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次世代スマートウォッチは2カ月連続動作を視野に。ARMが試作機を展示

〜IoT/組み込み向け技術展が横浜で開催

 一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)が主催している組み込み製品の展示会「Embedded Technology 2015」と「IoT Technology 2015」が神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で本日(18日)開催され、20日まで展示が行なわれる。

 今回の展示会ではここ数年のIoT勃興により、組み込み市場と密接な関係にあるIoTの展示会として、IoT Technology 2015も合わせて初開催されることになった。IntelやARM、MicrosoftといったPC Watchでよく登場する企業も含め、全388もの企業が展示を行なっており、大規模な展示会となっている。法人向けの展示会であるため、ここでは特に興味深かった製品を厳選して紹介する。

ARMのmbedで作られたスマートウォッチのリファレンスデザイン

 組み込み市場では特に大きな存在感を放つARMだが、試作品ながら同社のマイコンボード「mbed」を使った興味深いウォッチタイプのウェラブルデバイスを展示していた。

 ARMはアーキテクチャを売っている会社であり、この製品はあくまでリファレンスデザインなのだが、驚くべきは通常用途で“8週間”は持つというバッテリ駆動時間の長さだ。一般的なスマートウォッチが1〜2日しか持たないのに対し、2カ月近く使えてしまうことになる。

 なぜこれほどバッテリが持つのか、現場の説明員によればmbed OSで作ったこのデバイスはAndroid Wearのデバイスなどと違い、常に通信を行なうようなことはせず、それに加えて徹底的な省電力化を図れるからだそうだ。指紋センサーと活動量計を備え、通信インターフェイスはNFC、Bluetooth LE、GPSを搭載するなど、ほかのスマートウォッチと遜色ない機能を備える。

 AndroidやiOS用といったスマートフォンと同期できるように対応アプリも用意される。2016年の第2四半期に製品化できるように開発を進めているとのことで、それから各メーカーがスマートウォッチを作るとなると製品版の登場はさらにかかりそうだが、採用製品の早期登場に期待したいところだ。

バッテリ残量75%の時点で残り6週間使用可能という表示。ディスプレイ右下にあるのは指紋リーダー
本体裏面には充電用端子
実際のmbedボードはなかったが、写真で見せてもらうことができた。このボードが実装されている
試作品でまだ全然機能が実装されていないというAndroid OS用の同期用アプリ
筆者のG-SHOCKと大きさを比較。もちろんただのリファレンスデザインなので、この外観の製品が登場することはない
ARMのブースに展示されていた各メーカーのmbedボード一覧
ピンク色の基板を採用したルネサスのmbedボード
こちらはmbedユーザーが自作したというライントレーサー。mbedのアクティブユーザーは14万人いるとされ、その4分の1が日本のユーザーだという

 以下、展示されていた面白そうな製品をまとめて掲載する。

NVIDIAが組み込み向けのスーパーコンピュータを謳うTegra K1搭載の「Jeston TK1」。自動運転などで使われる画像認識技術の利用を想定したデモが行なわれていた
Jeston TK1採用の他社製ボード
気になったのはこのボード。名前は書かれていなかったものの、Jeston TK1の後継であるTX1と思しきものも展示されていた
AMDは組み込み用ディスクリートGPUのRadeon E8870MXMを展示。パチンコ用のデモ機に繋がれており、バックグラウンドでH.264の動画と桜吹雪の2D描画を行ないつつ、3Dで描画されるユニティちゃんを動かすというデモが行なわれていた。近年の遊技筐体は3Dグラフィックスの駆使などが一般的で、高性能を必要とするものに使われる
Bald Eagleこと組み込み向けのAPU「RX-427BB」を使用してFREESYNCのデモを披露
アルテラが展示していたARMベースの脚ロボットで、市販品ではないがARM使った複雑な機構の制御を見せている
スマートフォンからBluetooth接続して、コントロールが可能
ルネサス イーストンが展示していたUSB PD(Power Delivery)コントローラ搭載製品。取材時点では具体的にどのメーカーに採用されるかなどは不明だった。USB PDはUSB Type-Cのオプションで実装可能であり、その場合はUSB Type-Cで100Wの給電ができるようになる
USB PDで動かしているプリンタ。実装チップはルネサス エレクトロニクスのμPD720250コントローラで、USB Type-Cには非対応とのこと
動作電圧の表示。展示では実際にUSBケーブルを通して、プリンタが12Vで動作しているのが分かった
そのほか、ルネサス イーストンでに目を引いた車載ソリューションの紹介。こちらは車のインパネで、自動運転と組み合わせて自動的に駐車場に止めるといったシミュレーションも披露していた
トヨタ東京自動車大学校と共同で開発したEV(Electronic Vehicle)カートでは、インバータ制御のシステムを提供している。最高速80km/hは出るという。日本EVフェスティバル2015などでの参加実績もある
サードウェーブデジノスが展示していたディープラーニング学習環境を提供するXeon搭載のワークステーション。ユビキタスエンターテイメントのディープラーニング開発アプリ「DEEPstation」を使ったデモを行なっていた

(中村 真司)