笠原一輝のユビキタス情報局

見えてきたSandy Bridge世代のモバイルプラットフォーム「Huron River」



 Intelが徐々にSandy Bridge世代の詳細を明らかにしつつある。OEMメーカー筋の情報によれば、Intelは年末から年明けにかけてOEMメーカーなどを対象にSandy Bridge世代の詳細を明らかにし、PC向けのプラットフォームの大枠が見えてきた。

Intelのスティーブ・スミス副社長が手に持つのがSandy Bridgeコアのプロセッサ。右手に持つのがデスクトップ版、左手に持つのがモバイル版

 OEMメーカー筋の情報によれば、Sandy Bridge世代のモバイルプラットフォームの開発コードネームはHuron River(ヒューロンリバー)となり、1コアのGPUを統合したクアッドコアプロセッサ、1コアないしは2コアのGPUを内蔵したデュアルコアプロセッサの2系統の製品が存在する。チップセットとなるCouger Point(クーガーポイント)、無線モジュールのRainbow Peak(レインボーピーク)/Taylor Peak(タイラーピーク)と組み合わせて、2011年の第1四半期に提供されることになる。


●クアッドコア版だけでなく、1GPUと2GPUのデュアルコア版が存在する

 現在OEMメーカーに向けて出荷されているCalpellaプラットフォームの後継となるのが、2011年の第1四半期に提供される予定のHuron Riverだ。従来の製品と同じように、Huron RiverでもCPU、チップセット、無線モジュールの3つの要素が、Intelから提供されることになる。

 核となるプロセッサ製品は、Sandy Bridge世代の製品となる。昨年のIDFで公開されたのはSandy Bridgeはクアッドコア+内蔵GPUという形の製品だったのだが、Huron Riverに提供されるプロセッサはクアッドコアだけではなく、デュアルコア+内蔵GPUという製品も用意されることになる。しかも、デュアルコア版の内蔵GPUには、シングルGPU版とデュアルGPU版の2つの製品が用意されることになる(現時点での情報ではクアッドコア版にはデュアルGPUの製品は存在していないという)。なお、統合されるGPUコアは、現在のモバイルCore i7/5/3に内蔵されている統合コアの延長線上にある製品となる。

 現時点ではこのデュアルGPUが、どのような用途に利用されるのかは不明で、AMDのCrossFireやNVIDIAのSLIのような仕組みが用意されるのか、それとも何か別の使い方があるのかはわかっていない。また、DirectXの世代もDirectX 10.1にとどまっており、DirectX 11には対応していないという。この点では、AMDが2011年にリリースする予定のLlanoが、Direct3D 11に対応しているのに比べると、不利な点となる可能性がある。

 しかし、それ以外にもいくつかの新機能が用意される模様で、例えばMPEG-4 AVC/VC-1のハードウェアエンコーダ機能が実装される。これを利用することにより、Huron River世代ではIntelが北米で販売しているIntel Wireless Displayの次世代版に対応し、1080pの動画再生やHDCPなどにも対応することになる。

 このほか、Turbo Boost Technologyも強化され、新しいモードが追加される。現在の世代のTurbo Boostでは熱設計消費電力(TDP)の枠を超えることができないので、4つのコアすべてが最高クロックに達することはないのだが、Huron River世代では稼働温度の範囲内であればTDPの枠を一瞬飛び越えて4つのコアすべてのクロックを引き上げることができるようになる。用途によってはこれで処理能力が向上することができるようになるという。

●チップセットはCouger Point、無線モジュールはRainbow Peakとなる

 Huron River世代のチップセットはCouger Point(クーガーポイント)となる。基本的には従来のIbexpeakの改良版となり、6Gbpsの転送速度を実現するSATAに対応するのが強化点となる。

 ワイヤレスモジュールにはRainbow PeakとTaylor Peakという製品が用意される。Rainbow Peakは、WiMAXをサポートするKilmer Peak(製品名:Centrino Advanced-N+WiMAX 6250)の後継ではなく、Puma Peak(製品名:Intel Centrino Ultimate-N 6300)の後継となる製品だ。現時点ではWiMAXに対応したHuron River世代の無線モジュールに関しては情報がなく、OEMメーカー筋の情報によればKilmer Peakが引き続き提供されれていくことになりそうだ。

 Rainbow PeakはIEEE 802.11a/g/n(2.4GHz/5GHz)の無線LANに対応しており、アンテナは3x3になるという。かつ、Intelの無線モジュールとしては初めてBluetoothの機能が統合されることになる。このため、OEMメーカーは追加コストなくBluetoothが実装できるようになる。なお、Taylor Peakはよりローコスト版の製品となり、アンテナは2x2をサポートすることになる。

●リリースは2011年の第1四半期になる見通しだが、2〜3月頃となる可能性が高い

 なお、現時点ではHuron Riverに対応するプロセッサの熱設計消費電力(TDP)は明らかになっていないが、昨年のIDFで、PCクライアント事業本部 事業本部長のムーリー・イーデン副社長は「Sandy Bridge世代のプロセッサも同じような熱設計の枠を維持する」と述べており、おそらく同じような枠の製品になることは間違いないだろう。従来通り、SV(Standard Voltage)版、LV(Low Voltage)版、ULV(Ultra Low Voltage)版の3つのバージョンが用意されることになる。OEMメーカーに対しては、引き続きComsumer ULV(CULV)のマーケティングプログラムも維持されると伝えられており、従来通りIntelの求める仕様を守れば、低価格でULVプロセッサがOEMメーカーに提供される。

 気になるリリース時期だが、すでに述べたとおり“公式”には2011年第1四半期とOEMメーカーに伝えられているという。Intelは、今年の製品から「2010 Intel Coreプロセッサファミリー」などと、製品の前に年を入れているが、すでに社内ではマーケティングプランとして年明けのCESで新製品を発表していくサイクルというのが組まれているのだという。このため、さまざまな製品の発表が2011年1月のCESをターゲットにしており、Pine TrailもそれにあわせてCESの直前に発表され、搭載製品のデビューはCESというスケジュールになっている。

 そうした意味では、Huron Riverのデビューも来年のCESにあわせてと考えるのが自然な話で、OEMメーカーには当初そうした説明が行なわれていたという。しかし、現時点ではそのスケジュールは若干後退し、Huron Riverの投入時期は2011年の第1四半期は第1四半期でも2〜3月というスケジュールになっているのだという。これだとおそらく発表自体はCESで済まし、製品の投入が若干後ろ倒しになるという程度の修正ですむからだろう。

 しかし、このスケジュールで本当にいけるのかどうかは、OEMメーカーの側にも若干の疑問があるという。というのも、現時点でもOEMメーカーには最初のサンプルが渡されていないからだ。このため、リリースがもう少し遅れるのではないかという関係者もいて、まだまだ不透明な情勢だと言っていいだろう。

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(2010年 2月 15日)

[Text by 笠原 一輝]