笠原一輝のユビキタス情報局

「Surface Pro 4」ファーストインプレッション

MicrosoftのSurface Pro 4、今回試用したのは法人向けモデルの7AX-00013となる、Core i5/8GBメモリ/256GBストレージの製品

 日本マイクロソフトが、「Surface Pro 4」を発売してから1週間が経過した。既に入手されているユーザーも多いと思うが、筆者も実機を触る機会を得たので、その最初のインプレッションをお届けしたい。

 Surface Pro 4のフットプリントは「Surface Pro 3」と同じであるため、単なるマイナーバージョンアップと思われがちだが、実際にはキーボード、ポインティングデバイス、そしてペンという、クリエイティブ系のユーザー、そして生産性向上を目指すビジネスユーザーにとって使い勝手に直結する部分が大きく改善されており、Surface Proシリーズの使い勝手を1段階引き上げる高い完成度を持った2-in-1デバイスに仕上がっている。

フットプリントはSurface Pro 3とほぼ同じだが、さらなる薄型化を実現

 今回のSurface Pro 4がどのような製品であるかを理解するためには、ある程度これまでのSurface Proシリーズがどのような製品だったかを知っておく必要がある。図1は、縦軸が価格、横軸が時間軸にしてSurfaceシリーズ製品の歴史を図にしたものだ。

【図1】Surfaceシリーズの進化の歴史(筆者作成)
【表1】Surfaceシリーズ、Surface Proシリーズのスペック(筆者作成)


Surface RT Surface 2 Surface 3
SoC ブランド NVIDIA Tegra 3 NVIDIA Tegra 4 Atom X7
CPU ISA ARMv7 ARMv7 IA(Intel64)
CPUコア Cortex-A9(4コア) Cortex-A15(4コア) Airmont(4コア)
GPU Tegra GPU Tegra GPU Intel GMA Gen8
EU - - 16
メモリ   2GB 2GB 2/4GB
ストレージ 種類 eMMC eMMC eMMC
容量 32/64GB 32/64GB 64/128GB
ディスプレイ サイズ 10.6型 10.6型 10.8型
解像度 1,366×768ドット 1,920×1,080ドット 1,920×1,280ドット
デジタイザーペン - - オプション(N-Trig)/256段階
無線 Wi-Fi/BT IEEE 802.11n/BT4 IEEE 802.11n/BT4 IEEE 802.11ac/BT4
WANオプション - LTE(バンド3/7/20) LTE
カメラ 前面 720p HD 350万画素 350万画素
背面 720p HD 500万画素 800万画素
センサー 光センサー
加速度センサー
ジャイロスコープ
近接センサー -
電子コンパス
GPS - △(LTEモデルのみ) △(LTEモデルのみ)
ポート USB 端子 USB 2.0(フルサイズ) USB 3.0(フルサイズ) USB 3.0(フルサイズ)
ディスプレイ出力 Micro HDMI Micro HDMI Mini DP
カードスロット microSDXC microSDXC microSDXC
オーディオ端子 ヘッドフォンジャック ヘッドフォンジャック ヘッドフォンジャック
TPM   内蔵 内蔵 TPM2.0
バッテリ   約8時間 約10時間 約10時間
ACアダプタ   専用 専用 Micro USB
キックスタンド   1段階 2段階 3段階
サイズ   275×173×8.9mm 275×173×8.9mm 267×187×8.7 mm
重量   約680g 約680g 約622g
OS   Windows RT Windows RT Windows 8.1
Office   Office 2013 RT Office 2013 RT Office Premium+Office 365サービス
米国での発表時期   2012年10月 2013年9月 2015年3月
発表時の米国での価格   499ドル〜 399ドル〜 499ドル〜


