Windows 8.1ユーザーズ・ワークベンチ

8〜10型タブレットで使うWindows 8.1

 この秋冬シーズンは、タブレットシーンがホットだ。Windowsタブレットも例外ではなく、各社の魅力的な新製品が出そろった。今回は、Windows 8.1搭載のタブレット機を快適に使うためのポイントについて考えてみる。

最初の登録はローカルアカウントで

 Windows 8.1タブレットが手元に届いたら、電源を入れて、いつものようにWindowsの登録作業を行なうことになる。この連載の読者の方であれば、ほとんどの場合、すでにMicrosoftアカウントは取得済みだと思う。だから、最初から自分のMicrosoftアカウントでサインインしようとするかもしれない。同じアカウントでサインインすることで、既存システムとの設定同期や、SkyDrive同期などが行なわれ、2台目以降のデバイスとして便利に使えるようになるからだ。

 だが、既存のシステムで、自分の個人用フォルダがどのような名前で登録されているかを、まず確認してほしい。個人用フォルダはc:\users\xxxx のxxxxの部分にユーザー名が入るわけだが、それを自分で使う全PCで同じ名前にしておくと、あとあと都合がいい。だが、最初からMicrosoftアカウントでサインインしてしまうと、このxxxxの部分が自動生成され、予期せぬ名前になってしまう。ユーザー名とフォルダ名は一致していた方が気分的にもいい。

 だから、まず最初は、ローカルアカウントでWindowsにサインインし、そのローカルアカウントを任意のMicrosoftアカウントに関連付けるという手順を踏むことをお勧めしたい。これによって、MicrosoftアカウントのID文字列に依存せず、すべてのシステムのファイルシステム下で、自分で決めた同じ名前の個人用フォルダを持つことができるはずだ。

InstantGoと電源オプション

 Windows 8.1タブレットの多くは、そのプロセッサとしてBay Trail-Tこと、IntelのAtom Z3000シリーズを搭載している。今のところ、このプロセッサで使えるWindowsは、32bit版のみとなる。一般的なPCでは64bit版のWindowが使われているが、この点で異なることに注意したい。

 といっても、一般的なユーザーから見たときに、32bit版と64bit版のWindowsで違うのは、使えるメモリの量だけだといってもいい。さらに、多くのタブレットは、2GBのメインメモリしか積んでいないので、Windowsが32bit版であることによる弊害はほぼないと考えていいだろう。

 さて、Atom搭載Windowsタブレットのほとんどは、InstantGoに対応している。そのため、省電力機能については、これまでのクラムシェルノートPCとは、ちょっとふるまいが異なる。

 当たり前の話だが、タブレットには、いわゆるカバーがない。オプション等でキーボード付きカバーなどが用意されている場合もあるが、ここではまず、ピュアタブレットについて考えることにする。

 通常、クラムシェルノートPCは、デフォルトで、液晶を閉じたときに、スリープに移行するように設定されている、カバーのないピュアタブレットでは、この概念がない。

 こうした理由から、電源オプションがどうなっているのか、そして、それらの設定がどのように機能するのかを確認しておくといいだろう。

 ちなみに、InstantGoに対応しているかどうかは、管理者モードでコマンドプロンプトを開き、

powercfg /sleepstudy

を実行する。もし、対応していない場合は、サポートしていない旨が表示され、サポートされている場合はレポートが作成される。

 電源オプションで設定できる各種の機能だが、ちょっとずつ従来とは挙動が異なる。主なものを挙げておこう。

ディスプレイを暗くする

 この設定はWindows 8.1以降、サポートされなくなった。ただし、ディスプレイの電源が切れる15秒前に、ディスプレイが暗くなる。

次の時間が経過後ディスプレイの電源を切る

 ディスプレイの電源が切れているときは、必ずスリープ状態となる。したがって、ノートPCでできていた、液晶ディスプレイを閉じても何もしないという動作は設定できない。消灯状態で稼働しっぱなしということができないのだ。つまり、ディスプレイが消灯状態=スリープ状態=InstantGo状態となる。

コンピュータをスリープ状態にする

 「ディスプレイの電源を切る」のタイマーと連動する。ディスプレイの電源が切れると、システムはInstantGoへの移行フェイズに入る

休止状態に移行する

 バッテリ容量がクリティカルな状態になったときのためだけに使われる。独立して、〜分後に休止状態に入るようには設定できない。

 これまで慣れ親しんできた電源オプションの設定に、こうした違いがあるので、見直しておくといいだろう。

スリープ状態にするまでの設定を電源接続時適用しないにしておく
詳細設定では、ディスプレイの電源を切ると連動していることがわかる
休止状態は、バッテリ切れ時のためだけに使われる

音楽再生中はディスプレイが消灯していてもスリープしない

 ディスプレイが消灯すると、システムは、InstangGoへの移行フェイズに入る。このフェイズでは、Windowsは、まず、リモートデスクトップのセッションの有無を確認し、タイムアウトなどによる切断があるまでこの状態を維持する。

 次に、Process Lifetime Manager (PLM)フェイズに入り、フォアグラウンドのストアアプリをサスペンド、さらに、オーディオのプレイバックが行なわれていないかどうかをチェックする。もし、ミュージックプレーヤーや、コミュニケーション系のアプリでオーディオ再生が行なわれていると、それをユーザーが停止するまでは、この状態を維持する。これを利用するなら、音楽さえ再生させ続けていれば、消灯状態のままでシステムを稼働させられることになる。

