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JSTと東大ら、水で皮膚に貼り付け可能なナノメッシュセンサーを開発
~ガス透過性が高く長期使用でも皮膚に影響しにくい
2017年7月18日 16:34
科学技術振興機構(JST)、東京大学、慶應義塾大学、理化学研究所らの開発チームは18日、皮膚に貼り付けた状態でも皮膚呼吸ができ、炎症なども起こらないとする超軽量の“皮膚貼り付け型ナノメッシュセンサー”を開発したと発表した。
近年は生体信号をリアルタイムに計測できるウェアラブルデバイスが盛んに開発されており、次世代機として皮膚に密着することで高精度な計測ができる薄膜フィルムやゴムシートを使った製品も開発が進められている。
ただ、薄型デバイスはガス透過性が低く、皮膚からの汗などの分泌を阻害するため、長時間使用できる安全性が確保できず、1週間以上の長期測定が求められるスポーツや医療分野での応用が難しかった。
今回JSTらは、生体適合性に優れた金と高分子(ポリビニルアルコール)からなるナノサイズのメッシュ型電極を開発。軽量かつ高い伸縮性や、ガス透過性を備えており、1週間貼り付けた状態でも皮膚に影響がないとする。少量の水を使うことで皮膚に貼り付けることができ、指紋や汗腺などの微細なおうとつに沿って形成させることが可能。
ナノメッシュ電極は皮膚とともに伸縮した状態になっても高い導電性を示しており、人差し指の第2関節にナノメッシュ電極を貼り付け、指の屈曲を1万回繰り返しても、導電性を失わなかったという。この電極を用いれば皮膚上の温度や圧力も測定でき、ナノメッシュ電極アレイを指先に貼り付け、布地型のワイヤレスユニットと組み合わせることで指の上でワイヤレスに読み出し可能なタッチセンサーも作成できたとする。
今回の成果により、医療や介護の現場で患者に負担をかけることなく生態情報を計測したり、スポーツ選手の運動に影響を与えずに正確な生態情報の解析が行なえるようになるとしている。