マイクロソフトをはじめ、PCメーカーや周辺機器メーカー、ソフトメーカー、量販店など100社が加盟するウィンドウズ デジタルライフスタイル コンソーシアム(WDLC、堂山昌司会長=マイクロソフト副社長)は、4月27日から実施している「パソコンも地デジカ」キャンペーンにおける新たな取り組みとして、NHKおよび民放キー局から提供される「テレビNaviガジェット」が主要PCメーカーの夏モデルで搭載されることを発表。さらに、キャンペーンにあわせたTwitterによるTVコンテンツコミュニティ「パソコンも地デジカ×ピーチク」を開始すると発表した。
「パソコンも地デジカ」キャンペーンは、同コンソーシアムが、NHKおよび民放キー局と連携して、地デジ対応パソコンでテレビを楽しむライフスタイルを提案するもので、総務省、社団法人日本民間放送連盟、社団法人デジタル放送推進協会(Dpa)が後援。地デジ完全移行が完了する2011年7月まで実施する。
パソコンも地デジカキャンペーン |
総務省の情報流通行政局地上放送課長の吉田博史氏 |
総務省の情報流通行政局地上放送課長の吉田博史氏は、「2年前に、テレビとPCの融合の可能性について指摘したが、まだ道半ば。地デジチューナは7,780万台の出荷があるが、そのうち、地デジチューナを搭載したPCは220万台。それでも月2~3万台に留まっていたものが、4月には月10万台を超える規模となった。地デジは画面が美しい、迫力があるというだけでなく、野球放送を見ながら画面上に選手のデータを表示したり、子供が勉強しているときには音を消して、字幕放送で見たりといった用途に応じた使い方ができる。その人ごとの使い方ができるのが特徴。日本方式の地上デジタル放送は日本を含めて10カ国に広がった。地デジ放送と同様に、テレビパソコンも、日本で発想されたものであり、日本発の新しい技術・製品として、世界に広がっていくことを期待したい」とした。
WDLCの堂山昌司会長 |
また、WDLCの堂山会長は、「地デジへの完全移行まであと1年。それに向けて、WDLCでは4月から大きなキャンペーンを展開している。このキャンペーンは、寝室や子どもの部屋など、セカンドルームにおける地デジの普及を地デジパソコンによって推進していくものであり、放送局が開発したガジェットを活用することで、さらに浸透させるきっかけとなる。地デジが普及していくなかで、シナリオベースの提案によって、PCの位置づけを高めていく活動を強化していく」などとした。
テレビ局各局から提供される「テレビNaviガジェット」は、デスクトップ上でいつでも番組関連情報をチェックでき、地デジを簡単に起動できるツールで、2010年夏モデル以降の地デジパソコンには、一部メーカーの製品を除いて標準搭載されることになる。
会見では各放送局からガジェットの特徴が説明された。
日本テレビ放送網では、「日テレニュース&番組動画ガジェット」を用意。日本テレビの24時間ニュース専門チャンネル「日テレニュースフ24」の最新ニュースの表示や、日テレのキャラクターであるダベアによるイチオシ番組の紹介などが行なわれる。
日本テレビ放送網編成局デジタコンテンツセンターデジタル事業推進部の太田正仁氏は、「24時間報道しているニュース専門番組の強みを生かしたガジェット。仕事中でも、ガジェット上でニュースを流すことができ、気になるニュースがあれば、クリックしてもらうことで、大きな画面でニュースを視聴することができる」とした。
日本テレビにおけるこれまでのガジェットへの取り組み | 今回新たに用意された日テレニュース&番組動画ガジェット | 日本テレビ放送網編成局デジタコンテンツセンターデジタル事業推進部の太田正仁氏 |
テレビ朝日では、「お天気ガジェット」を用意。やじうまプラスのお天気お姉さんである同局の加藤真輝子アナウンサーがガジェットとして登場し、デスクトップ上で住んでいる地域の天気を一目で知らせるようにした。
テレビ朝日コンテンツビジネス局コンテンツビジネスセンター長の武居康仁氏は、「30度以上の気温になる日には加藤アナが帽子をかぶり、雨の日には傘をさす。また途中から雨が降りそうなときには、折りたたんだ傘を持っているなど、画面を見ただけでその日の天気がわかる。朝、PCをつけたら、それによって天気を知ることができる」とした。
また、加藤アナウンサーは、「すぐに今日のお天気がわかり、さらに詳しい情報を知りたい場合には、オンエア中であれば、ワンクリックでやじうまプラスの番組を見ることができる。番組では、交通情報や最新ニュース、芸能ニュースまで幅広く放映しており、朝の忙しい時間帯に欲しい情報を入手できる」とした。
また、ガジェットをクリックするたびにポイントが蓄積され、ポイントに応じて、PCで利用できるデジタルコンテンツを無料でダウンロードできるという。
テレビ朝日では、加藤アナが表示される。帽子をかぶると30度以上になる | 傘を持っている場合には途中で雨に。やじうまプラスのオンエア中はアイコンが表示される |
テレビ朝日コンテンツビジネス局コンテンツビジネスセンター長の武居康仁氏、やじうまプラスのお天気お姉さんである同局の加藤真輝子アナウンサー |
TBSテレビでは、TBS系で毎週月曜日夜11時50分から放映している「G.I.ゴロー」のガジェット、水曜日夜9時から放映している韓国ドラマ「IRIS-アイリス」のガジェットに加えて、人気番組の動画を配信するTBSオンデマンドのガジェットを用意した。