 さらに、オーディオ再生が停止していることを確認したWindowsはメインテナンスフェイズに入り、システム的な作業が行なわれていれば、その終了を待つ。それが終わると、Desktop Activity Moderator (DAM) フェイズに入り、すべてのデスクトップアプリを一時停止状態にする。

 ここまで無事に移行できたところで、次は、バックグラウンドで実行されているストアアプリにLow-powerフェイズへの移行を伝え、Resiliencyフェイズへと入る。このフェイズでは、30秒に一度の間欠運転に入る。

 30秒に一度、システムはメインテナンスモードで起き上がり、必要な処理をする。また、30秒に1秒以内という条件付きで、セッション0のサービスが動くことが許されている。外部からのネットワークプッシュについては、ローパワーモードに入っているネットワークアダプタがいつでも受け取ることができる。つまり、インスタントメッセージやメールの到着は、30秒ごとの処理を待たなくても、リアルタイムで通知される。

GPSのコールドブートをしておこう

 スマートフォンでは当たり前のように装備されているGPSだが、Windowsタブレットでは省略されていることも少なくない。多くの場合、通信用のモデムモジュールとセットなので、機器の通信がWi-Fiしかサポートしない場合、個別に用意するのはコスト高になってしまうため、省略されてしまうようだ。

 だが、きちんとGPS装備しているタブレットもあるのは嬉しい。そうした機器でも、最初に届いて電源を入れたときには、GPSがコールドブート状態となり、自位置を測定するのにかなりの長時間を要する。状況によっては30分程度が必要な場合もある。

 自位置の特定は、ストアアプリの「地図」を使えばいい。ところが、前述のように、InstantGoでは、画面が消えてしまうとシステムはInstantGo状態となってしまう。地図アプリは、特にバックグラウンドでの実行をしないので、せっかくの測位が中断されてしまうのだ。

 とりあえず、GPSをうまく機能させるために、最初に自位置が完全に測位されるまでは、スリープタイムアウトを無効にし、画面が消えないようにシステムを設定した上で、地図アプリを30分程度フォアグラウンドにおいたままで放置してみよう。

 GPSが正常に測位できると、一般的なスマートフォンの地図と同様に、移動に伴って地図アプリでも自位置がリアルタイムで更新されるようになる。Windowsは、Windows位置情報のAPIが、GPSだけではなく、Wi-Fiアクセスポイントのデータベースなどの情報を加味して位置情報を割り出すようになっている。都市部を徒歩で移動しているような場合には、Wi-Fiアクセスポイントの情報だけで、かなり正確な位置が割り出せるが、クルマはもちろん、電車などでちょっと高速に移動しはじめると、位置情報は不正確なものとなる。だが、GPSがきちんと測位できていれば、自位置はリアルタイムで更新されていく。

GNSSはGPSのこと。なぜか、ネットワークの機内モードでしかオン/オフできない

従量制課金接続をうまく使いこなそう

 Windowsタブレットの多くは、WAN通信をサポートしていない。したがって、なんらかの方法で通信手段を用意しなければならない。一般的には、スマートフォンのテザリングを使うか、モバイルルーターを使うことになるだろう。

 この場合、これら機器に相当する接続先を、従量制課金接続として設定しておこう。こうしておくことで、Windows Updateなどの通信が行なわれることがなくなる。3GBや7GBといった上限を超えると帯域制限が行なわれる現在の通信事情では、出先でこれらの通信が不用意に行なわれるのは回避できたほうがいい。これらのメインテナンスは、自宅にいるときなどに、固定回線に接続されたWi-Fiなどを使って行なえば、帯域制限にひっかかる心配もないというものだ。

スマートフォンのテザリングやモバイルルータを使う場合、接続先は従量制課金接続に設定しておくと帯域制限を気にしなくて済む

画面のスケーリングを設定して使いやすくしよう

 8〜10型タブレットのディスプレイは、解像度的には1,280×800ドット程度といったところだろうか。製品によってはフルHDのものもあるし、2,560×1,600ドットといった高解像度のものもある。

 そのまま8〜10型のスクリーンで使うと、実用にはほど遠いくらいにスクリーン上の文字などが小さくなってしまう。ウィンドウ内の表示はズーム機能を使うことでなんとかなるかもしれないが、タスクバーやデスクトップ上のアイコン、また、メニューバーやツールバーなどの表示が小さすぎて、タッチでは操作がしにくいはずだ。

 Windows 8.1でも、従来のWindows同様に、コントロールパネルの「ディスプレイ」で、すべての項目のサイズを変更することができる。

 ただし「小さくする」から、「大きくする」までは、そのネイティブ解像度によって、2〜4段階程度だ。多くの場合、タブレットではここが「大きくする」に設定されているようだ。

 Windows 8.1からは「すべてのディスプレイで同じ拡大率を使用する」かどうかを決めておくことができるようになった。外部ディスプレイを接続したときなどに、大きなスクリーンでは別のスケーリングで表示することができるようになったのだが、これを諦めれば、従来のように、任意の値でスケーリングすることができる。外部ディスプレイへの接続が必要な場合は、その都度、再設定すればいい話なので、自分の使っているタブレットのスクリーンサイズと解像度に合わせて適当な値を設定しておこう。

2,560×1,600ドットの10型スクリーンタブレット、富士通QH55/Mでは、「小さくする」から「大きくする」まで4段階あった
すべてのディスプレイで同じ拡大率を使用するなら、任意の拡大率を指定できる。デフォルトは200%だったが、それでも小さいので、280%に設定している
直接数値を入力して任意の値に設定する

(山田 祥平)