Surface Pro Surface Pro 2 Surface Pro 3 Surface Pro 4
SoC ブランド 第3世代Coreプロセッサ 第4世代Coreプロセッサ 第4世代Coreプロセッサ 第6世代Coreプロセッサ
CPU ISA IA(Intel64) IA(Intel64) IA(Intel64) IA(Intel64)
CPUコア Ivy Bridge(2コア) Haswell(2コア) Haswell(2コア) Skylake(2コア)
GPU Intel GMA Gen7 Intel GMA Gen7.5 Intel GMA Gen7.5 Intel GMA Gen9
EU 16 20/40 20/40 24/48
メモリ   4/8GB 4/8GB 4/8GB 4/8/16GB
ストレージ 種類 SSD SSD SSD SSD
容量 64/128GB 64/128/256/512GB 64/128/256/512GB 128/256/512GB/1TB
ディスプレイ サイズ 10.6型 10.6型 12型 12.3型
解像度 1,920×1,080ドット 1,920×1,080ドット 2,160×1,440ドット 2,736×1,824ドット
デジタイザペン 標準添付(ワコム)/1,024段階 標準添付(ワコム)/1,024段階 標準添付(N-Trig)/256段階 標準添付(N-Trig)/1,024段階
無線 Wi-Fi/BT IEEE 802.11n/BT4 IEEE 802.11n/BT4 IEEE 802.11ac/BT4 IEEE 802.11ac/BT4
WANオプション - - - -
カメラ 前面 720p HD 720p HD 500万画素 500万画素
背面 720p HD 720p HD 800万画素 800万画素
センサー 光センサー
加速度センサー
ジャイロスコープ
近接センサー - - - -
電子コンパス
GPS - - - -
ポート USB 端子 USB 3.0(フルサイズ) USB 3.0(フルサイズ) USB 3.0(フルサイズ) USB 3.0(フルサイズ)
ディスプレイ出力 Mini DP Mini DP Mini DP Mini DP
カードスロット microSDXC microSDXC microSDXC microSDXC
オーディオ端子 ヘッドフォンジャック ヘッドフォンジャック ヘッドフォンジャック ヘッドフォンジャック
TPM   TPM1.2 TPM1.2 TPM2.0 TPM2.0
バッテリ   非公表(42Wh) 非公表(42Wh) 約9時間(42Wh) 約9時間
ACアダプタ   専用 専用 専用 専用
キックスタンド   1段階 2段階(24/40度) 無段階(0〜150度) 無段階(0〜150度)
サイズ   275×173 ×13.46 mm 275×173×13.5 mm 292×201.3×9.1mm 292.1×201.4×8.4mm
重量   約907g 約907g 約800g 約786g
OS   Windows 8 Pro Windows 8.1 Pro Windows 8.1 Pro Windows 10 Pro
Office   Office 2013 Office 2013 Office 2013ないしはOffice Premium+Office 365サービス Office Premium+Office 365サービス
米国での発表時期   2012年10月 2013年9月 2014年5月 2015年10月
発表時の米国での価格   899ドル〜 899ドル〜 799ドル〜 899ドル〜

 Surfaceは、大きく分けると3つの製品群に整理できる。1つ目はProが付かない499ドルからの価格帯となる無印Surfaceのラインで、「Surface RT」、「Surface 2」、「Surface 3」と進化してきている。2つ目が899ドルからの価格帯のSurface Proのラインで、「Surface Pro」、「Surface Pro 2」、Surface Pro 3と進化してきており、Surface Pro 4はその4つ目の製品ということになる。そして、10月発表されたばかりの製品がSurface Bookで、こちらは新しいクラムシェルの製品群となり価格帯は1,499ドルからというプレミアム製品となる。

 図1で示したように、クラムシェル型で別系統の製品となるSurface Bookは考慮しないとすれば、Surface/Surface Proシリーズは、製品のフットプリント(縦横のサイズ)で見ると、3つのグループに分類される。1つは、2012年に最初のSurface RT/Surface Proで採用された275×173mmというサイズだ。このサイズの製品は、翌年に発売されているSurface 2/Surface Pro 2でも維持されている。

 そして、昨年(2014年)登場したSurface Pro 3で採用されたのが、292×201mmというサイズの大きさで、今回登場したSurface Pro 4でもそのサイズは(ほぼ)維持されている。よってMicrosoftの製品計画は、2年に一度筐体をリフレッシュし、1年に一度はマイナーバージョンアップを施す。いわゆるチックタックのビジネスモデルだ。ただ、今回のSurface Pro 4ではフットプリントこそ同じだが、厚さは9.1mmから8.4mmへと薄型化が実現されている。より小型のSurface 3が8.7mmであることを考えれば、十分賞賛に値する。

