Windows 8ユーザーズ・ワークベンチ
複雑怪奇なワイヤレス設定
(2013/1/23 00:00)
Windows 8のワイヤレス機能は、いろいろと変更があった部分が多い上に、Bluetooth機器などは、使われているスタックの違いによって、少しずつ設定や接続方法が異なっている。今回は、主なワイヤレス機能について見ていくことにしよう。
新たにモバイルブロードバンドに対応
Windows 8は、ネットワークに関しては、デスクトップや新しいUIを超越したところで管理が行なわれている。これは、次世代Coreプロセッサで採用されるConected Stanbyなどでの論理的な制御を行なえるようにするためだと思われる。
実際、一足先にConected Standbyに対応したAtomプロセッサ環境下でのWindows 8は、スリープ時にも接続が維持されている。富士通の「ARROWS Tab Wi-Fi QH55/J」で試したところ、そのための設定項目などは一切用意されていないのだが、仕様通りに動いているようだ。ただし、外部からPINGを打っても応答しないし、リモートデスクトップなどの呼びかけにも応えない。唯一、ルーターなどから接続状況を確認すると、ずっとつながりっぱなしになっていることが分かる。
スタートスクリーンのライブアップデートなどが更新されたり、メールがすでに受信されているというのがウリになっているのだが、実際には、スリープから復帰して、再描画されるまでに時間がかかるため、あまり恩恵を受けている感じがしない。この使い道は、これから考えるといったところだろうか。
ワイヤレスの設定はチャームから呼び出せる「PC設定の変更」で「ワイヤレス」の項目において「ワイヤレスデバイス」で行なうようになっている。
ワイヤレスの分類としては、モバイルブロードバンド、Wi-Fi、WiMAX、Bluetooth、GPSといったものが用意され、個々にオン/オフすることができる。
手元で評価中のWAN対応「Let'snote AX2」は、Wi-Fi、LTE、WiMAXに対応しているが、ここでいうモバイルブロードバンドは、LTEなどのモバイル通信であり、WiMAXについては有線LANと同じ扱いになる。WiMAXとWi-Fiはハードウェアの仕様上、排他利用なので、PC設定において、WiMAXをオンにするとWi-Fiがオフになり、逆にWi-FiをオンにするとWiMAXがオフになる。
また、ワイヤレスには機内モードが用意され、このモードをオンにすると、すべてのワイヤレス機器がオフになる。
各ワイヤレスネットワークについては、
・概算データ使用量を表示する
・従量制課金接続として設定する
・定額課金接続として設定する
という機能が用意されている。
1つ目は、その接続において×日前からどのくらいのデータ通信を行なったのかを概算で表示でき、任意の時点でゼロリセットできる。
2つ目は、転送したデータに応じて課金されるプランで接続している場合のためのもので、これを設定しておくことで、さまざまなネットワーク転送が抑止される。例えば、Windows Updateなどの転送も行なわれない。最新のOffice 2013のOutlookなどは、従量制課金接続についての警告として、「使用中の従量制課金接続で追加料金が課される可能性があります。過度のデータ変更を防ぐために、Outllokはオフラインで動作しています」として、いつでも接続は再開できるものの、いったんはオンライン状態が切断される。
これらの設定は、PC設定の「デバイス」で、「従量制課金接続でのダウンロード」という項目が用意され、「この設定をオフにすると、従量制課金接続を使っているときには、新しいデバイスのソフトウェア(ドライバー、情報、アプリ)をダウンロードしません。これにより追加料金がかかることを避けられます」とある。こうした機能を活用することで、緊急でもないのに出先でいきなり大量のファイルをダウンロードするなどで、7GB制限にひっかかり、帯域を制限されるといった被害を回避できるはずだ。
なぜ、この項目が、こちらにあって、ワイヤレスの設定項目にないのかは疑問で、初期バージョンの混乱がうかがえる。
もちろん、従量制課金と定額課金はいつでも切り替えることができる。ここでWiMAXにそのための機能が提供されていないのは、世界中、どこでも無制限の広帯域接続ができることが前提になっているのだろうと、よりよく解釈しておきたい。
不便になったアクセスポイント接続
Wi-Fiへの接続は、チャームを開き、ワイヤレスのアイコンをタップすれば、接続可能なアクセスポイントの一覧が表示される。これは、デスクトップにおいて、タスクバーの通知領域のアイコンをタップしても同じものが表示される。
接続したいアクセスポイントをタップすると「自動的に接続する」のチェックボックスが表示されるので、必要に応じてチェックをつける。すると、パスワードなどをたずねてきて、正しく入力すれば接続される。
Windows 8のWi-Fiに関して、もっとも困るのは、接続設定をしておいたアクセスポイントの接続優先順位を明示的に指定できなくなってしまった点だ。もちろん、最後に接続したアクセスポイントは、自動接続をオンにしておくことで、次回以降優先的に接続されるのだが、ユーザーの行動に関係なく、どのアクセスポイントにどの優先順位で接続できるかを指定しておきたい場合には困る。
たとえば、普段、外出先ではスマートフォンのテザリングを利用してPCをインターネット接続している場合も、事務所や自宅に戻ったら、そちらのブロードバンドに接続されたアクセスポイントに自動再接続して欲しい。
もちろん、プロパティを参照すると「このネットワークに接続した状態で別のワイヤレスネットワークを探す」という設定があるので、優先順位的な概念は残っている。だが、それをGUIから明示的に指定できないというのは困ることも多そうだ。
一筋縄ではいかないBluetoothテザリング
一方、Bluetoothはどうなっているかというと、これまで手元で使ってきたWindows 8搭載のメーカー製PCは、大きく2つに分類できるようだ。
1つは、Windows 8標準のGUIですべてを設定するタイプであり、もう1つは、プリインストールのサードベンダーGUIで設定するタイプだ。
たとえば、手元のiPad miniをBluetoothによってインターネット共有できるようにしておき、Windows 8から接続したい場合、前者の場合は、PC設定の「デバイス」でデバイスの追加をする。一方、後者の場合は、通知領域のBluetoothアイコンのショートカットメニューから「新しい接続の追加」をする。Windows 8標準のGUIを使う場合は、通知領域のアイコンを使って追加しようとしても、そのままWindows 8標準にGUIに遷移する。
こうしてペアリングしたiPad miniに実際に接続して、ルーターとして使うには、コントロールパネルの「デバイスとプリンター」を使い、マルチメディアデバイスとして登録されたiPad miniに対して、右クリックのショートカットメニューから「接続方法-アクセスポイント」として接続する。
Bluetoothによるインターネット接続は、昔ながらのDUNもサポートされているが、この場合は、また別のGUIになるなど一筋縄ではいかないところが多い。
要は「デバイスとプリンター」を出すことで、多くの飛び先に自動的にジャンプできることなのだが、頼みの綱のWin+Xのショートカットにも、ここへのリンクは表示されない。コントロールパネルの各項目は、個別にピン留めもできないので、接続の度にやっかいな操作を強いられる。