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インテル、Haswell Refreshと9シリーズチップセットを正式発表

~初のAtom搭載NUCも

発表会場に展示されたASUSの9シリーズ搭載マザーボード
早船淳司氏

 インテル株式会社は12日、都内で記者会見を開き、チャネルへの取り組みを紹介するとともに、11日に発売されたHaswell Refreshおよび9シリーズチップセットを正式発表した。

 冒頭では、同社リセラーチャネル事業部長の早船淳司氏が、チャネルの取り組みについて説明。現在、リセラーの支援、NUCやSSDなどのクライアント製品の展開、2in1やタブレット製品の確保、さまざまなPCインターフェイスへの対応、そしてデスクトップPC市場という5つの分野に注力しているとした。

 リセラーの支援という面では、「テクノロジー・プロバイダー・プログラム」を展開し、最新情報を提供するWebサイトを始め、店員の育成を支援するオンライン/オフラインのトレーニング、キャンペーン景品の提供、および製品の保証やサポートを行なっているという。

 NUCについては、キオスク端末や組み込み向け分野で今後利用が拡大することを見込み、新たにAtomを搭載したNUCベアキット「DE3815TYKHE」を用意。従来モデルから組み込み向けに、筐体内部に自由にデバイスを組み入れられるフリーの空間を確保したほか、NUCとしては初めてAtomを採用。また、4GBのeMMCストレージや、LCDに電源供給もできるeDP(embedded DisplayPort)、12~24VのワイドレンジDC電源入力も用意した。内蔵されているボード「DE3815TYBE」の単品販売も行なう。

 2in1やタブレット形態のPCについては、スムーズな流通ができるようチャネルと製品の確保に努める。一方タッチやカメラを利用したさまざまな入力インターフェイスを持つ「Perceptual Computing」についても、パートナーとの協業を深めていくとした。

 最後に、リテール向けのデスクトップ用ボックスプロセッサについては、1994年に展開して以来、累計5億個を出荷し、現時点においても同社の売上の中で重要な位置付けとなっていることに関して触れ、今後も継続的に注力していくことをコミットした。その一環として、2014年半ば頃に、Pentiumリテールボックス20周年を記念した「アニバーサリー・エディション」を投入するとした。

 また、上級者向けコミュニティ「Club Extreme」を展開するなど、同社の技術の普及の牽引役となっている上級者向けのサービスを充実させていくとした。

チャネルへの5つの取組み
テクノロジー・プロバイダー・プログラムの展開
NUCの利用分野
Atom搭載NUCキット「DE3815TYKHE」およびマザーボード「DE3815TYBE」
DE3815TYKHEを掲げる早船淳司氏
DE3815TYKHEのインターフェイス
DE3815TYKHEの詳細
DE3815TYBEボードの詳細
DE3815TYKHE
従来のNUCのシャーシと比較したところ
Core i5搭載モデルやvPro搭載モデルも一新され、2.5インチドライブベイを内蔵
デスクトップのリテールボックスの累計販売個数の推移
Pentiumの20周年記念モデル
「Club Extreme」の展開
Club Extremeにおける活動内容
Club Extreme早期登録のキャンペーン

9シリーズチップセットとHaswell Refreshの正式発表

秋庭正之氏

 続いて、5月11日より発売された、デスクトップ向けチップセット「9」シリーズ、およびプロセッサ「Haswell Refresh」について正式発表を行ない、同社技術本部 統括部長の秋庭正之氏が解説を行なった。

 9シリーズのチップセットは、既存の8シリーズをベースとしながら、いくつかの改良を行なっている。まずは、これまでの第4世代Coreプロセッサ(Haswell)に加え、次期の第5世代Coreプロセッサ(Broadwell)への対応を行なった点だ。2つ目はIntel RST(Rapid Storage Technology)がバージョン13となり、PCI ExpressベースのストレージとSSHDに対応になった点。そして3つ目がUEFI BIOSの改ざんを検出してブートを留める「デバイス・プロテクション・テクノロジー」をサポートした点である。

 また、9シリーズからはPCI ExpressベースでM.2接続のSSDを正式にサポートし、ブート可能となった。M.2ではPCI Express 2.0 x2接続で1,000MB/secのバンド幅を提供でき、RSTと組み合わせることで高性能を実現できるとした。

 なお秋庭氏によると、8シリーズでもHaswell RefreshおよびDevil's Canyonまでは対応できるが、Broadwellでは電源の設計が異なるため、既存モデルでは対応できないとした(メーカー側で8シリーズに新設計の電源回路を載せることでBroadwellに対応することは可能だと思われるが、インテルが保証しないと思われる)。

 一方Haswell Refreshについては、回路の改良により、同じTDPを維持しながら全SKUで旧モデルと比較して100MHz高い動作周波数を実現し、より高い性能を実現できるとした。

Intel 9シリーズの概要
Z97とH97の違い
Intel RSTで新たにSSHDに対応
16GBのSSDをキャッシュとして利用した場合、ディープスリープモード時にはメモリの内容を保持し、高速な復帰をサポート
Intel RSTの機能
Haswell Refreshの位置付けと展開
Haswell RefreshのSKU

Intel SSD 730も紹介

 最後に、同社 クラウド・コンピューティング事業本部 事業開発マネージャーの幸村裕子氏による、ハイエンドコンシューマ向けSSD「Intel SSD 730」シリーズの紹介が行なわれた。

 既にご存知の方も多いと思うが、同社は2008年に内製SSDコントローラを採用した「X25-E」と「X25-M」シリーズのSSDを投入して以来、「Intel SSD 710」シリーズで2世代目、そしてエンタープライズ向けの「Intel SSD S3700/S3500」シリーズで3世代目を投入してきた。今回のIntel SSD 730シリーズは、エンタープライズ向けのS3700/S3500でも利用されているコントローラを、コンシューマ向けにカスタマイズした高性能モデルである。

 コントローラの設計自体はS3700/S3500に準じるが、コンシューマの性能需要を満たすためにクロックアップを行なったり、コンシューマ向けに最適な性能と寿命を提供するファームウェアのチューニングを行なった。

 同社のIometerの測定によれば、仕様として表記されているスペック以上の性能が発揮できるほか、RAID 0構築時においては台数に応じたスケーラブルな性能向上を実現。また、レイテンシが常に一定となるようチューニングされているため、長時間の書き込み時でも高い性能を維持できるとアピールした。

幸村裕子氏
Intel SSDのラインナップと歴史
Intel SSD 730の主な特徴
Intel SSD 730とほかのSSD(非公開)の性能比較
RAID 0時には高性能を発揮
ランダムデータを継続的に書き込んでも性能を維持

(劉 尭)