日本HPがPC事業についてコメント
~「PC事業売却ではなく、1年半以内に大規模変革」

岡隆史氏



 米国本社がPC事業を売却と報じられている件について、日本ヒューレット・パッカード株式会社(日本HP)の取締役副社長執行役員パーソナルシステムズ事業統括の岡隆史氏が、「コンシューマ事業を止める、もしくは分離すると報道されているがそれは誤り。これから1年から1年半の間に、事業分離も含めて大規模な変革を行なうと発表したのが正確」とコメントした。

 岡副社長は、日本法人の昭島事業所が8月から開始したノートPCの国内生産説明会に出席したが、その席で「米国で行なわれた第3四半期発表でのPC事業に関する発表についても、触れないわけにはいかないだろう」と発表内容に言及した。

 その内容は以下の通り。

(1) 昨年買収したPalmが開発したwebOSベースのスマートフォン、タブレットの販売を米国で7月から開始したが、これを打ち切り、webOSベースのハードウェア事業からは撤退する。ただし、webOSを用いたソフトウェア事業については継続する。

(2) PC事業は、1年から1年半かけて大規模な変革を実施する。変革の可能性としては、社内に事業を置いたままで改革、分社独立しての改革などあらゆる手段を用いる。

 岡副社長は、「事業の売却や分離といった憶測が出る背景として、それほど売り上げ、収益性が低いのかと思われるかもしれないが、2010年度のPC事業の売り上げは400億ドル、日本円にして約3兆2,000億円ある。利益も約1,600億円と、5%の利益率があり、直近の第3四半期では5.9%に向上している。他社に比べると日本でこれほどの利益をあげているメーカーはなかなかなく、世界的にもトップレベルで非常に健全なものだ」と述べた。

 逆に変革が必要な部分として、「当社の端末事業において、伸長著しいタブレット、スマートフォン市場について、webOSで取り組むと説明していたが、webOSベースのハード事業をやめることで穴が空いてしまった。これをどう埋めていくのか。世の中が変わっても、ビューアとしてのタブレット、スマートフォンと、データ作成用のPCは併存するはず。webOSベースのハードがなくなったことで、これから4年後、5年後にどう変革するのかということを考えていかなければならない」と説明した。

 また、「変革にかかる時間が1年から1年半と時間がかかるため、モヤモヤした状況にあるかもしれない。が、お客様に対しては何も変更せず、HP製品を購入してよかったと感じてもらえるよう現行の営業を変えることなく、磨き上げていく」と、変革の内容が発表されるまでは現行体制を変える予定はないとした。

(2011年 8月 24日)

[Reported by 三浦 優子]