Windows 8.1ユーザーズ・ワークベンチ

お正月を写そう、Windows 8.1で楽しもう

 Windows 8.1ではデジカメ写真など、イメージ写真を扱う上での使い勝手が向上している。最近は、デジカメでよりも、スマートフォンでの撮影をすることが多くなっているかもしれないが、ローカルストレージの写真、クラウドと同期された写真、あるいはアプリケーションとの合わせ技などそれぞれについて見ていくことにしよう。

デジカメ写真をWindows 8.1で扱う

 かつて、デジタルカメラで撮影した写真をもっとも簡単にPCで楽しむ方法は、カメラからSDメモリーカードを取り出し、それをPC上のアプリケーションで参照することだった。ところが時代は変わり、撮影そのものがデジタルカメラで行なわれることが少なくなり、カジュアルな写真の多くがスマートフォンで撮られるようになった。

 スマートフォンの写真はその内蔵ストレージか、追加したmicroSDカードに記録される。microSDカードスロットを持つPCなら、スマートフォンからメモリーカードを抜き、そのカードをPCに装着するという方法を採ればいい。デジタル一眼レフやコンパクトデジカメなど、通常サイズのSDカードの場合も、カードスロットさえあれば手順は同じだ。もちろん、カードリーダなど、USBマスストレージの場合も同様だ。

 Windows 8が、カードの装着を認識すると、トースト通知が表示され、カード内の写真をエクスプローラで確認するなり、ストアアプリの「フォト」で、フリック操作によるカード内写真の閲覧が可能になる。

 この閲覧時には、フリックで写真送り、ピンチで写真のズームができるが、何かの拍子にピンチインで最初の写真を小さくしてしまうと通常モードに戻ってしまい、フォトアプリからはメモリカードの写真にアクセスできなくなる。その場合は、いったんデスクトップに戻りエクスプローラで写真のフォルダを開き、それをダブルタップなどの操作で開き直す必要がある。

 つまり、フォトアプリのファイルピッカーは、ファイルを開く場所として「PC」を選ぶことができないのだ。それでも、Windows 8時代の「フォト」は、メモリカードからいったんファイルをライブラリにコピーしなければ、連続した写真を確認することすらできなかったことを考えると、ずいぶん使いやすくはなっている。

ストアアプリのフォトはSDカードやマスストレージの画像を簡単にブラウズできるようになった
いったん閉じてしまうと、ローカルストレージにはアクセスできない

SkyDrive連携で使い勝手を高める

 とはいうものの、数枚の写真を大きな画面で見るためだけに、スマートフォンからメモリカードを抜いてPCに装着するのは面倒だ。充電に使っているケーブルがあれば、それで接続することでメモリカードを装着したのと同じことができるが、それもまた厄介だ。それに、今のトレンドであるWindowsタブレットには、標準サイズのUSB端子を持たないものも多く、スマートフォンやメモリカードリーダを接続するということが物理的に不可能なものも少なくない。いわゆるUSBのOTGケーブルがあればいいのだが、それを常に携行するというのも厄介だ。

 1つのアイディアとしてSkyDriveを使うこともできる。スマートフォン側のSkyDriveで撮影済みの写真をアップロードし、それをPC側で参照すればいいのだ。残念ながら、現時点でのAndroid版SkyDriveには、撮影済み写真の自動アップロード機能がないので、すべての操作は手動になってしまう。Dropboxなどのクラウドストレージでサポートされている「カメラアップロード」機能、Google+の「自動バックアップ」機能、Facebookの「写真を同期」機能など、少なくとも現在のトレンドは自動なので、サポートされるようになるのも時間の問題だろう。逆にいうと、これらのアプリをすべて使っている場合、写真は何重にもバックアップされるわけで、そのストレージ容量は数が多くなると馬鹿にならなくなってくるかもしれない。

 ちなみに、PCそのものに背面カメラが用意されている場合、それで撮影した写真はピクチャライブラリのCamera Rollフォルダに保存されると同時に、PC設定で選択した画質でSkyDriveの「画像」というフォルダ内にある「カメラロール」というフォルダに自動的にアップロードされる。フォルダ名が欧文だったり日本語だったりで実にややこしいのだが、そういうこともできるということだ。

 SkyDriveに写真がアップロードされてしまえば、それを共有することで、自分以外のユーザーにも見せることができる。クリスマスやお正月の写真を保存するフォルダを、特定の複数ユーザーに書き込み許可を与えて共有すれば、みんなが撮った写真を、間をおかずに次々に手元で楽しむことができる。こういうことがOS標準の機能だけでできるようになったことに時代の変化を感じる。

OneNoteを複数デバイスで連携

 「フォト」アプリを使うことで、ある程度の補正などもできるようになった。トリミングや赤目補正、明るさの調整、色補正などを施すことができる。ただ、これらは、とりあえずできます程度のものなので、あまり大きな期待はしないほうがいい。また、作業結果は、アプリケーションメニューから上書き保存と複製保存どちらかを実行しなければ失われてしまう。当たり前のことだが、昨今のアプリを使い慣れてしまうと、保存という行為自体を忘れてしまいそうだ。

