エプソン、実売10万円を切る高速/高耐久A4カラーレーザー/複合機
~PostScript 3、IPv6、Gigabit Ethernet対応

左から「LP-S820」と「LP-M720F」

10月下旬から順次発売
価格:オープンプライス



 エプソンは、A4カラーレーザープリンタ「LP-S820」と、A4カラーレーザー複合機「LP-M720F」を発表した。価格はオープンプライス。

 LP-S820は、10月下旬発売で、エプソンダイレクトによる直販予定価格は89,980円。LP-M720Fは、12月発売で99,980円。

 これまでエプソンがラインナップしていなかった「A4」かつ「高速/高耐久」領域の製品となる。

山崎英男部長

 セイコーエプソン株式会社 情報画像事業本部LP事業推進部 部長の山崎英男氏は、「ターゲットとなる市場は、5人以上で共有しているおり印刷速度が速い必要がある場合。LP-S820は30ppm、LP-M720Fは24ppmで、カラーもモノクロも同じ。しかも、両面印刷でも印刷速度が落ちない。耐久性も40万ページと高い」と語った。

 内蔵の両面印刷ユニットは、両面印刷の高速化のために3枚の用紙を同時にハンドリングする。また、構造を見直すことで、厚手の用紙でも両面印刷可能とした。自動両面印刷は環境への配慮から要望が増えているという。

 また、卓上や脇机に置いても操作面に手が届くように、本体の高さを低め、全体の容積を小さくした。機能面では両機種ともPostScript 3に対応しており、Mac OSやLinuxを含むマルチOS環境への対応を図っている。ネットワーク機能もGigabit Ethernet対応で、IPv6にも対応するなど文教/大学関係への配慮が伺われる。

今回の2機種は、高速/高耐久レンジを狙った製品。コンセプトは「省」と「高」7月8月に発表した製品群と合わせて、フルラインナップ展開を図る高速/高耐久かつ省スペースがウリ
タンデム方式なのでカラーでも印刷速度が落ちないA4だけでこれだけの機種があるデスクサイド機なので、高さを抑えることに配慮されている。奥行きは少し増えている
用紙の経路にあたる部品を改良し、厚紙での両面印刷が可能となった両面印刷の速度を落とさないために、3枚の用紙を同時にハンドリングしている40万ページの耐久性もウリ
カラートナー切れ時のモノクロ代替え印刷や、スキャンデータの転送などの機能も備えるビジネス市場での立場を確保するという決意の言葉
鈴村文徳部長

 エプソン販売株式会社 LP・BIJ MD部 部長の鈴村文徳氏は、販売面について語った。「エプソンはここ数カ月、積極的に新分野に新製品を投入しており、今年度は16機種のビジネス用ページプリンタを発表した。今回はレーザーならではの領域である高速/高耐久の製品だ。従来は、高速/高耐久領域の製品はA3機で対応していたが、書式などがB4からA4へと移っており、A4機を投入した。ページプリンタ市場は、この不況下でも堅調であり年間で約54万台を想定している。エプソンは、その市場でシェア30%、台数で16万台を目標としたい」と強気の見通しを述べた。

 「新製品を投入するだけで30%取れるのかと言われるが、7月に投入した新製品によって、6月は12%前後だったシェアが、9月には20%に向上した。各製品が出そろったあと1年以内には30%のシェアが取れると思っている」と穴の無いラインナップを構築することが台数の増加に繋がるという考えを示した。

 なお、A4機とA3機の比率については、「2010年度の市場は、A4が48%、A3が52%で、A3がやや多かったが、2011年度は50対50になると見ている。2011年上期のエプソンの出荷で言うと、A4機は対前年で20%増えている」と語った。

両機種とも10万円を切る実売価格エプソンの拡大戦略。上下左右へと製品分野を広げるページ(レーザー/LED)とインクジェットの使い分け
これまで、シェア13%とか5%だったのを、グンと積み上げる強気の計画ページプリンタの市場は震災を受けても堅調と見ているA3からA4へシフトする理由
シェア目標が30%、16万台を売り上げるという新製品の投入効果を表わしたグラフ。この調子で30%を狙うインクジェットとページの両輪があることが、自社の特徴とする

 発表会場には、実機も展示されていた。以下、写真とキャプションで紹介する。

●LP-S820
LP-S820。ツートンカラーのシンプルなデザインLP-S820のフロントパネルを開けた状態。タンデム式なのでトナーに簡単にアクセスできる。右に見えるのがトナーでかなり小さいカラープリンタとは思えないほどシンプルなLP-S820の操作部分
LP-S820のサイドパネルを開けた状態。紙の通路に手が届くのでジャム(紙詰まり)時には回復が楽そうだ。黄色く注意が書かれているのは「定着ユニット」で10万枚ごとに交換。定着ユニットは機種によってはサービスマン対応なので、ユーザーが交換できるのは便利LP-S820の配線部分。展示ではUSB接続だったが、Gigabit Ethernetを備える操作部分の横にはUSB端子があり、USBメモリに入れた書類や画像が印刷できる
LP-S820の特徴
●LP-M720F
LP-M720F。こちらはモノトーン左の旧型機に比べると低いLP-M720Fの操作部分。FAX機能を持つ複合機としてはシンプルなパネル。表記も日本語
スキャナ部分は両面非対応で、原稿枚数も35枚までと少ない。本格的なスキャナというよりは、FAX機能用と割り切った造りだLP-M720Fの配線部分USB端子に装備したUSBメモリにスキャンしたデータを保存できる。USBメモリ内のファイル印刷もできる
LP-M720Fの特徴
●発表済みの新製品群
今年度に入って発表された新製品群。とても多い12機種に及ぶA4プリンタ/複合機のラインナップ

(2011年 10月 14日)

[Reported by 伊達 浩二]