株式会社ジャストシステムは、Windows用日本語ワープロソフト「一太郎2011 創」、日本語変換システム「ATOK 2011」などを、2011年2月10日に発売する。対応OSはWindows XP/Vista/7。
価格は、「ATOK 2011 for Windows」が含まれる「一太郎2011 創」が21,000円、これに加えて音声読み上げソフト「詠太(えいた)」やモリサワフォント、「スーパー大辞林」や「ジーニアス英和/和英辞典」、「花子2011」、「Shuriken 2010」、「JUST PDF 2」などを収録した「一太郎2011 創 プレミアム」が26,250円、さらにポータブル版の「一太郎ポータブル with oreplug」、表計算の「三四郎2010」、プレゼンテーションソフトの「Agree 2010」を加えた「一太郎2011 創 スーパープレミアム」が34,650円。
ATOK 2011 for Windowsは単体でも発売され、価格は8,400円。これに「大辞林」やExcelプラグインなどを加えた「プレミアム」は12,600円。さらに「広辞苑」や「ロングマン英英辞典」を追加した「オールインワンパック」は18,900円。
このほか花子2011の単体販売などもされる。バージョンは多岐に渡り、製品体系が複雑なため、各パッケージの機能や価格を下表にまとめた。
一太郎 | |||
バージョン | 一太郎2011 創 | 一太郎2011 創 プレミアム | 一太郎2011 創 スーパープレミアム |
通常版価格 | 21,000円 | 26,250円 | 35,650円 |
特別優待版価格 | 10,290円 | 18,900円 | 27,300円 |
バージョンアップ版/アカデミック版価格 | 8,400円 | 15,750円 | 24,150円 |
一太郎2011 創 | ○ | ○ | ○ |
ATOK 2011 for Windows | ○ | ○ | ○ |
詠太 | ○ | ○ | |
リュウミン for 一太郎 | ○ | ○ | |
新ゴ for 一太郎 | ○ | ○ | |
スーパー大辞林・敬語のお辞典 for ATOK | ○ | ○ | |
ジーニアス英和辞典/和英辞典 for ATOK | ○ | ○ | |
花子2011 | ○ | ○ | |
Shuriken 2010 [音声読み上げ対応版] | ○ | ○ | |
JUST PDF2 [作成・編集] | ○ | ○ | |
一太郎ポータブル with oreplug | ○ | ||
三四郎2010 | ○ | ||
Agree 2010 | ○ | ||
ATOK 2011 for Windows | |||
バージョン | ATOK 2011 for Windows [ベーシック] | ATOK 2011 for Windows [プレミアム] | ATOK 2011 for Windows オールインワンパック |
通常版価格 | 8,400円 | 12,600円 | - |
AAA優待版(ATOK登録ユーザー) | 5,250円 | 9,450円 | 18,900円 |
アカデミック版 | 5,250円 | - | - |
優待版(ジャストシステム登録ユーザー) | - | 9,870円 | - |
ATOK 2011 for Windows | ○ | ○ | ○ |
ATOK Syncアドバンス | ○ | ○ | ○ |
スーパー大辞林・敬語のお辞典 for ATOK | ○ | ○ | |
ジーニアス英和辞典/和英辞典 for ATOK | ○ | ○ | |
会社四季報 企業名変換辞書 for ATOK | ○ | ○ | |
8カ国語Web翻訳変換 for ATOK | ○ | ○ | |
ATOKダイレクト for Excel | ○ | ○ | |
乗り換え案内 駅名変換辞書 for ATOK | ○ | ○ | ○ |
Office連携ツール for ATOK | ○ | ○ | ○ |
角川類語新辞典 for ATOK | ○ | ||
ロングマン英英/英和辞典 for ATOK | ○ | ||
広辞苑 第六版 for ATOK | ○ |
発売に先立ち、12月7日に都内で製品発表会を開催した。そこで、製品発表会で紹介された新機能を順に追って紹介する。
●「使って 楽しい、心地いい、つながる、進化するワープロ」大野統己氏 |
一太郎2011 創は、従来の「文書作成における効率性」を継承しながら、新たに「使って 楽しい、心地いい、つながる、進化するワープロ」をコンセプトに開発された。なお、過去のバージョンではバージョン番号や年号による表記のみだったが、今後のバージョンからは、そのバージョンをイメージした一文字が新たに加わるという。
最大の特徴はUIの一新。製品紹介を行なったコンシューマ事業部 企画部の大野統己氏は、「従来の一太郎を、文書作成における効率性重視の“事務机”に例えると、一太郎2011 創は“書斎机”をイメージした。背景を書斎机をイメージした木目調にするとともに、紙がめくれるなどの動きを再現し、楽しさ、心地よさを追求した」と説明する。
画面の左ペインに、各ページのプレビューを見ながら指定した場所へジャンプできる「ジャンプパレット」、右ペインにさまざまな書籍設定などを行なう「ツールパレット」を配置。クリックするときにのみ表示が広がる仕組みで、文書作成時の妨げにならないようにした。
新しい一太郎のコンセプト | 一太郎2011 創のUI | 右ペインに配置されたツールパレット |
左ペインのジャンプパレット。Adobe Readerのように動く | Windows 7のタッチ機能へ対応 |
一方、「つながる、進化する」の仕組みとして、「ソプラプラグイン」を新たに搭載。これにより、「Twitter」などのWebサービスや、「ポメラ」などの外部機器、辞書との連携を高めるとともに、拡張性を持たせた。
