富士通は、Intelの次世代Atomプロセッサ「Oak Trail」を搭載したスレートPC「STYLISTIC Q550/C」を発表した。OSはWindows 7で、Home PremiumとProfessionalのそれぞれ32bit版が提供される。
ペンなしモデルと、ペンありモデルの2機種が用意される。ペンなしモデルの価格は94,290円から、出荷時期は4月上旬となる。ペンありモデルは104,790円からで、出荷時期は5月中旬から。
基本的に企業向けの製品で、指紋認証/スマートカード/セキュリティチップなどのセキュリティ機能がBTOで用意される。顧客のソフトウェア資産とセキュリティ機能の高さから、法人向け端末としては、WindowsとIntel CPUの組み合わせが最適であるとされた。
STYLISTIC Q550/C。ペンありモデルが用意されるのが企業向けらしい | 法人向け端末としては、WindowsとIntel CPUの組み合わせが最適 | 法人向け端末の条件 |
タブレットはPCを置き換えるものではなく、操作の簡便性などで補うものと位置づけられている | タブレット端末の用途は広い。法人用途では金融/文教/ヘルスケアなどがターゲット | 今回のモデルはワールドワイドで提供される |
Q550/CのCPUはOak Trailとだけ発表されており、クロック数などは未公開。メモリはDDR2の2GB(最大2GB)。フラッシュメモリドライブは、暗号化機能付きで30GBと62GBが用意される。
液晶は10.1型1,280×800ドットで、ペンなしモデルは静電容量方式、ぺんありモデルは静電容量+電磁誘導方式のタッチパネルとなっている。ぺんありモデルのペンは専用品が付属する。
インターフェイスは、IEEE 802.11a/b/g/n無線LAN、Bluetooth 3.0、USB 2.0×1、HDMI、SDカードスロット、音声入出力を備える。また、オプションで無線WANにも対応する。本体にはクレードルも付属し、充電のほかUSB 2.0×4のインターフェイスを備える。
本体サイズは275×193×16.2mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約690gから。バッテリはリチウムポリマーで、標準のほか大容量タイプが用意される。大容量タイプ搭載時の重量は約840g。バッテリ駆動時間は標準で約5.5時間、大容量タイプは約10時間。
片手で実機を示しながら機能を説明 | 690gと最大10時間駆動が特徴。無線LANは802.11aにも対応している | セキュリティ用途のハードは充実している |
富士通はタブレットPCについて長い歴史を持っている | 富士通の持つPCビジネスの経験と実績がウリ | Windows 7が持つWindowsタッチに、らくらくパソコンなどで開発したタッチPCのノウハウを加えている |
発表会場では、日本マイクロソフトとインテル日本法人からのゲストも出席し、WindowsベースのスレートPCへの期待が感じられた。
日本マイクロソフト株式会社 代表執行役 社長 樋口泰行氏 | インテル株式会社 取締役 副社長 宗像義恵氏 | 「STYLISTIC Q550/C」を手に記念撮影 |
質疑応答では、Q550/Cの販売目標について、「日本国内でのWindowsベースタブレットPCの市場はゼロに等しい。富士通では、北米市場を中心にスレートPCを1991年から出荷しており、現在のシェアは2位で、今年は1位を目指している。ワールドワイド市場での使い方をお知らせし、市場が拡大していくように育てたい」と述べた。
また、企業向けはWindowsベースだが個人向けについても同じ方針かという問いに対し、「お客さまが望むものは用意する。ユーザーエクスペリエンスを重視すると、起動の遅さなどは弱点と認識している。企業市場向けでは運用の容易さやセキュリティが重視されるが、個人市場向けは重点が異なるし、自由度も高いので、最適なシステムを提供したい」と、かならずしもWindowsベースにこだわらない姿勢が示された。
発表会場で展示されていた実機は、690gという数字よりも軽く感じられた。特にどこかが重いというバランスの悪さがなく、スッと持てる感じだ。ただし、次世代とはいえAtomとWindows 7の組み合わせなので、動作速度はそれなりであまり速くない。また、やはり起動にはかなりの時間がかかる。液晶の視野角はペンの有無を問わず非常に広く、プレゼンテーション用途を重視していることが感じられた。
(2011年 2月 24日)
[Reported by 伊達 浩二]