笠原一輝のユビキタス情報局

見えてきたSandy BridgeのデスクトップPC製品展開戦略



 IntelがIDF 2010で「Sandy Bridge」の詳細を公開した。内部アーキテクチャの詳細などに関しては別記事に譲るとして、ここではSandy BridgeのデスクトップPC向けプラットフォームや製品展開の戦略についてお伝えしていきたい。

Sandy Bridge用のIntel P67 Expressを搭載したIntel製マザーボード

 Sandy Bridgeの設計を行なったIntelフェローのトム・ピアッツア氏によると、「Sandy Bridgeはモジュラーデザインを採用しており、マーケットに合わせた最適化を行なうことができるような設計になっている」と、ダイのバリエーション展開があり得ることを示唆した。

 そして、デスクトップ向けSandy Bridgeは、チップセットとなるIntel 6 Series Chipset(開発コードネームCouger Point)と組み合わせて、2011年第1四半期に発表され、同時にOEMメーカーからPCとして出荷が開始される予定となっている。

●モジュラーデザインを採用することでさまざまな展開が可能なSandy Bridge

 ピアッツア氏によれば、モジュラーデザインはCPUコア、メモリコントローラ、グラフィックスコアなどすべてが対象で、例えばCPUコアを4コアから2コアに減らしたり、メモリコントローラのチャネル数を2チャネルから3チャネルに増やしたり、グラフィックスコアのシェーダ数を12から6に減らしたりなどのデザインが簡単にできるようになっているという。

 Sandy Bridgeがこうしたモジュラーデザインを採用していることは、以前の記事でも触れた通りで、Sandy Bridgeには4コア版、2コア版、グラフィックスコアのエンジンが多い版、少ない版などが存在しており、サーバー向けにはグラフィックスコアが無いバージョンも存在している。以前は、CULV向けにメモリコントローラをシングルチャネルにしたバージョンもあったが、これは計画段階で破棄された(このことは以前記事で触れた通りだ)。

 もちろん簡単にできるというのは、ダイを設計する段階での話であり、設計したダイはそれぞれ別のダイとしてバリデーション(動作検証)をしなければならない。このため、闇雲に増やせるというものではなく、ある程度ターゲットを絞って必要な種類のダイを設計するというアプローチになる。

 Intelはこうしたモジュラー化を以前より進めており、Atomプロセッサでは、1つのデザインを元に、ネットブック用、UMPC用、組み込み用、テレビ用と複数のダイを作成しており、Sandy Bridgeもその考えた方を踏襲したものだと言ってよい。

Sandy Bridge(右下)。右上はヒートスプレッダがついたバージョン Sandy Bridgeの内部ダイアグラム。CPUコアも、GPUも、メモリコントローラもモジュラーデザインになっている

●パフォーマンスデスクトップだけでなく、AIOやSFF向けも

 今回Intelは、Sandy Bridgeのマイクロアーキテクチャの詳細を明らかにしたが、プロセッサのSKU構成などに関してはほとんど触れていない。これは、今回はテクノロジの発表に焦点を当て、マーケティング的な内容は具体的製品発表が行なわれる予定のInternational CESで公開する予定であるためだ。

 しかし、OEMメーカー筋の情報によれば、デスクトップPC向けのSandy Bridgeには以下のようなSKUが用意されているという。

【表1】Sandy BridgeのSKU構成(筆者予想)
ブランド プロセッサナンバー ベースクロック TB時最高クロック コア数 L3キャッシュ TDP 倍率アンロック HT対応 vPro対応 AES-NI対応
Core i7 2600K 3.4GHz 3.8GHz 4 8MB 95W -
Core i7 2600 3.4GHz 3.8GHz 4 8MB 95W -
Core i5 2500K 3.3GHz 3.7GHz 4 6MB 95W - -
Core i5 2500 3.3GHz 3.7GHz 4 6MB 95W -
Core i5 2400 3.1GHz 3.4GHz 4 6MB 95W -
Core i3 2120 3.3GHz - 2 3MB 65W - - -
Core i3 2100 3.1GHz - 2 3MB 65W - - -
Core i7 2600S 2.8GHz 3.8GHz 4 8MB 65W -
Core i5 2500S 2.7GHz 3.7GHz 4 6MB 65W - -
Core i5 2500T 2.3GHz 3.3GHz 4 6MB 45W - -
Core i5 2400S 2.5GHz 3.5GHz 4 6MB 65W - -
Core i5 2400T 2.7GHz 3.5GHz 2 3MB 35W -
Core i3 2100T 2.5GHz - 2 3MB 35W - - -

