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富士通とLenovoのPC事業戦略的提携がやや難航か
2017年4月28日 19:07
富士通の田中達也社長は、Lenovoと進めている「PC事業に関する戦略的提携」について、「継続して協議を進めており、細部を詰めている段階。できるだけ早い最終合意を目指しているところである」と、交渉が長期化していることを示した。
2017年4月28日に行なわれた2016年度通期業績発表の場において言及した。
富士通とLenovoは、2016年10月に、PC事業に関して、研究、開発、設計、製造に関する戦略的提携を検討していることを公表。事業統合を視野に入れている。
両社では、2016年度末までに交渉を完了する予定であったが、現時点でも最終合意には至っていない。
田中社長は、「LenovoとのPC事業に関する協業については、継続して協議を進めている。この協業は、将来に渡って、うまくいかないといけないと考えており、その点で詳細な詰めを行なっている。早期に合意したいという姿勢は変わらない。大きな問題があったというわけではない」などとした。
だが、今回の会見では、これまでのように「年度末」というよな具体的な時期を示さず、「早いうちに決めたい」とするに留まったところからも、富士通側の意思とは別に、話し合いが難航し、時期がずれ込んでいる様子も感じられた。
一方、富士通が発表した2016年度のPCおよび携帯電話の売上高は、前年比6.1%減の6,116億円となっているが、「PCは前年から若干の減収となった。国内は法人向けを中心に伸張して増収。海外は為替影響もあり、減収となった。また、開発費を中心とする費用の効率化と、部材の調達の引き下げ効果と円高によるコストダウン効果がプラスになった」(富士通 取締役執行役員専務兼CFOの塚野英博氏)という。
2016年度のPCの販売台数は380万台となり、前年度の400万台から減少した。
一方で、2017年度は、事業の切り離しを前提としていることもあり、PCを含む「PCおよび携帯電話」事業の売上高は公表しなかったが、年間出荷台数は380万台と横ばいの目標値を掲げた。
富士通の塚野CFOは、「PCは法人向けが伸張するが、個人向けは減少すると予想しており、PC事業全体ではほぼ横ばいと見ている。また、PCの海外売上高において、円高がマイナスに影響する」とした。
富士通のPC事業は徐々に回復基調にあるが、Lenovoとの協業を早期に決定したい意思は変わらないと言える。だが、富士通とLenovoのPC事業の協業について、詳細な内容が決定するにはももう少し時間がかかりそうだ。