発売当初は、Twitterからの情報の引用や、ポメラのデータ取り込み、辞書引きが行なえるプラグインを同梱するが、2011年4月にはWebアルバムサービス「Flickr」、2011年6月にはオンラインコンテンツ管理サービス「Evernote」との連携を図る。
プラグインシステムの「ソプラ」 | Twitterのプラグインでは、Twitterの投稿を一太郎に取り込める。投稿できるクライアントとしても利用可能 | キングジムのポメラとの連携も可能 |
ポメラのメモを取り込む機能 | FlickrやEvernoteへも対応予定 |
このほか、PDF形式の保存、枠選択状態表示の洗練、図形描画のアンチエイリアス、Windows Vista/7でのファイルプレビュー機能への対応を図った。
プレミアムに含まれる音声読み上げソフト「詠太」は、HOYAのサービス「VoiceText」を採用し、長文の日本語を流暢に読み上げることができる。作業の効率化や文書チェック、小さな文字が見にくいといったユーザーに応えられるとした。
また、モリサワフォントである「リュウミン」、「新ゴ」の搭載で、より見やすい文書を作成できるとした。なお、このフォントは独自の暗号化技術を採用しており、ジャストシステム関連製品からしか利用することはできない。ただし、PDFへの埋め込みは可能という。
音声読み上げソフト「詠太」 | 詠太の利用シーン |
モリサワフォントの搭載 | モリサワフォントの利用例 |
このほか、「花子 2011」では数値コマンドの入力やトレーシング編集、寸法線の強化などを図った。メールソフトの「Shuriken 2010」では詠太による読み上げに対応した。
スーパープレミアムに含まれる「一太郎ポータブル with oreplug」は、インストール不要の「一太郎 Portable」、「ATOK oreplug Limited」などを、独自のUSBメモリに収録し、外出先環境でも利用できるようにした。USBメモリは128bitの暗号化に対応し、万が一紛失したとしても情報漏洩のリスクを減らせるとした。
一太郎ポータブル with oreplug | 外出先でも利用可能 | 一太郎ポータブル with oreplugの収録アプリ |
●自動モード切り替えや使う人の興味分野に合わせて変化するATOK 2011
機能解説を行なった井内有美氏 |
ATOK 2011の新機能として、新たな変換精度向上への取り組みとして、ユーザーが変換候補に期待する文体をATOKが自動的に判断し、モードを自動的に切り替える「スマートモードチェンジ」を備えた。
具体的な例として、人名の入力が続く場合、自動的に「人名優先モード」に切り替えることでユーザーが期待する結果を提示することができる。例えば、「田中」、「高橋」、「鈴木」、「渡辺」…と入力した場合に自動的に切り替えが行なわれ、次に「なかの」を変換しようとすると、従来は「中の」になっていたのが、「中野」に変換されるようになる。
また、過去に正しい変換をしたのであれば、入力ミスを防ぐ機能を搭載。一例として「yろこぶ」は「喜ぶ」、「ぱsこん」は「パソコン」、「かくにんしまsた」は「確認しました」、「きーぼ^ど」は「キーボード」に変換されるようになる。
使うユーザーの合わせた新たな学習方法として、「おまかせキーワードチャージャー」を搭載。これはユーザーが興味をもつサイトのRSSを登録することで、定期的にキーワードを抽出し、推測候補としてチャージをする機能。一例として、「小惑星探査機」などが出るサイトのRSSを登録すると、「しょうわ」と入力するだけで「小惑星イトカワ」を推測候補に提示するようになる。
使う人にあわせて進化するATOK 2011 | 入力の履歴から自動的にモードを切り替える「スマートモードチェンジ」 |
入力ミスの自動補正 | RSSを登録するとそのサイトのキーワードを抽出して学習する機能 |
また、入力時の候補に英文や顔文字などを一元的に表示する機能や、候補表示数の変更機能、同社が提供するWebストレージサービス「Internet Disk」を応用したATOKの設定/辞書同期サービス「ATOK sync アドバンス」の強化などを図った。
プレミアムのみの機能として、「ATOKダイレクト for Excel」を紹介。Excelのフォームによく使う見出し語を登録することで、以降見出し語のみの入力で、改行や列組などを含めた長文を一括で変換できる機能を搭載した。
Internet Diskを利用した辞書/設定同期システム「ATOK sync アドバンス」 | スペースバーを押すだけで候補が一元に表示されるようになった |
候補の推測表示数が設定可能になった | Excelへ改行などを含んだ長文の定型文を変換する機能「ATOKダイレクト for Excel」 |
●加藤あいさんをイメージキャラクターに採用
福良伴昭氏 |
製品発表会で挨拶した同社 代表取締役社長 福良伴昭氏は、「製品発表に先立って、開発者一同のムービーをWebで公開したが、周りの反応はかなりよく、“今度の一太郎は違う”という期待の声を多く聞いた。ユーザーの期待通り、今回の製品は“一太郎第二章”の幕開けに相応しいもの。ぜひ多くのユーザーに触れてもらいたい」と述べた。
パッケージにもなっている「一太郎 創」のロゴを書いた書道家の紫舟(シシュー)さんもゲストとして招かれ、「今回書かせていただいたロゴは、一太郎が従来の伝統を継承しながら新たなものを取り入れたというコンセプトをイメージした。太い線の中に白を取り入れることで、力強さ、品格、自由さを表現した」と語った。
一太郎 創のロゴ | 「一太郎 創」のロゴを手がけた紫舟さん |
ジャストシステムのイメージキャラクターとして採用された加藤あいさんも発表会に参加。トークセッションでは、詠太による読み上げの質問に対して、加藤さんが答えるという方式が取られた。PCの利用法について尋ねられると、加藤さんは「学生の時はレポートなどで利用していたが、今はメールやWeb検索がメインです」と答えた。また、詠太の読み上げの自然さ、流暢さに感心する場面も見られた。
詠太の質問に答える加藤あいさん |
(2010年 12月 7日)
[Reported by 劉 尭]