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ORSO、スマホアプリでドローンの操縦を学べる「DRONE STAR」を発表

~アプリは無料、対応の超小型ドローンの価格は15,000円

株式会社ORSO 代表取締役社長の坂本義親氏がDRONE STARについてプレゼンを行なった

 株式会社ORSOは、2017年4月5日、ドローン操縦者の教育を目的としたスマートフォンアプリ「DRONE STAR」を発表した。

 DRONE STARは、ドローン操縦の基本を楽しみながら覚えることができ、ドローンを使ったゲームをプレイすることで、さらに上達していける操縦者教育機能を備えたアプリである。対応の超小型ドローン「DRONE STAR 01」と併用することで、初心者でも簡単にドローンの操縦を学習できる。

 DRONE STARは、iOSとAndroidに対応したアプリで、4月17日より無料でダウンロードが可能になる。また、対応ドローンの第1弾であるDRONE STAR 01は、4月5日に先行予約を開始、17日に発売される予定だ。DRONE STAR 01の価格は15,000円で、ホビーユーザーにも手を出しやすい価格である。ORSOは報道関係者向けに発表会を開催したので、その様子をレポートする。

ドローンの事業化には、継続的に楽しめる“入門者向け環境”が必要

 発表会ではまず、ORSO 代表取締役社長の坂本義親氏が、DRONE STARの開発経緯を明らかにした。ORSOは、ITサービス開発やドローンの利活用推進を手がけている企業であり、2014年からドローン関連事業を行なってきたという。同社はこれまで2,000回以上ものドローンのフライトをこなしており、それによって、ドローンを飛行させる際の明確な社内安全基準を策定することができたそうだ。

 2015年から、ドローン事業化への模索を行なってきており、その結果、継続的に楽しめる“入門者向け環境”が必要だという結論を得た。また、これまでのドローン操縦のトレーニングは、主観的な練習方法に頼ることが多く、どれだけ上達したかを実感することが難しいという気づきを得た。それを、ORSOが得意とするアプリを使って改善できないかというアイデアが、DRONE STARの開発に繋がったという。

 DRONE STARは、初心者でもドローンの操縦を楽しみながらマスターできることを目指して作られたアプリであり、大きく4つのステップ(Step)に分かれている。

 Step1はチュートリアルであり、ドローンの起動手順や基本的な操縦方法などをアニメーションを見ながら覚えることができる。

 Step2は、ホバリング検定である。これはスマートフォンのカメラを利用して、ドローンの機体の位置や向きを検出し、指定した枠内でホバリングさせる精度をスコア化するものだ。DRONE STAR対応ドローンの第1弾であるDRONE STAR 01は、重さ約18gの超小型ドローンであり、1kg前後の中型ドローンに比べると、ホバリングの安定性はどうしても低い。気圧センサーを搭載しているため、高度は比較的安定して保たれるが、前後左右には流れて行きがちだ。こうした超小型ドローンでは、プロポのスティックを微調整して、空中に静止させる技術が重要になるが、それを訓練するのがこのホバリング検定だ。

 ホバリングが安定してできるようになったら、Step3に移る。Step3では、あらかじめ数種類のミニゲームが用意されている。例えば、ソフトクリームパニックと呼ばれるミニゲームは、画面左から飛んでくるソフトクリームがドローンにぶつからないように、ドローンの高度を調整して避けながら、点数がもらえるエリアにできるだけとどまるというものだ。仲間とゲームスコアを競うことで、楽しみながら継続的にドローン操縦技術を高めることができるのだ。いわゆるゲーミフィケーション的な考えを取り入れたアプリだと言えるだろう。ミニゲームは、アップデートにより定期的に追加される予定とのことだ。

 最後のStep4は、FPVモードである。FPVとは、いわゆる一人称視点の映像のことで、ドローン視点のリアルタイム映像を見ながら操縦するモードだ。本格的なドローンレースは、基本的にFPVで行なわれているほか、ドローンの事業化に関してもFPVが必要になることが多い。一人前の操縦者になるには、FPVモードで自由にドローンを操縦できるようになる必要がある。DRONE STAR 01でのFPVモードは、2.4GHz帯を利用して映像を送っているため、免許などは不要だが、フレームレートは10fps程度しか出ていないようだ。それでも、FPVとはどんなものか知るには十分だ。