 こうした2年に一度の完全なリフレッシュを行なうメリットは、周辺機器を使い回せるという点にある。実際、今回のSurface Pro 4は、ACアダプタ、キーボード、ペンなど、Surface Pro 3の周辺機器をほとんどそのまま使い回すことができる。

【表2】周辺機器の互換性(日本マイクロソフト提供の資料より筆者作成)

Surface 3 Surface Pro 3 Surface Pro 4
タイプカバー(Surface 3) - -
タイプカバー(Surface Pro 3) -
タイプカバー(Surface Pro 4) -
Surfaceペン(Surface 3/Pro 3世代用)
Surfaceペン(Surface Pro 4用) △*1 △*1
ペン先キット - -
電源アダプター(36W) -
電源アダプタ(13W/Micro USB) - -
Surface 3用ドッキングステーション - -
Surface Pro 3用ドッキングステーション - △*2
Surfaceドック -
VGAアダプタ(Surface 3/Pro 3世代用)
VGAアダプタ(Surface Pro 4用)
HD-AVアダプタ(Surface 3/Pro 3世代用)
HD-AVアダプタ(Surface Pro 4用)
*1 筆圧検知256段階、Cortanaおよびマグネット収用には未対応
*2 Surface Pro 4で利用するにはアダプターが必要

 なお、今回新たにSurface Dockと呼ばれるドックが用意されたが、従来のようにケースに本体を固定するタイプではなく、ケーブルで本体と接続する形状になっている。このため、本体の角度は自由に調整できるというのが大きな進化点となる。机の上で常にペンで入力に使用したいというユーザーには嬉しい配慮だ。

タイプカバーキーボードは別売りで組み合わせて使うとクラムシェル型PCライクに使うことができる2-in-1デバイスとなる
画面の解像度は2,736×1,824ドット
タイプカバーキーボードと合わせた重量の実測値は1,097g
ACアダプタはSurface Pro 3と同じモノを採用しており、207g
本体+タイプカバーキーボード+ACアダプタの重量は1,304g
左がSurface Pro 4、右がSurface 3、わずかであるがSurface 3よりも薄くなっている
新しいオプションのSurfaceドック、Surface Pro 3にも利用できる。前面はUSB 3.0端子×2
背面は左からドック用のACアダプタ端子、イーサネット、オーディオ出力、Mini DP×2、USB 3.0×2、Mini DPが2つあるので、それぞれで4K/60pの出力が可能になる
ドックの端子、本体のACアダプタの端子に接続する。データだけでなく電源もこのケーブルで供給する
ドック用のACアダプタ。巨大なアダプタだが、本体とドック両方に電力を供給するためこのサイズに

Core m3、Core i5、Core i7から選択できるCPU、メモリ16GBのモデル設定が嬉しい

 フットプリントの観点から見ればマイナーバージョンアップだと述べたが、今回のSurface Pro 4はかなり大規模なマイナーバージョンアップだと言って良い。CPUのアーキテクチャはもとより、液晶ディスプレイはサイズも解像度も上がっており、さらには後述するが入力デバイスが大きく改善されている。言ってみれば、Surface Pro 3の弱点だった部分を潰してより完成度を高めた製品、それがSurface Pro 4だ。

 CPUは開発コードネームSkylake(スカイレイク)で知られる、Intelの最新世代CPUとなる第6世代Coreプロセッサが採用されている。前世代となるSurface Pro 3には、22nmプロセスルールで製造される第4世代Coreプロセッサ(Haswell)が採用されていたので、14nmプロセスルールへとSkylakeを採用したことで性能は向上しつつも、アクティブ時の消費電力が減っていることが大きな特徴になる。