 Sandy Bridge世代では、プロセッサナンバーは4桁+1文字(つかない場合もある)となる。その意味は、例えばCore i7 2600Kの場合、2が世代(この場合は第2世代のCore iシリーズという意味)、600がモデルを示している。このほか、アルファベットは、Kがアンロック版、Sが65W版(パフォーマンスセグメント向けの低消費電力版)、Tが45/35W版(SFF向けの低消費電力版)、となる。

 デスクトップPC向けには、TDPの枠は95/65/45/35Wが用意されている、クアッドコア版の65/45W版、デュアルコア版の45/35W版はAIO(All In One、液晶一体型)PCやSFF(Small Form Factor)PCなど向けとされている。

●Intel 6 Series Chipset

 チップセットは、OEMメーカー筋の情報によれば、デスクトップPC用では以下のようなものが用意されているという。

【表2】デスクトップ用Couger PointのSKU(筆者予想)
  H67 P67 H61 Q67 Q55 B65
CPUソケット LGA1155 LGA1155 LGA1155 LGA1155 LGA1155 LGA1155
PCI Express(CPU側) 1x16 1x16/2x8 1x16 1x16 1x16 1x16
vPro対応 - - - -
RAID RAID 0/1/5/10 RAID 0/1/5/10 AHCI RAID 0/1/5/10 AHCI AHCI
USB 2.0 14 14 10 14 14 12
SATA(うち6Gbps) 6(2) 6(2) 4(0) 6(2) 6(1) 6(1)
PCI Express(CS側) 8 8 6 8 8 8
PCI - - -

 この内、コンシューマ向けがH67、P67、H61、ビジネス向けがQ67、Q65、B65となる。

 Couger Pointは、現行のIntel 5 Series Chipset(コードネームIbexPeak)の改良版。強化点はSATA 6Gbpsに対応していることぐらいで、基本的には大きな違いは無いが、コンシューマ向けSKUではPCIバス対応が廃止されている。

 もっとも、PCI Express-PCIブリッジチップを搭載すれば、実装は不可能ではない。ただし、その場合には追加コストが必要になるので、ハイエンドマザーボードにのみ実装という形になるのではないだろうか。

 ビジネス向けのQ67では、前世代のQ57に引き続いてビジネス向けPCの管理機能であるvPro Technologyがサポートされる。

 Q67世代ではvProで利用されるハードウェア管理機能「AMT」(Active Management Technology)のバージョンがあがって7.0になる。AMT 7.0では、AMT 6.0(Q57などに搭載)で対応しているリモートKVM機能やIntel AT(Anti Theft)などの機能が強化されることになる。IntelでvProのマーケティングを担当しているリック・エチャベリア氏によれば「AMT 7.0ではリモートKVMの解像度が上がり、設定のロールバック機能が追加される。ただ、基本的にはAMT 6.0の機能強化版になる」とのことで、大幅な強化は無い模様だ。

 ただし、エチャベリア氏によると、「VMWare、Microsoft、Citirxなどの仮想化ベンダが、彼らのHyper Visorやデスクトップ仮想化で対応が進む。どのレベルの対応になるかはベンダ次第だが、VT-dやTXTへの対応が進むだろう」とのことで、ハードウェアだけでなくソフトウェアの対応が進んでいく見通しだ。

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(2010年 9月 15日)

[Text by 笠原 一輝]