DRONE STARは、ドローン操縦の基礎を楽しみながら覚えて体験できる、教育スマホアプリであり、対応した室内用超小型ドローンが用意される
ORSOは、2014年からドローン関連事業を開始し、これまでに80ヵ所以上で2,000回以上ものフライトをこなしてきた。それによって、ドローンを飛行させる際の明確な社内安全基準を策定した
また、2015年から事業化の模索を続けており、教育・育成、アプリ・サービス開発、エンタメ・レースの各分野での事業化を行なってきた。その結果、継続的に楽しめる“入門者向け環境”が必要だという結論を得た
事業化の模索から、これまでのドローン操縦のトレーニングは、主観的な練習方法に頼ることが多く、どれだけ上達したかを実感することが難しいという気づきを得た。それを、ORSOが得意とするアプリを使って改善できないかというアイデアが、DRONE STARの開発に繋がった
Step1のチュートリアルでは、ドローンの起動手順や基本的な操縦方法などをアニメーションを見ながら覚えることができる
チュートリアル画面。画面に沿って進めることで、初心者でも簡単にドローンの基本的な操縦方法を学ぶことができる
チュートリアルでは、ドローンの基本操作をいくつかのステップで学べる
Step2として、ホバリング検定が用意されている。これはスマートフォンのカメラを利用して、ドローンの機体の位置や向きを検出し、指定した枠内でホバリングさせる精度をスコア化するものだ
ホバリング検定では、エリア内で30秒以内に5秒×3回以上とどめれば合格だが、超小型機なのでなかなか難しい
ホバリング検定実施中の様子。スマートフォンのカメラを利用した画像認識によりドローンの位置を識別する
Step3がミニゲームである。この画面は、画面左から飛んでくるソフトクリームを避けるソフトクリームパニックだが、ほかにもいくつかのミニゲームが用意されており、楽しみながらドローンの操縦技術を磨くことができる
DRONE STARのメニュー画面。チュートリアルがStep1、ベーシックがStep2、ミニゲームがStep3、FPVモードがStep4となる
FPVモードでは、ドローンに搭載されているカメラの映像をリアルタイムに映すことができ、一人称視点での飛行を楽しめる
DRONE STARのまとめ。楽しみながらドローンの操縦を学べるスマートフォン用アプリと対応機体から構成され、仲間とゲームスコアを競う感覚で、楽しみながら継続的にドローン操縦を学ぶことができる

プロポにドローン本体を収納できる

 続いて、DRONE STAR対応の室内用超小型ドローン「DRONE STAR 01」の発売元である、株式会社エル 代表取締役の麻生忠明氏が登場し、製品特徴を解説した。

 DRONE STAR 01の対象年齢は15歳以上で、30万画素カメラを搭載。バッテリはリチウムポリマー電池で、フル充電で4~5分飛ばすことができる。バッテリの充電はUSB経由で行ない、充電には20~30分かかる。付属のプロポに本体を収納できるほか、プロペラを保護するプロペラガードも付属している。さらに、気圧センサーを搭載しているため、高度の検出が可能で、一定高度を保つことができる。また、操縦モードはモード1とモード2の両方に対応しており、自分がやりやすい方法を選べる。

 なお、DRONE STAR 01は、あくまで第1弾の対応ドローンであり、今後もDRONE STAR対応ドローンを増やしていく予定とのことだ。DRONE STAR 01のパッケージは、本体とプロポ(送信機)、スマートフォンホルダー、プロペラガード、充電用ケーブル、ターゲットペーパー、クイックリファレンスガイド、予備プロペラ(1セット)が含まれる、オールインワンパッケージである。ただし、スマートフォンは付属していないので、別途用意する必要がある。