【表3】日本で販売されるモデルのSKU構成(筆者作成)
一般消費者向けモデル
型番 SU3-00014 CR5-00014 CR3-00014 CQ9-00014 TH2-00014 TH4-00014
CPU Core m3 Core i5 Core i5 Core i7 Core i7 Core i7
メモリ 4GB 4GB 8GB 8GB 16GB 16GB
ストレージ 128GB 128GB 256GB 256GB 256GB 512GB
Office Office Home & Business Premium プラス Office 365 サービス
重量 766g 786g
参考価格(税抜き) 124,800円 139,800円 179,800円 214,800円 239,800円 289,800円
法人向けモデル
型番 SUS-00013 9PY-00013 7AX-00013 SU9-00013 TH5-00013 TN3-00013
CPU Core m3 Core i5 Core i5 Core i7 Core i7 Core i7
メモリ 4GB 4GB 8GB 8GB 16GB 16GB
ストレージ 128GB 128GB 256GB 256GB 256GB 512GB
Office -
重量 766g 786g
参考価格(税抜き) 111,800円 126,800円 166,800円 201,800円 225,800円 276,800円

 上記の表のように、Surface Pro 4に用意されているSkylakeは、Core m3、Core i5、Core i7という3つの選択肢があり、今回手に入れたSurface Pro 4の法人向けモデルにはCore i5-6300U(2.4GHzベース、Intel HD Graphics 520=GT2)が搭載されていた。なお、日本マイクロソフトでは、現時点ではCore i7のSKUが何であるかは明らかにしていない。Core m3はCore m3-6Y30であることが販売されているモデルから明らかになっている。

 ちょっとした苦言になるが、日本マイクロソフトにせよ、Microsoftにせよ、CPUのSKUを明示しないというのは、消費者にとって親切な対応ではないと思う。おそらく競合他社が公開しない“真似”なのかもしれないが、消費者としては自分が買う製品がどのSKUのCPUを搭載しているのかは購入をするかどうかにも関わる重要情報であり、きちんと発売前に情報公開をお願いしたいところだ。

 12月に販売が開始される予定のCore i7モデルでは、GPUとしてIris Graphics 540(GT3e、48EU、64MB eDRAM搭載)が内蔵されている。従来のSurface Pro 3にも、GT3を搭載したCore i7が搭載されていたが、SkylakeのCore i7に内蔵されているGT3eは、eDRAMと呼ばれる一種のキャッシュメモリが搭載されており、GPU利用時のメモリ帯域の圧迫を抑えられる。これにより、GPUを利用する時の性能向上が期待できる。ただ、Surface Pro 3のGT3搭載SKUは、熱設計周りに課題があって、負荷をかけるとサーマルスロットリング現象が起きていた。それがSurface Pro 4で解消されているかどうかは、12月に予定されているCore i7モデルのリリースを待って検証する必要がある。

 また、ハードウェア周りでもう1つ新しいことはメインメモリとして16GBの大容量のSKUを選択することができるようになったことだ。AdobeのCreative Cloudのようなクリエイターツールを利用しているユーザーや、多数のアプリケーションを同時に起動して利用するユーザーなどは嬉しいところ。ただし、16GBを選べるのは、Core i7モデルだけとなるので、これも12月までお預けだ。

 ストレージに関しては、128GB/256GB/512GBの3つのモデルが用意されている。米国向けには1TBのモデルが用意されているのだが、日本市場向けには1TBの製品はまだ発表されておらず、今後も投入されるかは未定だ。

CPUはCore i5-6300U
本体の右側面下からACアダプタ/ドック共通端子、USB 3.0×1、Mini DP×1
本体の底面、タイプカバーキーボードと接続する
本体上部には電源スイッチとボリュームボタン
本体の左側面にはヘッドフォン端子が用意されている
スタンドを開けたところにmicroSDカードスロットが用意されている
Surface Pro 3とほぼ同じキックスタンドの構造を採用している
キックスタンドは〜150度の間で無段階に調整できる

別売りのタイプカバーキーボードの入力しやすさの改善は圧倒的

 今回筆者が手にしたSurface Pro 4は、日本マイクロソフトの型番で7AX-00013となる、Core i5/8GBメモリ/256GBストレージの製品となる。

 手にして一番最初に感じたことは、別売りのタイプカバーキーボードが圧倒的に使いやすくなったという点だ。正直、これまでのSurfaceシリーズは、そんなにキーボードにこだわってきた製品ではなかったと思う。最初の世代ではタイプカバーキーボードよりも、タッチカバーキーボード(キートップがなく、キーの場所がシルクで表示してあるだけのキーボード)の方が奨励されていたことからも分かるように、キーボードは補助的なデバイスという位置付けだった。しかし、Microsoftの関係者によればアタッチレート(Surface 1台に対してキーボードの売れている数)が100%を超えていると言われており、ほとんどのユーザーは1つ、場合によっては2つのキーボードを購入している計算になる。つまり、実質的には2-in-1デバイスとして使われているというのが一般的なのだ。

