ても非常に薄いことがわかる
右側面。高さは16.8〜24.7mm(下位モデルは16.8〜25.7mm)。手前が薄く、奥がやや高くなっているが、それでも非常に薄い 背面。中央部にはバッテリが取り付けられている 右側面。光学式ドライブはこちらに取り付けられている
試用機の重量は、実測で1,422gだった

●キーピッチ19mmのアイソレーションキーボードを採用

 dynabook UXの登場以来、dynabookシリーズでもキーとキーの間が開いたアイソレーションキーボードを搭載するモデルが増えており、RX3シリーズでも採用されている。

 SS RX3は、ボディサイズに余裕があることもあり、主要キーのキーピッチは19mmと、フルキーボードと同じ。縦のピッチが若干狭くなっているが、実際に使ってみると、ほとんど違和感は感じない。無理のあるキー配列は全くなく、Enterキーも大きくなり、SS RX2シリーズのキーボードと比較して、キー入力の快適さはかなり向上したと言える。個人的には、キータッチは若干固めという印象を受けたが、しっかりしたクリック感があり、ピッチの広さと合わせ、快適なキー入力が可能だった。

 ポインティングデバイスは、パッド式のタッチパッドを搭載。パッド面が広く、クリックボタンも大型で十分に扱いやすい。また、外部マウス接続時にタッチパッドの動作をON/OFFできるよう、スペースキー下に専用のスイッチが用意されている点も嬉しい配慮だ。ちなみに、左右クリックボタンの中央には、指紋認証用のセンサーが標準搭載される。

キーの間が開いたアイソレーションキーボードを採用。いびつな配列は一切なく、適度な堅さとクリック感があり、非常に扱いやすい 主要キーのキーピッチは約19mm。縦のピッチはやや狭いが、利用時に違和感を感じることはなかった ポインティングデバイスのタッチパッドは、面積が広く扱いやすい。また、クリックボタン中央には指紋認証センサーが標準搭載されている

●標準電圧版CPUを搭載

 SS RX2シリーズは、CPUに超低電圧版Core 2 Duoが搭載されていたこともあり、CPUパワーで若干不満を感じることがあった。しかも、東芝が「ネットノート」と呼ぶ、いわゆるCULVノートが登場したこともあり、搭載CPUについては少々不満を感じる場面が増えていたのも事実だ。しかしRX3では、搭載CPUとして標準電圧版のCore i5またはCore i3が搭載されており、パフォーマンス面の不満が解消されている。

 搭載CPUは上位モデルがCore i5-520M(2.40GHz)、下位モデルがCore i3-350M(2.26GHz)となる。実際のパフォーマンスについては、後ほど紹介するベンチマークテストの結果を参照してもらいたいが、SS RX2で感じていた処理の重さを一切感じることがなくなり、快適な使用感であった。ビジネス用途での利用では、パフォーマンスに不満を感じることはほぼなくなったと考えて良さそうだ。

 ちなみに、ベンチマークテスト実行中の高負荷動作時には、若干ファンの回転音がうるさく感じた。また、本体底面はかなり熱くなるようだ。ただし、キーボード面はわずかに温かいと感じる程度で、高負荷時でもほとんど温度に変化はなく、熱を不快に感じることはない。

 グラフィックス機能は、CPU内蔵のIntel HD Graphicsが利用されており、外部GPUは非搭載だ。そのため、3D描画能力については少々物足りなさを感じる。この部分は、外部GPUを搭載するVAIO Zに対する大きな弱点と言っていいだろう。とはいえ、HD動画再生支援機能など、マルチメディア関連の能力は十分に優れているので、3Dグラフィックス関連のアプリケーションを利用しない限り、描画能力に不満を感じることはほぼないはずだ。

 では、CPU以外の基本スペックをまとめておこう。チップセットはIntel HM55 Expressを採用。メインメモリは、PC3-8500対応DDR3 SDRAMを標準で4GB搭載する(2GBモジュール×2枚、最大8GB)。ストレージデバイスは、下位モデルが320GB HDD、上位モデルが500GB HDDまたは128GB SSDを搭載。ただし、試用機では250GBのHDDが搭載されていた。光学式ドライブは、薄型のDVDスーパーマルチドライブが右側面に標準搭載となる。