DRONE STARは、スマートフォン用アプリの「DRONE STAR」および対応の室内用超小型ドローン「DRONE STAR 01」から構成される
DRONE STAR 01と対応プロポを手にする坂本氏
対応機体DRONE STAR 01は株式会社エルから発売される室内用ミニドローンであり、機体重量はわずか18gしかない。対象年齢は15歳以上で、30万画素カメラを搭載。連続飛行時間は4~5分であり、操作距離は約25m。プロポに本体を収納でき、気圧センサーも搭載しているので、一定高度でのホバリングが可能。操縦モードはモード1とモード2に対応
株式会社エル 代表取締役の麻生忠明氏が登場し、DRONE STAR 01の特徴を解説した
DRONE STARアプリは、4月17日に配信予定で、iOS用とAndroid用がある。アプリは無料でダウンロードできる。まずチュートリアルで基礎を学び、次にホバリング検定に進む。ホバリング検定をクリアしたら、ミニゲームやFPVモードでさらに腕を磨けばよい
チュートリアルでは、ドローンの基本的な操作手順を学ぶことができる
Step2のホバリング検定では、スマートフォンのカメラを利用して機体位置を判定しスコア化する
Step3のミニゲームは、仲間同士でスコアを競い合う、コミュニケーションツールとして利用できる
Step4のFPVモードでは、一人称視点での操縦が楽しめる
FPVモードで撮影された画像
DRONE STAR 01は、2017年4月5日から公式HPで先行予約が開始され、4月17日に発売される予定だ。価格は税込み15,000円である

ドローンレースパイロットによるデモプレイ

 続いて、株式会社ORSO ドローン事業推進部でドローンレースパイロット/エバンジェリストを務める高宮悠太郎氏が登場し、実際にDRONE STARのミニゲーム「ソフトクリームパニック」のデモプレイを行なった。DRONE STARでホバリング検定やミニゲームなどをやる場合、機体を画像認識しやすくするために、付属のターゲットペーパーと呼ばれる白い紙をバックに操縦を行なう必要がある。

 ミニゲームには、現実世界のドローンとバーチャルな画面の中の映像を組み合わせたAR的な要素が含まれており、そのプレイ感覚はなかなか斬新だ。アプリであるDRONE STARの完成度は高く、チュートリアルも丁寧であった。

株式会社ORSO ドローン事業推進部でドローンレースパイロット/エバンジェリストを務める高宮悠太郎氏
高宮悠太郎氏の経歴。さまざまなドローンレースに出場している
高宮氏によるソフトクリームパニックのデモの様子。機体を認識しやすくするために、付属のターゲットペーパーと呼ばれる白い紙をバックに操縦を行なう
フォトセッション。左から麻生氏、高宮氏、坂本氏

4つのチャンネルに対応しており、4機でのレースも可能

 DRONE STAR 01は、4チャンネルに対応しており、最大4台まで同時に飛ばすことが可能だ。発表会の終了後、隣に設けられたタッチ&トライコーナーでは、DRONE STARの体験が可能であった。筆者も実際に体験してみたが、枠から外れないようにホバリングさせるのはかなり難しく、練習のしがいがあると感じた。

 DRONE STAR 01は、室内専用の超小型ドローンなので、部屋の中でも気軽に操縦の腕を磨くことができる。ドローンの操縦に興味がある方や、操縦技術を高めたいと思っているが、ドローン教室に通う時間はないという人に、お勧めしたい製品だ。

DRONE STAR 01の外観。付属のプロペラガードを装着した状態である。通常はこの状態で飛行させる、
左がDRONE STAR 01本体。右が付属のプロポ。手持ちのスマートフォンをプロポにセットして利用する
DRONE STAR 01は手のひらに乗るサイズの室内用超小型ドローンである
DRONE STAR 01の側面には、電源スイッチと充電用コネクタが用意されている
DRONE STAR 01の前面。FPVにも利用できる30万画素カメラが用意されている
付属のプロポ。2つのスティックと2つの上下ボタンが用意されている
プロポの中央部に、プロペラガードを外した本体を収納できる
左がプロペラガード、右がDRONE STAR 01本体。プロペラガードは柔らかい材質でできており、プロペラの破損を防ぐ
プロペラガードをDRONE STAR 01に装着したところ
プロポの右側面にあるのが、離陸ボタンと着陸ボタン
プロポの左側面にあるのが、モード切替ボタン
後ろに並んでいるのがDRONE STAR 01の製品パッケージ
製品発表後、タッチ&トライコーナーが用意され、DRONE STARのホバリング検定を試すことができた。機体が小さいので、空中でぴたっと静止させるのは難しい