東芝、ネット接続専用端末を投入へ
~2009年度経営方針説明会で佐々木社長が言及

東芝が予定しているネット接続専用機のイメージ図

8月5日 開催



 株式会社東芝は5日、2009年度経営方針説明会を開催。同社佐々木則夫社長は、PC事業において、ネット接続専用端末を投入していく考えを示した。

佐々木則夫代表執行役社長

 具体的な時期や機能の詳細については触れなかったが、佐々木社長は、「PCと携帯電話の境目がなくなってきている。ネット接続専用端末は、これからの成長分野と捉えており、積極的に参入していく」とした。

 また、PC事業に関しては、全世界規模でコモディティ化が進展していることから、599ドル以下の低価格PCを、4モデルから6モデルへと増やしており、低価格シフトに対応した商品ラインアップを拡充していく方針を示した。さらに、高密度実装、高速起動、省電力、SSDといった自社技術による差異化を進める方針を掲げた。

 一方で、「成長市場において、しっかりとした足場を作る」として、新興国市場におけるPC事業拡大を目指す。佐々木社長は、「中国をはじめとした新興国市場に対して、プライオリティを上げた商品開発と事業拡大に取り組む。中国においては、流通網拡大整備により、現状のほぼ倍増に事業を拡大していく」として、2008年度には4%だった中国市場におけるPCのシェアを、2010年度には7%にまで引き上げる計画を掲げた。

 また、デジタルプロダクツ事業グループ全体としては、PC事業で培った効率的なビジネス手法を、TV事業やスマートフォン事業に横展開していく考えであり、これによるグローバルで戦えるコスト体質への展開を図る姿勢を示した。

 佐々木社長は、今回の経営方針の方向性として、「最優先事項は、昨年の赤字の苦境から一瞬でも早く抜けだし、利益ある持続的成長へ向けて再発進する。3,000億円の固定費削減、半導体をはじめとする課題事業における構造改革を進め、2009年度の1,000億円の営業利益必達を目指す。筋肉質な体質とし、東芝そのものを景気変動や市況変化に影響されにくい安定した収益基盤の構築を進める」との方針を示した。

 2011年度の計画では、売上高8兆円、営業利益3,500億円、営業利益率4.4%を計画。「2009年度からの3カ年の年平均成長率は8.5%という高い成長率を見込む。この3カ年でしっかりとした財務基盤を確立する」とした。

 そのうち、PC事業を含むデジタルプロダクツの売上高は、3カ年の年成長率で8%増となる2兆8,500億円、営業利益率は2.1%。「PCおよびTVの台数は伸びると考えているが、コモディティ化が進むだろう。従来の見通しほど高い年平均成長率は見込めない」とした。

デジタルプロダクツ事業グループの基本戦略PC/TV事業の戦略

 電子デバイスの売上高は年率14%増の1兆7,500億円、営業利益率は5.7%。社会インフラは同9%増の3兆600億円、営業利益率は6.5%。家庭電器は同3%増の7,200億円、営業利益率は1.4%とした。

 ストレージ事業に関しては、2015年度までのサーバー市場の年平均成長率が21%と高いことを示しながら、「富士通からHDD事業を取得したことにより、エンタープライズ分野における事業拡大を図る。2010年度にはエンタープライズ向けストレージ製品を開発し、市場投入することになる。また、当社の強みであるNAND技術との融合を図っていく」などとした。

 そのほか、次世代ネットワーク端末についても言及。「2010年からの3.9Gが開始される通信インフラ、2011年のアナログ放送停波や4K2K試験放送が予定されている放送インフラといったネットワークの高度化を先取りし、快適なデジタルライフを実現するモバイルデバイスとホームデバイスを計画的に投入していく」と語った。

 次世代ネットワークデバイスには、東芝が得意とする映像処理技術、圧縮技術、蓄積技術、セキュリティ技術を活用するほか、デジタルコンテンツを共有する技術として、SDカード、HDMI、TransferJet、DLNAを活用していく考えを示した。

 「次世代ネットワーク端末の開発に向けては、PC事業側が通信事業側に向かっていく、携帯電話事業がPC事業に近づいていくという流れのなかで、組織を直していくべきだろうとの認識は持っている。ただし、それがいつとはいえる段階ではない」などとした。

2010年度の売上計画次世代ネットワーク端末の概要

(2009年 8月 5日)

[Reported by 大河原 克行]