 無線機能は、IEEE 802.11b/g/n対応無線LANを標準搭載。また、SSD搭載モデルでは、IEEE 802.11a/b/g/nおよびWiMAX対応の無線LANモジュールが搭載される。Bluetoothは搭載されない。

 側面の端子類は、左側面に電源コネクタとミニD-Sub15ピン、eSATA/USB 2.0共用ポート×1、UBS 2.0×1、HDMI出力、右側面には、SDカードスロットとType 2 PCカードスロット、ヘッドフォン/マイク端子、USB 2.0×1、Gigabit Ethernetの各ポートが用意されている。また、左側面のeSATA/USB 2.0共用ポートは、本体がスリープやシャットダウン状態でもポータブルUSB機器の充電が行なえる「スリープアンドチャージ」をサポートしている。

左側面には、ミニD-Sub15ピン、eSATA/USB 2.0共用ポート×1、USB 2.0×1、HDMI出力を用意。電源コネクタはヒンジ部にある 右側面には、Type 2 PCカードスロット、ヘッドフォン/マイク端子、USB 2.0×1、Gigabit Ethernetの各ポートを用意 DVDスーパーマルチドライブは右側面に内蔵。また、その上部にはSDカードスロットが用意されている
PCカードスロットは、ダミーカードで保護するタイプだ 底面のフタを開けると、メインメモリ用のSO-DIMMスロットと内蔵HDD(またはSSD)にアクセスできる 左側面のeSATA/USB 2.0共用ポートは、シャットダウン時でもUSB機器の充電が行えるスリープアンドチャージに対応する

●優れた3D描画能力が不要なビジネスモバイル用途に最適

 では、ベンチマークテストの結果をチェックしていこう。利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark Vantage Build 1.0.1 1901」と「PCMark05 Build 1.2.0 1901」、「3DMark06 Build 1.1.0 1901」、スクウェア・エニックスの「FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3」の5種類。比較用として、Let'snote R9、VAIO Zシリーズ、BIBLO MG/G75の結果も加えてある。ちなみに、試用機では容量250GBと、製品版にはないHDDが搭載されていた。そのため、ベンチマークテストの結果はあくまでも参考値として見てもらいたい。

 結果を見ると、VAIO Zで外部GPUを動作させたSPEEDモードにはさすがにかなり劣るものの、VAIO Z STAMINAモードに十分匹敵するパフォーマンスが発揮されている。3D描画をそれほど必要としない用途であれば、パフォーマンスに不満を感じることはまず無いと考えていい。もちろん、SSD搭載モデルであれば、アクセス速度が大きく向上し、さらに快適度が高まることは間違いない。

