NECパーソナルコンピュータ株式会社は、Windows 8/RTを搭載した個人向けPCの発表会を開催した。
NECパーソナルコンピュータ株式会社 代表取締役社長 高塚栄 氏 |
同社の代表取締役社長である高塚栄氏は今回の新製品の背景を次のように説明した。
「NECレノボ・ジャパングループ発足以来、さまざまな事業基盤の共通化を図り、2010年10月にはレノボ・ジャパンの 個人向けサポートを当社が請け負い、2012年7月には法人向けサポートを含めて当社が担当することになった。その間、当社自身は電話サポートの完全無償化を実施し、サポート&サービスの充実を実現した。お客様満足度向上の一環としては、昨年(2011年)10月に初心者の方が安心して使って頂けるよう『NECとことんサポートPC』を発売し、魅力的な商品の創出として8月に世界最軽量のLaVie Zを発売して商品面でのイノベーションを実現した。Windows 8時代もこの方針をさらに発展させる」。
Windows 8に対しては、「Windows 95以来、17年ぶりのインターフェイス革命。大きな変化要因として、クラウド常時接続が前提となっていること、PCだけでなくタブレット、スマートフォンを利用するようになったことで、PCでもタッチパネルが使えないか? と感じる人が増えたことがあげられる。Windows 8はこうした変化を受けて登場したもので、NEC側から見ても大きな意味を持っている」(高塚社長)とした。
ラインナップには国産メーカーとしては初めてWindows RTを搭載したコンパーチブルタブレット「LaVie Y」もある。これは「レノボ・グループだからこそ、いち早く発表することができた製品」(高塚社長)。レノボが日本では発売しないIdeaPad Yoga 11をベースに、日本語キーボードにキートップ、外観の色、ACアダプタなどNEC側が日本独自仕様を盛り込んだ製品となっている。オープンプライスだが、店頭での価格は9万円前後となる見込み。
ターゲットユーザーとしては、「現状のスマートデバイスよりも能力の高い端末を求めている層」と想定。Microsoft Officeが動作するなど他のOSのタブレットにはないWindowsの強みを求めるユーザー層が存在すると見ている。
逆に他社が投入しているピュアタブレットは今回の新製品には用意されていないが、「データを見る、楽しむ機能とWindowsの生産性を併せ持つことができるコンバーチブルタブレットがWindows 8で最初に求められるものだと想定し、優先して商品化した。ピュアタブレットを否定するものではない」(高塚社長)だとした。
今回のラインナップでは、「タッチオールスターズ誕生」というコンセプトを掲げ、Windows 8のタッチインターフェイスに対応したラインナップを揃えた。
NECレノボ・ジャパングループ発足以降の取り組み | Windows 8登場の意味 | デスクトップの一部に「タッチパッドリモコン」を搭載 |
イノベーションプロダクトの第2弾、国内初のWindows RT搭載タブレット | Windows RT搭載のLaVie Yを手にした高塚社長 | さまざまなタイプのユーザーに最適なタッチ操作を提案 |
「他社からもタッチインターフェイス製品が登場しているが、あえてオールスターズと強調したのは、スマートフォンやタブレットなどスマートデバイスがタッチ操作中心であるのに対し、Windows 7まではキーボードとマウス操作が中心。異なる操作をすることになったお客様の違和感を解決するために、タッチ操作を強調させて頂いた」(NECパーソナルコンピュータ株式会社 商品企画本部・栗山浩一本部長)。
しかし、デスクトップに関してはあえてタッチパネルを搭載しなかった。「ノートPCに対して、画面の大きなデスクトップPCは画面から離れて使用するためタッチパネルはあり得ない。そこでリモコンに着目し、裏側に最大5ポイントマルチタッチのタッチパッドを搭載した」(栗山本部長)と、独自のタッチパッドリモコンを用意した。
NECパーソナルコンピュータ株式会社 商品企画本部 本部長 栗山浩一 氏 | NECのWindows 8搭載モデルの特長 | NECのWindows 8搭載タッチインターフェイス製品 |
フラグシップA4ノート「LaVie L」 | メインストリーム向けスリムノート「LaVie S」 | タッチパネルを搭載したLaVie Sベースの「とことんサポートPC」 |
「デスクトップにタッチパネルはありません」 | デスクトップは裏がタッチパッドとなっているリモコンで操作 | タッチパッドリモコンで離れた位置からデスクトップ操作が思いのまま |
21.5型液晶一体型「VALUESTAR N」 | 23型液晶の「VALUESTAR W」 |
さらに以前から強調していたAKK(安心・簡単・快適)というコンセプトを引き続いて採用。マウスでWindows 8を操作しやすくするために、NEC独自のチルト機能を割り当てたマウスを開発。製品に添付することで、マウスでも安心し、簡単、快適にWindows 8を操作できる。具体的な動作としては、ホイールを左へ倒すとチャームの表示、右へ倒すとアプリ一覧を表示する。
Windows 8の操作及び年賀状作成、無線LAN接続など汎用的な操作方法に関しては、「動画ナビ」を搭載。初心者でも操作を学ぶことができる。
「動画以外にも、あんしんスタートWindows 8という小冊子を同梱しており、Windows 8についてゼロからでも使いこなせるよう、工夫をした」(栗山本部長)。
Windows 8もやっぱりAKK(安心・簡単・快適) | マウス操作もWindows 8に対応 | 初心者でも安心な動画ナビ |
Windows 8を動画で学習 | Windows 8を紹介する小冊子を添付 | ラインナップ |
また、8月に発売した世界最軽量のUltrabook「LaVie Z」もWindows 8搭載モデルを用意した。
LaVie ZにWindows 8を搭載 | Windows RT搭載のコンパーチブルタブレットLaVie Y |
Windows 8搭載モデルの販売目標については、「昨年のコンシューマ市場は対前年比105%から110%となっていた。しかし、今年上半期は10%弱のマイナス成長となっていた。それが10月に入り、対前年比100%レベルに戻った。このまま下半期にはWindows 7搭載PCを買うのが最後のチャンスだと考えた人、Windows 8発売を待っていた人が加わり、前年同様105%から110%規模の市場全体となることを期待したい。当社自身はタッチ機能製品で市場を上回る伸びを実現したい」(高塚社長)と話した。
日本マイクロソフト 代表執行役社長 樋口泰行 氏 | NECパーソナルコンピュータ・高塚社長と日本マイクロソフト・樋口社長 |
会見には日本マイクロソフトの樋口泰行代表執行役社長も登場。「NECさんとMicrosoftは、本社エンジニア同士が寝食を共にするような歴史の長い、深い間柄にある。先日、スティーブ・バルマーが、最初に自分が会ったお客様はNECだったという話を聞いたばかりだ。私自身も、学生時代にTK-80を作った経験があり、個人的にも今日の発表は感慨深い。さらに、本日はOffice搭載Windows 8 PCを購入したお客さまに、次期Office(2013)へと無償でアップグレードしてもらえるプログラムを発表した。こうしたことをきっかけに、大げさにはなるが日本全体が元気になってもらうことができれば」と賛辞を送った。
タッチパッドリモコンで操作できるVALUESTAR N | タッチパッドリモコンで操作できる VALUESTAR W | タッチパッドリモコン |
タッチパネルになったLaVie L | Windows 8対応マウス | タッチパネルを搭載したとことんサポートPC |
コンパーチブルタブレット LaVie Y | NECのWindows 8搭載新製品 |
(2012年 10月 22日)
[Reported by 三浦 優子]