NECは、LCD透過型液晶のヘッドマウントディスプレイを搭載したウェアラブルコンピュータ「Tele Scouter」を発売した。出荷は12月26日。価格は構成によるが、ベーシックモデルは40万円からとなっている。
ブラザー工業製のヘッドマウントディスプレイ「AiRScouter(エアスカウター)」を採用したウェアラブルコンピュータ。実作業を伴う現場業務を支援する用途などで利用できる。
ヘッドマウントディスプレイとコンピュータ本体は専用コネクタで接続。ディスプレイ解像度は800×600ドットで、画面サイズは1m先の16型ディスプレイに相当する。ピント調整も約30cm~10mで調整可能で、現実で見ている物体と同じ距離に調節することで目のピントの行き来を抑えられる。
コンピュータ部は、小型部品の採用は配置の最適化により、従来製品からサイズと重量を50%削減した。作業者の腰ベルトに装着可能で、ハンズフリーの作業環境を提供する。
さらに、Tele Scouter専用の遠隔業務支援ソフトウェアを製品化。カメラ付きメガネフレームと組み合わせることで、作業員が見ている映像を遠隔地にオペレータに送信し、オペレータが指示を作業員にフィードバックできる機能などを備える。価格は199万円。また、別売りのマイクとヘッドフォンにより音声も利用可能で、事故やトラブルを防止できるとしている。
コンピュータ部の主な仕様は、CPUにARM 500MHz、メモリ256MB、ブート用メモリ2GB、OSにWindows Embedded CE 6.0 R3 Professionalを搭載。インターフェイスは、microSDカードスロット、IEEE 802.11a/b/g対応無線LAN、Bluetooth 2.0+EDR、専用カメラ端子を備える。IP40準拠の防塵防水機構を装備する。
電源は専用バッテリで、駆動時間は4時間以上。本体サイズおよび重量は、コンピュータ部が90×140×55mm(幅×奥行き×高さ)/約360g、ディスプレイ部が75×35×40mm(同)/約64g(ケーブル込み、メガネフレーム別)。
発表会場で展示されていたTele Scouter | コンピュータ部。ポインティングデバイスやLEDが見える | 従来品との比較 |
厚みも抑えられ、ファンが小型化した | 本体側面に排気口が見える | ヘッドマウントディスプレイ部 |
片目用の半透過型液晶ディスプレイを装備 | このように半透過型ディスプレイに映像が映る | 実際に装着したところ |
17日に都内で開かれた記者会見では、NEC プラットフォームマーケティング戦略本部 マネージャーの永浜公太郎氏が、新製品の特徴および製品デモを行なった。現状においては、遠隔指示/現場作業における利用で作業ミスを防ぐといった用途に限定されているが、将来的にはクラウドを活用し、Webカメラで撮影した映像をリアルタイムにクラウド側で処理し、結果をユーザーに即時にフィードバックするといったことに期待したいとした。
(2011年 10月 17日)
[Reported by 劉 尭]