簡単なレタッチなどもサポートされている

 一方、ノートPCでメモをとっているような使い方で、ちょっとした画像を挿入したい場合がある。

 例えば、ストアアプリのOneNoteは新しくなって、「写真」のほかに、「ドキュメント」、「ホワイトボード」のモードがサポートされるようになった。これらのモードに切り替えることで、書類の歪みを補正したりして挿入ができる。

 また、スマートフォン側でもOneNoteアプリを使えるのであれば、ノートPCとスマートフォンの両方で同じノートを開き、PCでメモを書きながら、適当な位置にスマートフォンで撮影した写真を挿入すれば、ほぼ瞬時に同期され、写真が目の前のメモに挿入される。もちろん、メモそのものはSkyDrive上のものを開いておく必要がある。これならメモ用の写真をわざわざPCを持ち上げて撮影しなくても、コンパクトなスマートフォンを手にとって撮影できるので便利だ。

 OneNoteは、複数のアプリからの同時書き込みをサポートし、どのアプリから書き込んでも、適切な位置に文字や画像を挿入してくれる。Googleドキュメントにおける文書でも同様のことができるが、専用のアプリが提供されているOneNoteの方が、今のところ使い勝手は上だ。とにかくストアアプリはもちろん、iOS、Android、そして、いわゆるOfficeとしてのデスクトップアプリ、さらにはWindows RTに至るまで、あらゆる環境に専用のアプリが用意されているのは嬉しい。

OneNoteに挿入した書類の写真
実はこんないいかげんな撮影をしているが、ドキュメントモードで自動的に補正されるようになっている

 このように、Windows 8.1では、SkyDriveを介することで、さまざまなデータの可用性を高めることができる。

 例えば、スマートフォンで撮影した写真に、ちょっとしたコメントをつけてTwitterにアップロードしたいとしよう。

 この場合、Andorid特有の共有機能を使い、SkyDriveにアップロードするのが手っ取り早い。アルバムアプリやギャラリーアプリで写真を選び、それを共有機能を使ってSkyDriveにアップロードする。スマートフォン側でチマチマとコメントを書き込むよりも、ノートPCのフルキーボードでコメントを入力する方が高速だ。コメントを書いているうちにアップロードが完了し、SkyDriveの写真をTwitterのウェブやクライアントから参照できるようになっているはずだ。

OS標準で大量の写真を扱う

 一方、大量の写真閲覧だが、Windows 8.1では、ストアアプリの「フォト」以外に、由緒正しい「Windowsフォトビューアー」を使っての写真閲覧もできる。デフォルトでは写真を開くアプリは「フォト」に関連付けられているが、それを変更してもいいし、右クリックで表示される「プレビュー」を実行すれば「Windowsフォトビューアー」での参照ができる。

デフォルトは「フォト」だが、プレビューで汎用性の高いWindowsフォトビューアーでのブラウズもできる
表示中の写真のファイル名もわかれば、ファイルの場所を開くこともできる

 使い勝手という点では「フォト」の方が軽快だ。タッチを前提とした操作感はモダンな印象が強い。だが、文書中に写真を貼り付けるとか、写真をどこかのフォルダにコピーするといったことをしたいと思ったとたん、「Windowsフォトビューアー」の方が圧倒的に使いやすいことに気がつく。写真が表示されている状態で、右クリックによるショートカットメニューで「コピー」を実行すれば、その写真を別のアプリケーションに貼り付けることができる。

 なぜか、こうしたことが「フォト」ではできないのだ。撮影済みの写真を順に見ていって、これだ、と思ったものをその場で別のアプリに持って行きたい場合は「フォト」はかえって不便を感じる。「Windowsフォトビューアー」なら、右クリックしてファイルの場所を開くと、その写真ファイルがアクティブになった状態で、写真を保存したフォルダが開くので、それを別のアプリにドラッグして持って行くのも簡単だ。「フォト」では、今見ているファイルがどこにあるのか、ファイル名は何なのかを知るのも大変だ。撮影日時だってわからない。

 写真を楽しむアプリはたくさんあるし、その中から自分の用途に合致したものを使い分ければそれでいい。だが、本当にやりたいことをシンプルに実現してくれるアプリはなかなかなく、いちいちファイルの取り込みを問い合わせてきたり、フルスクリーンで順次見ていって、自在にズームできるというごくごく単純なことができないくせに、他の機能はやたらと高度といったアプリも散見する。これまで四半世紀近くWindowsを使ってきて、これが最高というアプリには未だお目にかかっていない。

 そういう意味では「フォト」と「プレビュー」、そしてSkyDriveの組み合わせは、けっこういけているんじゃないかと思っている。おそらく10万枚を超える写真のコレクションがあるなら最強かもしれない。そのくらいの枚数でさえ管理できないアプリが少なくないのだ。こういう環境がOS標準で用意されるようになったことは実に喜ばしいと思う。

 ということで、今年もあとわずか。楽しいクリスマス、お正月を過ごしていただきたい。来年もよろしくどうぞ。

(山田 祥平)