 そうした実際のユースケースを反映して、Surface 2/Surface Pro 2世代からはタッチカバーキーボードは姿を消し、タイプカバーキーボードだけになった。さらにSurface Pro 3では、マグネットを利用して、キーボードに傾斜が付けられるようになり、より入力しやすくなったと言える。

 今回のSurface Pro 4では、そうしたSurface Pro 3までの進化に加えて、大きく3つの改善が図られている。1つ目にはキートップのデザインが、最近のノートPCで一般的なアイソレーション型になったことだ。従来のSurface Pro 3/Surface 3世代では、キーとキーの間が狭いタイプのキーボードを採用していた。これはこれで好きな人はいるかもしれないが、最近のノートPCのトレンドはアイソレーション型だ。

 また従来のキーボードでは、キーボードの縁の部分がやや大きく取られており、キーボードの端のキー、例えばエンターキーなどにしわ寄せがいき、それらのキーが小さくなるなどの課題があった。一方Surface Pro 4用のキーボードは縁がより小さくなっており改善されている。ちょっとした差だが、こうしたことが実際に入力する時には快適性に大きな影響を及ぼす。

 3つ目はタッチパッドが大きくなったことだ。写真で見てもらえば一目瞭然だが、縦方向にも、横方向にも面積が大きくなっており、より快適に操作できる。もちろんSurface Pro 4の場合はタッチも使えるので、あまりタッチパッドは使わないユーザーもいるかもしれないが、従来のクラムシェル型PCに慣れ親しんでいるユーザーには嬉しい改良点だと言える。

Surface Pro 4のタイプカバーキーボード。端までキートップを配置したことで、キーの配列がより自然になっている
上がSurface Pro 4用、下がSurface Pro 3用。Surface Pro 4用は縁までキートップが来ていることが分かる
上がSurface Pro 4用、下がSurface Pro 3用。Surface Pro 4用がよりモダンなアイソレーション型になっていることが分かる
Surface Pro 4用タイプカバーキーボードのタッチパッド
上がSurface Pro 3用のタッチパッド、下がSurface Pro 4用のタッチパッド、大きさが違うことが一目で分かる

新しいG6デジタイザICの採用で書き心地が進化した新しいペン

 入力周りでのもう1つの大きな改善点は付属のデジタイザペンだ。Surface Proシリーズのデジタイザペンは、Surface Pro/Pro2世代ではワコム社製のデジタイザを利用したペンが採用されていた。ワコムのデジタイザは、プロユースでも定評があり、その使用感に慣れ親しんでいるユーザーも少なくないため、当初はビジネス向けとして販売開始されたSurface Proシリーズが、AdobeのCreative Cloudを利用するようなクリエイターなどにも好評を博した。ただ、ワコムのデジタイザペンは、タッチパネルとは別に1枚デジタイザのパネルが必要になる構造になっていたため、本体の厚さ方向が出てしまうという課題を抱えていた。

 これをクリアするためにSurface Pro 3のタイミングで導入されたのが、イスラエルのN-trig社が開発した新しいタッチパネル一体型のデジタイザだった。N-trigのメリットは、タッチパネルのセンサーがデジタイザのセンサーを兼ねており、1枚のタッチパネルでデジタイザとタッチの両方を実現できる。これにより、低コストでかつ薄いデジタイザ対応タッチ液晶を作ることが可能になった。後に、MicrosoftはN-trig社を買収しており、現在はMicrosoftの一部門となっている。

 しかしこのN-trigのデジタイザは、筆圧検知はソフトウェア的に1,024段階をサポートしていたのだが、ハードウェアとしては256段階のみをサポートする形になっていた。これに対してSurface Pro 2までで採用されていたワコムのデジタイザは1,024段階をサポートしていたので、ここは“スペックダウン”になってしまっていたのだ(ビジネスユースであれば256段階で不満を感じることはまずないが)。

