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Cortanaや新ブラウザSpartanなどWindows 10の新機能
(2015/1/22 17:04)
米Microsoftは21日(現地時間)、Windows 10に関する説明会を開催。この中で、同OSのコンシューマ向け新機能を多数公開した。これらの機能は今後数カ月をかけて順次テクニカルプレビューにも実装予定で、早いものは来週公開されるアップデートから利用可能となる。
Windows 10で同社は、公開中のテクニカルプレビューを通じて精力的にユーザーからフィードバックを集めている。それらの要望のいくつかが、来週公開のバージョンで実装される。
スタートメニューはWindows 8で廃止されたものが復帰された形となっており、Windows 7のようにデスクトップにおけるアプリのランチャーとして機能する。現在のバージョンでは、右半分がWindows 8のスターと画面に似たライブタイルを表示する領域となっているが、新バージョンでは右上の最大化ボタンを押すことで、ライブタイルがフルスクリーン表示されるようになっており、Windows 7と8、どちらのユーザーも慣れたスタイルで利用できるようになっている。
操作の統合
Windows 8では、画面右端にチャームを呼び出せるが、これは「アクションセンター」に置き換えられる。アクションセンターでは、Wi-Fiのオン/オフといった頻繁に切り替える設定を行なったり、各アプリの通知を一覧表示できる。各通知はボタンを押すと、詳細を表示でき、簡単な操作や画像の表示などを行なうこともできる。
Windows 8には、チャームから呼び出すモダンUIの設定とコントロールパネルという2種類の設定画面があり、統制が取れていないイメージがあったが、これも一新され、両者を統合したものになった。
従来のデスクトップモードとタッチ向けのモダンUIを瞬時に切り替えられるのも新たな特徴。2-in-1やタブレットに、キーボードドックやマウスを接続している時は、デスクトップPCのように、各アプリをさまざまなサイズでマルチウインドウ表示できる。ここから、キーボードドックなどを取り外すと、タブレットモードに切り替えるかポップアップが出るので、はいを選択すると、全ウインドウがタッチに好適なフルスクリーンになり、左からのスワイプでバックグラウンドアプリと切り替えられるといった具合。また、デスクトップアプリも、ストアアプリのように上から下にスワイプすることで終了できるなど、操作性の統合を推し進めている。
パーソナルアシスタントと強化される検索機能
今後数カ月をかけて順次実装される新機能1つ目はデスクトップへの「Cortana」の搭載。Cortanaは、Windows Phone 8.1で搭載されたデジタルパーソナルアシスタント。iOSのSiriに似たもので、文字だけでなく音声を通じて検索や操作を行なったりできる。また、自動・手動でユーザーの関心事や趣味嗜好を学習し、天気やニュース、公共交通状況など最新の情報を適切にユーザーに通知する。
CortanaはBingの機能を拡張して活用したものだが、Windows 10ではおまけではなく最も重要な機能の1つと捉えられているようで、タスクバーのスタートボタンのすぐ右に検索ボックスとしてCortanaのランチャーが据えられる。
詳細は、こちらの記事も参照されたいが、PC向けに機能が拡張され、例えば文書検索したい時はOneDriveとローカルドライブを串刺しした検索が行なわれ、アプリの名称でもローカルにインストールされたものと、Windowsストアにあるお勧めのものが表示される。
アプリケーション周り
Windows 10では、8型というサイズでUIに1つの区切りが設けられる。一言で言うと、8型以上ではデスクトップ主体のUIになり、8型未満ではタッチ専用のUIとなる。8型以上でも前述の通り、タブレットモードにしてタッチによる操作もできる。また、8型未満のデバイスにはWindows Phoneも含まれており、今後同社のスマートフォンOSはWindows 10になる。
区切りはあるものの、アプリについては、新たに導入されるUniversal Appにより、同じアプリがPCでもスマートフォンでも、画面サイズに応じて見せ方だけを変えて動作する。また、Universal AppはXbox Oneでも動作する。
今回紹介されたUniversal Appの代表の1つがWindows 10用Office。8型未満のWindows 10には、タッチ操作を想定したUniversal App版Word、Excel、PowerPointが標準で搭載される。現在でもモバイル端末向けのOfficeは提供されており、PCで作った文書をスマートフォンで閲覧/編集できるが、例えばWordではPC版と同じ体裁で表示するだけでなく、画面サイズに合わせたリフロー表示もできる。
なお、スマートフォン向けの機能は3月に開催されるMobile World Congressにてさらなる詳細情報が公開される予定。
また、デスクトップ版も含めOutlookも標準搭載。スマートフォンでは、件名一覧を表示し、不要なものは左スワイプで削除、右スワイプで後から参照するためにフラグを付けるといった操作ができる。また、本文入力についてはWordのエンジンが搭載され、Wordと同じリボンや機能を使ってリッチな表現が可能。
このほかにも、デスクトップ、小型端末いずれにもUniversal App版のカレンダー、フォト、People、ミュージック、マップといったアプリが実装される。
フォトは、自動的にユーザーが写真を観やすくするための機能が搭載され、例えば全ての写真を一覧表示した場合でも、連写撮影された写真は重複したものとして、代表の1枚だけを残してほかは表示を省略したり、赤目や露出不足を補正したり、撮影した場所/時間/人を手がかりに自動的にアルバムを作る機能などが搭載される。これらの機能は必要に応じて無効にすることもできる。
ミュージックでは、ローカルの楽曲をOneDriveにアップロードして、どの端末からでも同じプレイリストを再生といったことができる。
マップでは、PCでルート検索を行なうと、Cortanaが混雑状況を教えてくれ、それに基づき、ルートを選択すると、それがスマートフォンに転送され、スマートフォンではナビゲーション機能が起動する。また、車で移動した場合、車を止めた場所はCortanaが記憶してくれる。
新Webブラウザ「Project Spartan」
Windows 10の象徴的な変化の1つが、ブラウザの刷新で「Project Spartan」というコードネームの新ブラウザが搭載される。Spartanは新しいレンダリングエンジンを搭載し、UIもWindows 10に合わせて洗練されたものとなるほか、いくつかの新機能が搭載される。
1つはWebコンテンツのソーシャル的な共有に向けたもので、ノートテーキングモードをオンにすると、Webコンテンツのスナップショットが作成され、その上にタッチやペン操作で自由に書き込みを行なえる。タッチ非対応の環境の場合も、Wordのように任意の場所をクリックして、コメントを添えることが可能。また、任意の場所を選択して、クリッピングをOneNoteに保存したり、共有機能を使ってSNSに投稿することができる。
リーディングモードを使うと、本文と写真だけが表示され、バナーや広告などが表示されなくなるため、必要なコンテンツだけを見ることができる。Spartanにおいては、Windows 8.1では個別アプリ扱いだったリーディングリストが統合。リーディングリストは、いわゆる後で読む機能で、このリストに入れるとそのページが保存、かつ同期されるため、後で読みたいページを登録しておけば、端末や場所を問わず、オフラインでもコンテンツを閲覧できる。また、Web上のPDF文書も同様にリーディングリストにいれたり、メモを添えることもできる。
もう1つの機能がCortanaの統合。URL欄に「天気」と入力すると、天気予報がURL欄の下に簡易表示される。また、例えば家族のフライトをCortanaに追跡させている場合は、航空会社のサイトに行って、便名を入れて到着時間を調べるといった手間をかけず、「妻のフライト」などの入力で、予定到着時間が簡易表示される。レストランのサイトを表示させた場合は、右ペインにCortanaが検索した、その店までのルートや、開店時間、口コミなどの情報が一覧表示される。