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米デューク大、シミュレーションによりメモリなどに応用可能な新磁性材料を発見
2017年4月17日 18:05
米デューク大学は14日(米国時間)、材料開発を短縮化するためのコンピュータシミュレーション技術を用い、ホイスラー合金の一種である2つの新材料を発見した。ホイスラー合金はその特殊な物性からスピントロニクス材料として好適とされ、メモリの大容量化などへの応用が期待されている。
磁性材料は、MRIやHDDをはじめとするさまざまな機器で利用されているが、高性能な磁性材料の開発は困難を極める。今日目にする磁性材料は、以前は多数の候補材料の内の1つだったものだ。しかも、それらは思いもかけない分子構造を持つなど、しばしば研究者の直感に反する。また、高機能な磁性体はレアメタルであるため、安価なそういった磁性体の発見が求められている。
同校の研究は、実験を繰り返すことで物性を確かめる従来の方式に対し、原子レベルのコンピュータシミュレーションを行ない、材料の候補を絞り込むことで効率化を図るもの。実験ではホイスラー合金を探索し、55の元素について全ての原子配置などを含めて、236,115通りものシミュレーションを行なったという。
次に原子レベルでの物性の評価を行ない、安定な物質に絞り込むと候補は248にまで減少。さらに磁性に着目し、原子配置を加味した上で14の最終候補が得られた。20万通りもの候補を実験することは困難なため、これだけでも大きな省力化となる。
そうして得られたのがコバルト、マンガン、チタンの合金(Co2MnTi)と、マンガン、白金、パラジウムの合金である(Mn2PtPd)の2つで、いずれもシミュレーション通り磁性体であった。
Co2MnTiは強磁性体が強磁性を失う温度であるキュリー温度がシミュレーションで940K(約667℃)と予想されていたが、実験で938K(約665℃)であることが判明し、シミュレーションの精度の高さと、同合金が極めて高い温度でも磁性を保てる優れた材料であることが明らかになったという。
また、Mn2PtPdは反磁性体であることが判明した。反磁性とは、外部の磁場に影響を受け、反発する性質のことで、反磁性体に磁石などを近づけると磁石の極性によらず反発する性質が知られている。反磁性体の持つ性質はスピントロニクス材料に望ましいと考えられ、応用が考えられている。