 Surface Pro 4で採用された新しいMicrosoftのG6センサー(N-trigの技術がベースになっている)は、新たに筆圧検知が1,024段階に対応し、Surface Pro 3ではスペックダウンとなっていたところに追いついたと言える。さらに、ペンの追従性なども改善されており、Surface Pro 3やSurface 3では書き始めてから文字が表示されるまで一瞬のもたつきがあったのだが、Surface Pro 4ではそれがなく、文字通り書いたままディスプレイに表示される。今のところ、発売されたばかりのiPad Proを含めて、ここまで思った通りに文字が書けるペンというのはお目にかかったことがないというのが筆者の正直な感想だ。

 また、Surface Pro 4にはオプションでペン先を変えられるようになっている。ペン先が変えられるといっても、ペン先のサイズを変えたからより細い線が書けるというわけではなく、書く時の書き心地が変わる。N-trigのデジタイザペンは、ペン先が沈み込むことで筆圧を検知している。従って細いペン先にしたり、逆に太いペン先にしたりすると、その沈み込む量が変わる。これがペン先交換の効果だ。従ってどのペン先が自分にフィットしているかは、実際に試してみなければ分からない。

 ただ、このペン先、標準以外はオプションになっており、2H、H、HB(標準添付)、Bの4つのペン先がキットとして販売されており、参考価格は1,400円(税抜き)になる。なお、オプションとして販売されているSurface Pro 4用のSurfaceペンにもこのペン先キットがバンドルされているので、予備のペンを買うつもりでペンごと買うのがおすすめだ。

 Surface Pro 3から用意されているBluetoothでペアリングされるボタン機能は引き続きサポートされており、連続でボタンを押すとOneNoteが起動する機能は引き続き利用できる。加えてボタン部分で画面をこすると消しゴムとして利用できるようになっている。これによりソフトウェア的にペンを消しゴムに変える必要なくペンを逆さにするだけで消しゴム機能が利用できるので非常に便利だ。

 このように、Surface Pro 4のペンは、従来のSurface 3/Pro 3世代のペンに比べて大きく進化している。なお、基本的なデジタイザのアーキテクチャはSurface 3/Pro 3と共通であるため、Surface Pro 4のペンをSurface 3/Pro 3に利用することも可能だ。もちろん、Surface 3/Pro 3世代は筆圧検知のハードウェアが256段階までにしか対応していないため、新しいペンをSurface 3/Pro 3に利用しても1,024段階の筆圧検知や応答速度の改善といった新しいデジタイザでしかサポートされていない機能は利用できないので、そこは誤解なきように。

Surface Pro 4用の新しいペン
Surface Pro 4用のペンはマグネットがペン側に入っており、本体の左側面にマグネットで吸着することができる
新しいSurface Pro 4用ペンのボタン部分、OneNoteの起動ができるほか、Cortanaを呼び出したり、消しゴムとしても利用できる
このように後ろのボタンは消しゴムとして活用できる、なにげに便利
写真では表現しにくいが、従来のペンに比べて応答性などが上がっており、快適に文字入力なども可能
別売りオプションとして販売もされるSurfaceペン
ペン先は4つの種類が用意されている、このみに応じて使い分ける
ペン先のホルダーはペン先の取り外し器具も兼ねている
ペンの筆圧検知の感度は12段階で調整することができる

Windows Helloに対応した3Dカメラを標準装備、顔認証でWindowsにログイン可能に

 Surface Pro 4は、Windows 10からサポートされている生体認証機能「Windows Hello」を標準でサポートしている。Windows Helloは、3Dカメラないしは指紋リーダーを利用して生体情報でログインすることを可能にする機能だ。WindowsにMicrosoftアカウントを利用してログオンする時に、パスワードを人前で入力すると、それが盗み見られた場合には、それを利用してクラウドのアカウントにログインされてしまう危険性がある。それを避けるために、Windows 8/10ではローカルPINコードを設定することができるようになっているが、逆に容易に人に盗み見られ、知らない間にPCのロックが解除されてしまう危険性から逃れることはできない。しかし、生体情報であれば、本人がいなければログインできないため、確実でより安全なログイン方法だと言える。

