日本HP、2009年の「Photosmart」はタッチ&ワイヤレスを強調

HP Photosmartシリーズ

9月30日 発表
価格:オープンプライス



 日本ヒューレット・パッカード株式会社(日本HP)は9月30日、家庭向けインクジェット複合機「HP Photosmart」シリーズの製品発表会を都内で開催した。

 新シリーズは、いずれもタッチオペレーションに対応し、より直感的な操作を可能とした。また、3モデルは無線LANをサポートし、複数台のPCでの共有に対応するのが特徴となっている。詳細な仕様については関連記事を参照されたい。

Premium C309GC309Gでは5色のインクシステムを採用するC309Gのみ天板に模様が印刷されている
Plus B209AWireless B109NB109A

●印刷可能なデータが今後3年間で3倍になる
挽野元氏

 発表会の冒頭では、同社執行役員 イメージング・プリンティング事業統括の挽野元氏が挨拶。同氏はまず、PCの普及によるデジタルデータの増加を引用し、「デジタルデータは、18カ月で2倍になり、2012年には3,142EB(エクサバイト)になると予測されている。このうち、印刷できるデータも3倍になると我々は予測しており、今後印刷に対する需要も増加する」とし、プリンタの重要性を強調した。

 また、クラウドコンピューティング環境の普及により、インターネット上にデータが存在し、インターネットから直接データを印刷する需要も確実に増えるという。このうちの1つとして、同社が提供している写真共有サービス「Snapfish」を挙げ、今後はPCを介さずに、データを印刷するニーズも増えるだろうとした。


デジタルデータの増加に伴い、印刷できるデータも増加クラウドコンピューティング環境の普及インターネットに直接アクセスできるプリンタへのニーズ
HP Photosmart Premium with TouchSmart Web(参考展示)日本におけるプリンタのネットワーク接続状況今後のインターネット対応プリンタの展開

 その第1弾として、2009年6月に世界初となる、インターネット対応プリンタ「HP Photosmart Premium with TouchSmart Web」を北米市場向けに投入した。日本では2010年以降の投入を見込んでいるが、現時点で投入をしない理由として、日本家庭におけるプリンタのネットワーク接続が普及していないことを挙げ、「今回発売する製品で、まずはプリンタがLANに接続するという文化を日本に広めてから投入をしたい」とした。

●2009年モデルは「タッチ&ワイヤレス」をキーワードに
徳永信幸氏

 続いて、同社 イメージング・プリンティング事業統括 コンシューマ&ウェブソリューションビジネス統括本部 コンシューマ・マーケティング部 部長の徳永信幸氏が、2009年新モデルの特徴を説明。シリーズで共通して「タッチ&ワイヤレス」を強調するとともに、独立インクの採用や、Webプリントの強化、そして最上位モデルのみであるが、オンラインフォトサービスの対応を謳うとした。


 全モデルに採用したタッチについては、より直感的でスマートな操作を実現し、わかりやすい操作体系にしたのが特徴。従来の2008年モデルでは、電源ボタンを含む操作ボタンが18個もあったが、2009年モデルでは電源ボタンの1個に減らすことで、シンプルなデザインと快適な操作性を実現できたという。また、この直感的なインターフェイスにより、女性層への訴求もできるとした。

2009年モデルの共通のキーワードはタッチ&ワイヤレスタッチ操作による直感的なUIタッチ対応によりボタン数を大幅に減らした

 そして上位3モデルに搭載される無線LANについては、1万円~2万円台前半という普及低価格帯に投入できることを強調。2台以上のPCを所持している家庭が40%を超えていることを挙げ、低価格帯のプリンタでも、ネットワークで共有できることが重要であるとした。また、WPS(Wi-Fi Protected Steup)の対応により、対応ルーターを利用すれば、容易に無線ネットワークに接続できることもアピールした。

上位3モデルは無線LANに対応する2万円台以下の価格帯で無線LAN対応を謳うWPS対応ルーターでは設定を大幅に省略できる

 コスト面では、独立インクの採用により、印刷コストが約3割削減できることを強調。さらに、2007年秋モデルより搭載されている「HP Smart Web Printing」により、印刷したい部分だけを印刷でき、インクや用紙を節約できることを強調した。

 最上位モデルの「Premium C309G」のみが対応している「Snapfish」へのアクセス機能についても紹介し、手軽にインターネット上にある写真を印刷できることをアピールした。

 今回新たに発売される4機種と、2月に発売された「Premium FAX All-in-One C309A」とあわせて、Photosmartは5モデルでのラインナップ展開となった。その中核となるのは、実売15,000円前後の「Plus B209A」とし、「ワイヤレス&タッチを兼ね備えつつ低価格を実現した、幅広い層におすすめできるモデルである」と説明した。

独立インクの採用で印刷コストを3割削減できるHP Smart Web Printingによって必要な部分だけを印刷でき、印刷コストの削減となる
C309GではSnapfishにあるアルバムに直接アクセスして、印刷できる2009年のPhotosmartシリーズのラインナップ

●プリンタ/インクの入手性をさらに改善する販売活動
竹田芳浩氏

 イメージング・プリンティング事業統括 コンシューマ&ウェブソリューションビジネス統括本部 統括本部長の竹田芳浩氏は、新製品の販売戦略を説明。2009年モデルに関しては、リピート購買の促進と、購買層の拡大を目指すとした。

 リピート購買に繋がる促進としては、独立インクの採用により、「HPのインクは高く、買いにくい」というイメージを払拭したいとする。

 また、現在2,000店舗以上でHPのインクが入手できる状態になったが、それでも品切れになったり、必要なインクが置かれていないという、入手性が悪い状況にあるという。2009年ではこれらを改善し、全ての店舗においてこれらの問題が発生しないように徹底するとした。

 プリンタ自体の入手性についても、「現在1機種しか置かれていない店舗には3機種、3機種しか置かれていない店舗には5機種置いてもらうよう、商談を進めていく」とし、全店舗におけるラインナップの拡充を図る。また、HPのPCとのブランドの統一感などを利用したアピールも積極的に展開したいとした。

独立インクの採用によりランニングコストを下げ、購入しやすくするインクを販売する店数を強化プリンタ本体についても販売店数や販売方法を強化する

 質疑応答では、日本国内におけるシェアの見解についての質問がなされ、挽野氏は、「確かに国内と海外では大きなシェアの違いがあるが、我々は日本においては海外のように大きなシェアを獲得するようなことは考えていない。現在我々は日本において7%のシェアがあるが、これを15%に引き上げるよう努めている」と答えた。

(2009年 9月 30日)

[Reported by 劉 尭]