シャープ株式会社は3月2日、TSUTAYAと共同で展開している電子ブックサービス「TSUTAYA GAPALAGOS」を、シャープ製スマートフォン向けに提供開始した。

　シャープが開発したアプリケーション「GALAPAGOS App for Smartphone」を、シャープ製のスマートフォンにインストールすることで、TSUTAYA GALAPAGOSで展開されている電子ブックの購入、管理、および閲覧が可能になる。また、新聞や雑誌などの最新版が自動配信される「定期配信サービス」もサポートする。

　これまで、TSUTAYA GALAPAGOSはシャープ製のメディアタブレット「GALAPAGOS」のみで利用可能だったが、シャープ製のスマートフォンでも利用可能になったことで、より広範囲のユーザーをカバーできるようになるとしている。

　対応端末は、KDDIから発売されている「IS03」、NTTドコモから発売されている「LYNX 3D SH-03C」、ソフトバンクモバイルから発売されている「GALAPAGOS SoftBank 003SH」、「同005SH」、ディズニー・モバイルから発売されている「DM009SH」の5機種。今春KDDIから発売予定されている「IS05」もサポートする。Android 1.6搭載の「IS01」などはサポートしない。

　アプリケーションはAndroidマーケットからダウンロードできる。マーケットで提供されているため、シャープ製端末以外でのダウンロードも可能だが、起動時に非対応とのメッセージが表示され、強制終了する仕組みとなっている。

GALAPAGOS App for Smartphoneの概要	コンセプトやターゲットユーザー	主な特徴や新機能など

　機能面ではメディアタブレットのGALAPAGOSとほぼ同様で、書籍の管理と閲覧/購入など基本的な操作が可能なほか、対応書籍では拡大/縮小の際のテキストのリフロー表示が可能なほか、全文検索、ブックシェルフ、マーカー機能を搭載する。

　スマートフォン版ならではの要素として、メニュー画面は、端末の解像度に関わらず画面表示の横幅をフィット、縦幅をリスト行数調節を行なうことで、複数の端末に同一のバイナリで対応。また、コンテンツレイアウトのアスペクト比を固定する機能(上下左右に黒帯を表示)を搭載した。

　さらに、選択した単語をWebで検索する「Web検索機能」、ユーザーIDとクレジットカードの登録を行なわなくても、ストアへのアクセスや書籍の体験版などがダウンロードできる「ゲストモード」、海外ローミング時などに定期配信を一時停止する機能、定期購読で自動配信されたコンテンツがあると、ステータスバー上にアイコンで通知する機能などを追加した。

　アカウントはサーバーに保存され、1ユーザーあたり3デバイスまで、同一のコンテンツのダウンロードや閲覧が可能になった。なお、スマートフォンは単独で通信できる機能を搭載しているため、PCとの連携機能は省かれた。

自動配信サービスにも対応する	コンテンツが自動配信されるとステータスバー上にアイコンを表示	ブックシェルフ自体はメディアタブレットのGALAPAGOSと同等
さまざまな解像度に対応させるための工夫	コンテンツのアスペクト比は維持される	マーカーを引く機能以外に、Web検索機能を備えた
ゲストモードを搭載し、ユーザー登録をしなくてもストアへのアクセスが可能	3デバイスまで同一コンテンツのダウンロードや閲覧が可能	アプリケーションのダウンロードはAndroidマーケットから行なう
実機での動作。デスクトップ上のGALAPAGOSアイコンでアプリが起動する	メディアタブレットのGALAPAGOSと同様のブックシェルフが表示される	ゲストモードではユーザー登録をせずにストアへのアクセスが可能
新たに自動配信をOFFにするモードが加わった	横表示対応のコンテンツを閲覧したところ

　2日に都内で開かれた記者会見では、同社 執行役員 ネットワークサービス事業推進本部長 千葉徹氏が挨拶。メディアタブレットのGALAPAGOSを市場に投入して以来、イオンやNTT西日本、ハーストーリィプラスの3社と協業した家族向けサービスの展開などを発表し、順調に事業を拡大してきたとアピールし、「今後GALAPAGOSは電子書籍のみならず、ライフサポートや動画など、マルチコンテンツで展開していきたい」とした。

　今回のスマートフォン向けアプリケーションの投入については、「シャープのスマートフォンはすでに累計100万台出荷されており、これらすべての端末でGALAPAGOSの楽しさを共有できる。今後も機能ばかり追求したハードウェアの売り切りをするのではなく、クラウドサービスを展開することで、ユーザーが楽しいと思ってくれる、価値のある製品・サービスづくりに取り組んでいきたい」と語った。

千葉徹氏	GALAPAGOSのコンテンツ配信サービス	ハードウェアだけでなくサービスもユーザーに提供する

松本融氏

　製品説明を行なった、同社 ネットワークサービス事業推進本部 商品企画担当 チーフの松本融氏は、「我々の集計によれば、ユーザーは30～50代の男性が最も多く、特に40代が軸となっている。一方、我々のスマートフォンは既に累計で100万台出荷しているが、若年層や女性層の利用者も多く、我々のGALAPAGOSをスマートフォン市場向けに提供することで、利用者層の拡大を実現できる」とした。

　さらに将来的には、専用端末やスマートフォンのみならず、TVなど、マルチデバイスへの展開も図っていきたいとした。

　質疑応答では、他社製スマートフォンへの展開についての質問がなされ、松本氏は、「今回、コンテンツの表示品質などの観点から我々のスマートフォンのみの対応とした。しかしながらTSUTAYA GALAPAGOSのシェアを拡大するためには、他社製スマートフォンへの対応も考慮しなければならないのは十分に認知しており、今後提供できるタイミングになったらまた改めて案内したい」と答えた。

GALAPAGOSのサービスシステム	サービスイン以降、順調に展開しているという	サービス利用者の多くは30～50代

定期購読コンテンツの利用者も多い	今後の市場拡大にむけての取り組み
専用端末、スマートフォンのみならず、将来的にTVへの展開も検討する	マルチデバイス、マルチサービスへの展開