 カメラを利用した顔認証によるログインであれば、Windows Hello以前にもサードパーティがWebカメラを利用した製品をリリースしていた。しかし、Windows Helloの顔認証は、単なるWebカメラではなく、3Dカメラを利用する。具体的にはSurface Pro 4の前面に用意されている赤外線カメラを利用して、顔を2D方向(縦横)だけでなく、3D(縦横奥行き)で認識するため、写真によるなりすましなどを排除できる。

 また、従来の顔認証ソフトウェアは、周囲が明るくなければ認証を行なうことができず、一時的にディスプレイの輝度を強制的に上げて、それによる光で認識するなどの工夫をしていたのだが、Windows Helloでは赤外線カメラを利用しているため、暗いところでも認識できる。例えば、カンファレンスの基調講演でメモを取ろうとPCを開いて顔認証しようとしたら認証できずに、結局PINなりパスワードなりでログインしたというのを筆者も経験している。しかし、Surface Pro 4とWindows Helloの組み合わせでは真っ暗な部屋でも認識できた。これは大きなメリットだと言えるだろう。

 なお、Windows Helloには指紋リーダーを利用した認証も可能になっている。米国ではタイプカバーキーボードのバリエーションとして、指紋リーダー付が販売されているが、日本では残念ながら販売される予定はないとのこと。もちろん3Dカメラを利用した顔認証も便利なのだが、指紋でもすっと触るだけでログインすることができる。できれば日本でも、指紋リーダーが搭載したキーボードをオプションとして追加して欲しいものだ。なお、もちろん米国で販売されている指紋リーダー付のキーボードを輸入すれば、日本のSurface Pro 4で利用することは可能だが、キー配列は101配列(US-English)になってしまうため、その点は要注意だ。

前面カメラ。カメラとしては500万画素のカメラだが、それに加えて赤外線カメラがあり、それを利用して深度方向の計測が可能になっている
背面カメラは800万画素
Windows Helloを設定するにはまずPINコードを設定し、それから顔を学習してもらう仕組みになっている

“生産性の向上”に注力した製品

 以上のように、Surface Pro 4の製品的な位置付け、強化点を見てきた。冒頭でも説明した通り、Surface Pro 4は、フットプリントという観点で考えてみれば、やはりSurface Pro 3のマイナーバージョンアップ版と考えるのが正しいが、キーボードやタッチパッド、さらにはペンなどは圧倒的と表現して良いほど進化しており、そうした入力の快適さこそが高い生産性を実現するPCとして見れば、大きな進歩を遂げたと表現していいだろう。

 なお、今回のSurface Pro 4は出荷段階では、いわゆるTH1と呼ばれる7月29日にリリースされた最初のWindows 10(ビルド10240)が搭載されて出荷されている。このため、11月にリリースされたTH2ことNovember Update(ビルド10586)はユーザー自身が適用する必要があるほか、SkylakeでサポートされているSpeedShift TechnologyなどのTH2以降のアップデートが必要になる機能には、現時点では対応していない(SpeedShiftの対応にはTH2のほか、OEMメーカー独自の対応も必要になる、TH2をインストールしたから有効になるわけではない、念のため)。

 もちろんユーザー自身でTH2/November Updateにアップグレードすることは可能だし、そうすれば別記事で紹介しているようなCortanaや新しい新しいフォント、MS-IMEのクラウド変換などの機能が利用可能になる。また、TH2/November Updateでは、標準ブラウザであるMicrosoft Edgeのバージョンが、TH1のバージョン20から大きく引き上げられバージョン25となっている。これに伴い、お気に入り同期機能の追加や安定性の向上などが実現されており、モダンブラウザとして、ChromeやFirefoxに追いつきつつある。

 Surface Pro 4はそうしたWindows 10 TH2/November Updateの特徴をフルに活かすことができるハードウェアとして、Surface Pro 3の弱点だったキーボード、ペン、さらにはWindows Helloへの対応といったハードウェアを進化させており、より魅力的な製品に仕上がっていると言えるだろう。タブレットやPCを、単なる“インターネット閲覧ツール”ではなく、よりアクティブに使い生産性を向上させたり、コンテンツを作り出したりという使い方をするユーザーであれば、検討してみるといいのではないだろうか。

(笠原 一輝)