日本ヒューレット・パッカード株式会社は14日、Windows 7搭載のコンシューマPC製品を発表。これにあわせて、都内で製品発表会を開催した。
各製品の主な仕様に関しては関連記事を参照されたいが、軽く紹介しておくと、デスクトップPCは、マルチタッチ対応の「HP TouchSmart 600PC」、「同300PC」、一体型の「HP Pavilion All-in-One PC MS200」、ハイエンドミニタワーの「HP Pavilion Desktop PC e9000」、ハイバリューの「同p6000」、スリム・プレミアムの「同s5000」の6モデル。
一方ノートPCは、Core i7搭載になった「HP Pavilion Notebook PC dv7」をはじめ、16型の「同dv6」、13.3型でAMD CongoプラットフォームまたはIntel CPU採用の「dm3」、CULV CPU採用で11.6型の「同dm1」、ベーシックな「G61 Notebook PC」、12型タブレットの「TouchSmart tx2 Notebook PC」、ネットブックの「HP Mini 110」の7モデルをラインナップする。
HP Pavilion Desktop PC e9290jp | HP Pavilion Desktop PC s5230jp | HP Mini 110 |
HP Pavilion Notebook PC dv5 | HP Pavilion Notebook PC dm1 | HP Pavilion Notebook PC dm3 |
dm3のパームレストはアルミのヘアライン仕上げ | TouchSmart tx2 Notebook PC |
●Windows 7によるデジタルライフの促進
同社代表取締役 社長執行役員の小出伸一氏 |
発表会の冒頭では、同社代表取締役 社長執行役員の小出伸一氏が挨拶。同氏は、「新製品はWindows 7を全搭載し、マルチタッチ機能を備えるなど、ユーザーには今までの製品の機能やスペックを超えた、新しいPCの体験をもたらすことができる。是非期待してもらいたい」と話した。
続いて、マイクロソフト株式会社 代表執行役 社長の樋口泰行氏をゲストとして招き、司会を交えた対談方式で、Windows 7を搭載した新商品に寄せられる期待を語った。
樋口氏の新製品に対する思いについて聞かれると、「私は元日本HP出身だったが、HPがいったん日本市場からコンシューマPCから手を引くなどの歴史も経験した。今回の新製品はいずれもコンシューマを強く意識したデザインで、とってもクールだと思う」と語った。
樋口泰行氏との対談 |
日本HPとマイクロソフトの協力パートナー関係について、小出氏は、「我々は日本国内だけでなくグローバルなレベルでもフロントラインに立って協力をしている。我々の使命はユーザーのニーズをいち早くキャッチして、スピード感を持ってそれを製品に反映して出していくことだと思っているが、マイクロソフトと協力することによってそのスピードをさらに加速できた」とした。
樋口氏は、エンタープライズ分野での協力関係を取り上げ、「我々のソフトウェア製品の検証は、実際にHPのハードウェアの上でやっているため、そもそもそれが動作保証となっている。今はエンタープライズ分野での協力関係が強いが、今後はそれをコンシューマ分野にも広めていきたい」と語った。
Windows 7によって創出される市場価値に関して尋ねられると、樋口氏は、「今非常に厳しい経済環境の中で、市場は活性化できる商品に期待している。外部の調査によると、Windows 7を中心とした、周辺器機やアプリケーションメーカーなどのエコシステムによって、マイクロソフトの売り上げの1に対して24倍、すなわち2兆3,000億円の経済効果が見込まれている」と答えた。ちなみに2兆3,000億円という数字は、高速道路無料化によって見込まれている経済効果に匹敵するほどの数値だとした。
PC新製品が注力したところについて、小出氏は、「今回はWindows 7に完全対応することがもちろん1つのトピックだが、デザインに最もこだわった。我々は“パーソナルアゲイン”をスローガンにコンシューマPCを展開してきたが、今回もワクワクしてもらえる、感性を刺激できる、インテリアとしてリビングにおいてもらえるデザインを目指した」と述べた。
