シャープ、複数の書店に対応できるAndroid用電子書籍ビューワ
~年内に10の書店が採用へ

6月29日 発表



 シャープ株式会社は29日、複数のフォーマット/書店に対応可能な統合型のAndroid用電子書籍ビューワ「book-in-the-box」を7月4日より無償提供開始すると発表した。

発表会で説明を行なったシャープ通信システム事業本部ネットワークサービス事業推進センター所長の辰巳剛司氏

 book-in-the-box(以下BIB)は、現行のGALAPAGOSアプリの機能および操作性を踏襲しながら、(1)電子書籍の一元管理/閲覧、(2)書店連携、(3)マルチフォーマット対応という3つの機能拡張を施したもの。

 BIBの最大の特徴は、このビューワに対応する異なる書店の書籍を一元的に扱える点。フィーチャーフォン全盛時代は、キャリアがDRMやビューワを提供していたため、XMDF形式だけでも250の書店、10万のタイトルで採用されるほど活気づいていた。しかし、スマートフォン時代では、各書店が専用のビューワアプリやDRM実装を行なう必要がでてきたため、コストや技術の問題から発展が阻まれていた。また、ユーザーにとっても、異なる書店の書籍を読むには異なるアプリが必要となったり、書店(サービス)を乗り換えた場合、過去の書籍が読めなくなる場合すらあるという問題があった。

 今回シャープは、アプリと同時に、書店や取り次ぎなどのコンテンツプロバイダに対して、DRM技術を含めたソリューションとして提供する。これによって、コンテンツプロバイダは、低コスト/短期間でスマートフォン向けの電子書籍サービスを展開できる。加えてBIB対応コンテンツは、従来のような書店との1対1の紐付けがなされないため、ユーザーはどの書店から購入した書籍でも、BIB上で一元的に管理/閲覧できる。例えば、A書店である漫画の1~3巻を買い、B書店で4~6巻を買った場合、BIBの書棚ではその漫画の1~6巻が揃っていることになる。

 続きものや関連書籍などへの導線として、BIBには各書店の購入サイトを閲覧するブラウザ機能も搭載。また、これまでGALAPAGOSアプリはXMDFとEPUBに対応していたが、BIBでは.book形式にも対応し、閲覧可能なコンテンツの幅が広がっている。例えば、漫画ではEPUBコミック形式、小説ではXMDF形式の採用が多いが、ユーザーはそういったことを気にする必要なく、幅広いジャンルのコンテンツを1つのアプリで閲覧できるようになる。

従来は、書店が違うとアプリが変わり、一元的に読めなかった事業者にとっても、ビューワやDRMの開発/実装がbook-in-the-boxはこれらの問題を一挙に解決

 BIBに対応する書店としては、7月初旬からの白泉社e-コミックスおよびシャープ自身のGALAPAGOS STOREを皮切りに、12月までに計10の書店がコンテンツを提供開始する予定。GALAPAGOS STOREでこれまで販売したコンテンツについては、すべてBIBに対応する。出版社としては、集英社、出版デジタル機構、小学館、新潮社、ボイジャーが賛同を表明している。

 今後シャープでは、対応フォーマットやDRMを拡大予定。プラットフォームについても、近々にiOSおよびWindows Phoneへの対応を図る。また、コンテンツやサービスプロバイダに対して広く門戸を広げ、採用を呼びかけていく。

BIBのデモ。これは仮想電子コミック書店で購入する場面購入してダウンロードが終わると、このように書棚に並び、タップして閲覧。ここまでは他のアプリと変わりない
今度は、書籍を販売する別の仮想書店から小説を購入すると、先ほどの漫画と一緒に書棚に小説が並ぶこちらはXMDFなので、文字を大きくしても、リフローで1画面に収まるように表示される

(2012年 6月 29日)

[Reported by 若杉 紀彦]