【ベンチマーク結果】
  dynabook RX3 Let'snote R9 VAIO Z VPCZ11A SPEED VAIO Z VPCZ11A STAMINA BIBLO MG/G75
CPU Core i5-520M
(2.40/2.93GHz)
Core i7-640UM
(1.20/2.26GHz)
Core i7-620M
(2.66/3.33GHz)
Core i7-620M
(2.66/3.33GHz)
Core i5-430M
(2.26/2.53GHz)
チップセット Intel HM55 Express Intel QM57 Express Intel HM57 Express Intel HM57 Express Intel HM55 Express
ビデオチップ Intel HD Graphics(CPU内蔵) Intel HD Graphics(CPU内蔵) GeForce GT 330M Intel HD Graphics(CPU内蔵) Intel HD Graphics(CPU内蔵)
メモリ PC3-8500 DDR3 SDRAM 2GB PC3-6400 DDR3 SDRAM 2GB PC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×2 PC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×2 PC3-8500 DDR3 SDRAM 4GB
OS Windows 7 Professional Windows 7 Professional 64bit Windows 7 Home Premium 64bit Windows 7 Home Premium 64bit Windows 7 Home Premium
PCMark Vantage Build 1.0.1 0906a
PCMark Suite 5607 6817 10759 10280 4801
Memories Suite 3036 3576 5414 4698 3026
TV and Movies Suite 3701 2817 4504 4748 3444
Gaming Suite 2937 4333 7692 5435 3018
Music Suite 5258 8959 11626 11373 5602
Communications Suite 6642 6666 10916 10971 3935
Productivity Suite 3994 9278 12388 12640 3672
HDD Test Suite 3244 19481 15384 16658 3192
PCMark05 Build 1.2.0
PCMark Score 5914 N/A N/A N/A 5758
CPU Score 7219 4782 8285 8343 6588
Memory Score 6251 4620 6804 6797 5655
Graphics Score 2637 1754 5826 2817 2804
HDD Score 5562 24405 32452 26436 5395
3DMark06 Build 1.1.0 0906a
3DMark Score 1929 1222 5643 1726 1934
SM2.0 Score 588 361 2231 526 591
HDR/SM3.0 Score 784 507 2083 688 787
CPU Score 2629 1683 3066 3112 2547
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3
Low 4031 2405 10146 4041 3699
High 2616 1581 8142 2625 2395
Windowsエクスペリエンスインデックス
プロセッサ 6.5 5.5 6.9 6.9 6.3
メモリ 5.5 5.5 5.9 5.9 5.5
グラフィックス 4.5 3.2 6.4 4.5 4.6
ゲーム用グラフィックス 5.0 4.6 6.4 4.9 5.2
プライマリハードディスク 5.9 6.7 7.6 7.6 5.8

 次にバッテリ駆動時間だ。こちらも仕様が製品版と仕様が異なることもあり、参考値として見てもらいたい。

 まず、Windows 7の省電力設定を「省電力」に、バックライト輝度を40%に設定するとともに、無線LANをオンにした状態で、BBenchを利用してキー入力とWeb巡回にチェックを入れて計測したところ、約6時間16分であった。また、Windows 7の省電力設定を「高パフォーマンス」に設定するとともに、バックライト輝度を100%に設定した状態で、動画ファイル(WMV9、ビットレート1,156kbps、640×480ドット)を連続再生させてみたところ、約3時間51分であった。

 今回利用した試用機には、容量66Whの6セルバッテリが搭載されており、公称のバッテリ駆動時間は約10時間とされているが、無線LANを利用し、バックライト輝度が最小になっていない状態でも、6時間を超えるバッテリ駆動時間が確保できていることを考えると、十分に納得できるレベルと言える。また、オプションで用意されている9セルバッテリ(最上位のSSD搭載モデルは6セルバッテリと9セルバッテリが同梱)を利用すれば、計算上、同じ条件で9時間を超えるバッテリ駆動時間が確保できることになるため、1日中外出して利用する場合でも、ACアダプタはほぼ不要だろう。

標準添付の6セルリチウムイオンバッテリ。容量は66Wh。オプションで9セルバッテリもあり、SSD搭載の最上位モデルでは6セルと9セルのバッテリが同梱となる ACアダプタは十分にコンパクトだ ACアダプタは電源ケーブル込みで実測267g。バッテリ駆動時間が長いため、本体と同時に持ち運ぶ必要性は低いが、この重量なら同時に持ち運んでも苦にならない

 13.3型ワイド液晶を搭載する薄型軽量モバイルということで、どうしてもソニーのVAIO Zシリーズと比較されるのは仕方がないだろう。確かに、VAIO Zは、Core i7が搭載可能だったり、外部GPUが標準搭載されるなど、スペック面ではかなり優れている。

 だが、RX3はVAIO Zよりも薄型かつ軽量で、堅牢性にも優れており、外部GPUを利用した優れた3D描画能力が必要ないという人にとって、VAIO Z以上に魅力のある製品であることは間違いない。

 個人的には、13.3型ワイド液晶を搭載するなら、もう1段階表示解像度を高めてもらいたかったが、その点を差し引いても十分に魅力のある製品だ。携帯性、操作性、堅牢性、基本性能の全てに満足できるビジネスモバイルノートを探している人に、自信を持っておすすめしたい製品だ。

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(2010年 6月 21日)

[Text by 平澤 寿康]