インテルと内田洋行、クラスメイトPCを利用した教育実践
~中央区立城東小学校で授業の様子を公開

公開授業の様子

1月20日 実施



 インテルと内田洋行が行なっている、ICTを活用した21世紀型スキル育成授業の様子が、1月20日、東京都中央区の区立城東小学校において公開された。

 2009年度から同校の高学年児童を対象に、インテルが教育分野向けに開発した小型ノートブック「インテル クラスメイトPC」を導入し、児童1人に1台のPC環境での授業を推進。21世紀型スキルを育成する授業モデルとして、授業の有効性や新たな教育モデルについて検証している。

中央区立城東小学校。東京駅八重洲口からすぐの場所にある。大正時代に建てられたもので、そこで最新のICTを活用した授業が行なわれている

 これまでに城東小学校では、算数や国語、総合学習などでICTを取り入れてきたが、公開した授業は4学年児童9人による理科で、児童1人1台のPCと電子黒板を活用。ICT活用力や問題解決力、協働力、思考/判断力、コミュニケーション力などの「21世紀型スキル」を生かした授業と位置づけている。

 「これまでの受身的な教育指導による知識習得とは異なり、社会人に成長した際、グローバル社会への対応で求められる能力やスキルを含んでいる」(インテル)としている。

 公開した授業は、理科の「星の動きを調べよう」。オリオン座の様子や変化などを観察し、児童が発表する内容となっている。

 1人1台の体制で児童がクラスメイトPCを利用。プレゼンテーション資料作成ソフト「スクールプレゼンター」によって、児童が自宅で観察した午後7時、午後8時、午後9時のオリオン座の位置を、ペンでクラスメイトPCに入力。これを前方に設置された50型のプラズマディスプレイ(電子黒板)に表示して、児童全員が、オリオン座の方位、傾き、高さなどについて発表した。

 また、これらの発表をもとに、星座を表示できる学習ソフトウェアを利用して、午後10時のオリオン座の位置をプラズマディスプレイに表示。帰宅後、自宅でその予想を確かめることになる。

 また、授業では、電子黒板に児童全員のデータを表示する一方、通常の黒板を使用して児童の発言を書き出し、要点をまとめて理解を深めるようにした。

 城東小学校における授業でのICT利活用では、中央区の教育委員会の指導室から依頼されているICT支援員が定期的に巡回し、授業におけるハード、ソフトに関するテクニカルサポートや、児童がわかりやすい授業ができるように、指導方法のアドバイスや、授業の目的にあわせたソフトウェアの紹介などを行なっているという。また、ハードウェアのトラブルに関しても、コールセンターで対応するといった体制も敷いている。

 小島敏光校長は、「クラスメイトPCを使いはじめてから、子供たちが興味をもって授業に臨んでいる。児童が自分の考えを発表するという点でも効果的といえる。子供たちはPCを使用することに抵抗がなく、むしろ、いかに教師がPCや電子黒板を使えるようにするかといった点が当初の課題だった。だが、これも短期間でクリアできたと考えている。インテルと内田洋行による実証実験は、2011年3月で終了するが、できれば継続的に授業で活用していきたい。教育委員会ともその方向性で今後話をしていきたい」などとした。

高学年の児童1人1人が使用するクラスメイトPC50型のプラズマディスプレイによる電子黒板を利用する
児童は観察したオリオン座の位置を入力タブレットの形に変化させて利用する児童もいる
オリオン座の位置を入力した様子それぞれが入力した内容をディスプレイに表示して発表全員の観察結果が表示されて、比較もできる
教師が電子黒板を利用して解説する児童ごとにPCは決まっていないが、USBを利用して個人を認証。データも格納される
授業が終わると教室の後方に置かれたボックスの中で充電される教室内に無線LANのアクセスポイントがある。今回の公開授業ではネットには接続しなかった中央区立城東小学校の小島敏光校長

(2011年 1月 21日)

[Reported by 大河原 克行]