TBSテレビメディアビジネス局デジタルセンター長の杉田謙二氏は、「G.I.ゴローのガジェットは番組プロデューサーがとにかく力を注いでおり、出演者である山ちゃんとAKB48の2人が登場する特典映像をオリジナルで用意。今後、毎週、このガジェットのために映像を撮影していく予定だという。また、IRISは、いまは視聴率が悪いが、15億円の制作費をかけており、今後の展開は映画ダイ・ハードのように激しくなる。表示されるQRコードで番組キャンペーンに参加できたり、登場するキャラクターの関係を確認できたりといったことにも使える。また、TBSオンデマンドのガジェットを利用して、見逃し配信など利用できる配信終了が近いもの告知したり、まもなく配信される番組についても告知される」という。
TBSテレビが提供するガジェット | G.I.ゴローのガジェットでは特典映像が表示される |
IRISのガジェットでは放映された映像も紹介 | TBSオンデマンドでは見逃しドラマもチェックできる | TBSテレビメディアビジネス局デジタルセンター長の杉田謙二氏 |
テレビ東京では、経済報道番組の強みを生かして、Newsモーニングサテライト、E Morning、NEWS FINE、ワールドビジネスサテライトの4番組の最新ニュースを配信。タイトルと画像を一覧表示して、各ニュースの動画などを番組ホームページから視聴できるようになる。ワールドビジネスサテライトの人気コーナー「トレたま」の映像や取材報告なども視聴することができる。
テレビ東京デジタル事業推進局局長・大島信彦氏は、「テレビ東京で、午前5時45分から深夜12時までに放映しているニュース番組の中から、ビジネスマン、ビジネスウーマンが活用できるニュースをガジェットを通じてすぐに視聴できる。最新のニュース映像を見ることができる」とした。
テレビ東京では経済報道ニュースを中心に配信 | テレビ東京デジタル事業推進局局長・大島信彦氏 |
フジテレビジョンでは、動画配信サイト「フジテレビOnDemand」のおすすめ番組をガジェットに配信。ガジェットからダイレクトに同サイトにリンクされ、番組を視聴できるようにした。
フジテレビジョンデジタルコンテンツ局デジタル事業センター室長の塚本幹夫氏は、「ガジェットからフジテレビOnDemandのキャンペーン情報を見ることができる」としたほか、応援として会見に参加したアイドリング!!!のメンバーからは、「テレビチューナを搭載したパソコンでアイドリング!!!のライブを見てもらい、見逃した場合でもガジェットが告知して、視聴できるように教えてくれるのは便利」と話した。
フジテレビOnDemandの最新キャンペーンなどを告知 | ガジェットはフジテレビOnDemandにリンク | アイドリング!!!のライブなどの映像をオンデマンドで視聴できる |
フジテレビジョンデジタルコンテンツ局デジタル事業センター室長の塚本幹夫氏 | 応援に登場したアイドリング!!! 左から3号・遠藤舞さん、15号・朝日奈央さん、23号・伊藤祐奈さん |
一方、Twitterによる「テレビ コンテンツ コミュニティ」は、ネットとテレビを同一画面で観られるという地デジパソコンの特性を活かし、放映されている番組内容をリアルタイムにツイートするといった使い方を提案。会見では、一般ユーザーが参加して、地デジパソコン活用シーンをデモンストレーションが行なわれた。
「パソコンも地デジカ」キャンペーンにあわせて用意された「サッカー専用ピーチク」を使って、Jリーグのサッカー中継を見ながら、みんなが書き込みを行ない、離れた場所でもお互いに情報共有して、盛り上がっている様子を実演した。これもテレビ視聴の新たな方法といえよう。
7月には、参議院選挙ピーチクを、8月には甲子園応援ピーチクをそれぞれリリースする予定だという。
会見場では一般ユーザーが参加して「パソコンも地デジカ×ピーチク」を実演 | 盛り上がるシーンでは決め台詞機能を使えば、コメントが巨大なアイコンで表示される |
また、会見では、WDLCに参加している量販店を代表して、ビックカメラの塚本智明常務取締役がコメント。「ビックカメラでは、パソコンでのテレビ視聴の提案を数年前から開始しており、テレビ売り場に地デジチューナ搭載PCを設置するといったことも行なってきた。個室には、地デジPCが最適だと考えている。店舗においても、メーカーとの協力によって、地デジPCの告知を強化していきたい。今後は飛躍的に、地デジPCの販売が伸びると期待している」とした。
「パソコンも地デジカ」キャンペーンにあわせて、ソフマップ秋葉原本館、ビックカメラ有楽町店本館、ヤマダ電機LABI新宿東口館、ヨドバシカメラマルチメディアAkibaの4店舗に、同キャンペーンのPOPを活用した展示コーナーが設置されるほか、秋葉原、東京、品川の各駅でデジタルサイネージによる告知が行なわれることになっている。
ビックカメラ 塚本智明常務取締役 | パソコンも地デジカのデジタルサイネージが都内各所で掲示される |
WDLCの会見場では参加各社の夏モデル、地デジチューナなどが展示された |
(2010年 6月 25日)
[Reported by 大河原 克行]