また、「過去に発表した“HP Mini 1000 Vivienne Tam Edition”によって新たな女性ファンを創出できたように、我々はPCを事務機の延長線上にある、効率性を重視するだけのものだとは考えていない。新たに搭載されるWindows 7の魅力によって、我々の製品の素晴らしさをさらに発揮でき、ユーザーのクリエイティブな感性を刺激していきたい」と語った。
Windows 7の特徴について、樋口氏は、「あらゆる工業製品がそうであるが、黎明期はとにかく自分の立場に立って、技術的なものを付加して終わってしまう。しかし、Windows 7はコーディングを開始する以前から、ユーザーやメーカーの声を取り入れ、あらかじめユーザーの立場に立ったビジョンで開発されたOSである。ユーザーはWindows 7で、速度や軽量性、そして安定性を経験することができる。また、PC周辺器機メーカーともチューニングを重ね、互換性やパフォーマンスアップに関する検証を早い段階から取り組んだ。これが大きく異なる点である」と説明した。
今後のPCの方向性について問われると、小出氏は「今後、PCはもっと生活に近い物になる」と説明する。これまではメールやWord文書の作成など、“PCは考えながら使う”という位置づけだったが、Windows 7では“考えながら使う”スタイルから“感じながら使う”スタイルに変化していくだろうとする。
フォトセッションにて |
その一例としてマルチタッチを挙げ、「日本人はキーボードとマウスに対するアレルギーがあり、これまでPCは難しいと敬遠していた層は多い。これにWindows 7のマルチタッチが有効であり、ユーザー層の垣根を越えた使い方が可能である。また、Windows 7の簡単なネットワーク構築機能や共有機能によって、使い方が大きく変化し、より日常生活に溶け込んでいくだろう」とした。
樋口氏は、「マルチタッチによって、PCと人間は近づくだろう。我々マイクロソフトは、モーションセンシングやサーフェイスセンシング技術などを長年開発しており、Xbox 360などで既にその技術を明らかにしつつあるが、これらはPCにも有効な技術であると考えている。タッチセンサーは簡単に使えるようになる第1歩である」と付け加えた。
今後の製品展開について、小出氏は、「Windows 7で新たなライフスタイルが生まれようとしている。我々はワールドワイドで製品を展開しているが、ハイエンドゲーミング製品など、まだ日本に持ち込んでいないものも数多くある。Windows 7の発売のタイミングで、これらの製品をタイムリーに日本に展開していきたい」と語った。
一方、樋口氏は、「我々はWindows 7のようなクライアントOSはもちろんのことだが、クラウドコンピューティングにも注力している。TV、PC、モバイルの3つがクラウドで連携し、ユーザーのシナリオに合わせた製品を提案するのが重要になってくるだろう」とした。
最後に、PCの今後について問われると小出氏は、「PCは考えながら使うものから、感じながら使うものへ変化するといったように、PCにユーザーが合わせて使うのではなく、ユーザーのニーズに合わせてPCが変化していく時代であると考えている。近い将来、PCはPCと呼ばれなくなる時代が来るかもしれない」と語り、トークセッションを締めくくった。
●実際のユーザーシナリオを考えた演劇も披露トークセッション後は、実際のユーザーシナリオをベースとし、さまざまなHP製品が置かれた一家を想定した演劇が披露された。
具体的には、子供がTouchSmart PCでニューヨークの3D地図を見たり、父親がPavilion Notebook dv7で動画の編集をしたり、お姉さんがPavilion Desktop PC e9000で写真をBlu-ray Discに書き込んだり、個室から離れたリビングに音楽を飛ばして再生させることをなどを見せた。
また、天板にデザインを施したHP Mini 110のデザイナーズコレクションモデルや、アルミヘアライン仕上げのPavilion Notebook PC dm3aなど、デザインを強調するシーンも見られた。
実際のユーザーシナリオを想定した演劇 |
(2009年 10月 14日)
[Reported by 劉 尭]