PC使いこなし塾

Microsoft Office 2016をこれから使うあなたへ【第5回】

~Excelで売上動向資料を製作するための基礎

Excelは、会議や報告書の資料作りにもってこいのソフトです。Excelを使えば、見栄えのよい表やグラフを瞬時に作成できます。上級機能も豊富で、データ分析のツールとしても活躍します

 「新製品の売上の動向を資料にまとめよ。」

 上司からそんな指示を受けたときに、出番となるのが表計算ソフトの「Excel」です。今回は、売上をまとめた資料を作りながら、Excelの基本的な使い方を紹介します。

 「表計算ソフト」とは、文字通り、データを表にまとめて計算することが得意なソフトです。編集画面が最初からマス目で区切られているので、データを入力するだけで簡単に表を作成できます。さらに、入力したデータの集計やグラフ化も一瞬のうちに行なえます。

 Excelには、データの分析やシミュレーションのための上級機能も搭載されていますが、まずは表とグラフの作成方法を覚えましょう。簡単な操作なので、すぐに覚えられるはずです。本記事では操作の概要を説明します。具体的な操作方法については、「できるネット」の記事(Excelの「表示形式」の使い方。通貨、日付、桁区切りからユーザー定義までExcelで連続データを簡単入力!「オートフィル」の基本&活用ワザ)を参照してください。

「ホーム」タブのボタンを利用して表を作成

 Excelの起動画面で「空白のブック」を選ぶと、縦横がマス目で区切られた「ワークシート」が表示されます。1つ1つのマス目のことを「セル」と呼びます。Excelでは、基本的に1つのセルに1つのデータを入力します。

 入力自体は至って簡単。セルを選択して、キーボードから文字を打ち込むだけです。表に色を付けたり、罫線を引いたり、文字揃えを設定したりするには、「ホーム」タブの「フォント」グループや「配置」グループにあるボタンを使います。

セル上をドラッグすると(ここではセルA3からセルH8に向かって斜めにドラッグ)、ドラッグした範囲のセルが選択されます。続けて、「ホーム」タブの「罫線」の「▼」ボタンをクリックして「格子」を選ぶと、セルA3~H8に格子状の罫線が引かれます。同様に、「ホーム」タブのボタンからセルの色や文字の配置などを設定できます

 Excelでは、数値データの表を作成する機会が少なくありません。桁数が多い数値を入力したときは、読み取りやすくなるように、数値を3桁区切りで表示しましょう。数値のセルを選択して、「ホーム」タブの「数値」グループにある「桁区切りスタイル」ボタンをクリックすれば、3桁ごとに自動で「,」(カンマ)が表示されます。新社会人にとっては使い慣れない表記かもしれませんが、慣れてくると「,」の位置に応じて「100,000」は十万、「1,000,000」は百万、と一目で読み取れるようになります。

数値のセルを選択して、「桁区切りスタイル」ボタンをクリックすると、3桁ごとに自動で「,」(カンマ)が表示され、数値が読み取りやすくなります

 「桁区切りスタイル」はセルの見た目を変える機能で、入力したデータ自体が変更されるわけではありません。「5,713」と表示されたセルを選択して、「数式バー」を見ると、入力したときのままの「5713」と表示されていることがわかります。このように、入力したデータ自体を変更せずに、見た目だけを変える機能のことを「表示形式」と呼びます。

表示形式を設定すると、セルに表示される数値の見た目を変更できます。セルに入力した数値は数式バーで確認できます

表示形式を元に戻すには「標準」を設定する

 表示形式について、もう少し詳しく見ていきましょう。

 「桁区切りスタイル」ボタンの隣には、「通貨表示形式」、「パーセントスタイル」などのボタンが並びます。いずれもワンクリックで数値の表示を変更できる便利なボタンです。しかし、一度設定すると、数値を削除しても入力し直しても、表示形式の設定は消えません。これが「困った!」の元になることがあります。

 例えば、今回の表を流用して、「対前年比」の表を作成するケースを考えてみましょう。「桁区切りスタイル」を設定したセルに「0.87」「1.23」などと入力し直すと、数値が勝手に四捨五入されて、整数の「1」と表示されてしまいます。「桁区切りスタイル」では小数点以下の桁が四捨五入されるように定義されているからです。

表示形式を設定したセルに別のデータを入力すると、思い通りに表示されない場合があります。例えば、「桁区切りスタイル」のセルに小数を入力しても、小数点以下の桁は表示されません

 数値の表示形式を解除するには、「標準」という表示形式を設定します。対象のセルを選択して、「表示形式」の一覧から「標準」を選びましょう。「標準」は、新しいセルに設定されている表示形式です。

数値の表示形式を解除するには、対象のセルを選択して、「表示形式」の一覧から「標準」を選択します。表示形式が解除されると、入力した数値がそのままセルに表示されます。この「表示形式」の一覧からは、日付や時刻の表示形式を設定することもできます

 作成済みの表を手直しして使い回すことは、基本中の基本の時短術です。「入力したデータがおかしい!」と慌てる羽目に陥らないためにも、表示形式の解除方法を覚えておきましょう。

数値の合計はボタン一発!

 話を元に戻しましょう。

 売上データを入力した表では、「合計」を計算して全体の売上を把握したいものです。合計は、Excelで最も使用頻度の高い計算なので、専用のボタンが用意されています。間違っても、電卓片手に合計値を手入力、なんてことはしないでください(本当にまれにそういう人がいるのです)。

 合計を計算するには、合計を表示するセルを選択して、「ホーム」タブの「合計」ボタンをクリックします。すると、自動で合計対象のセルが認識され、数式が作成されます。そのまま「Enter」キーを押すと、数式が確定されて、セルに合計値が表示されます。

合計を表示するセル(ここではセルH4)を選択して、「ホーム」タブの「合計」ボタンをクリックします。「数式」タブにある「オートSUM」ボタンを使用してもかまいません。すると、「=SUM(B4:G4)」という合計式が自動入力されます。この式は、「セルB4~G4の数値を合計する」という意味です。「Enter」キーを押すと……、
セルに合計値が表示されます。合計対象の数値に「桁区切りスタイル」が設定されている場合、合計値も自動的に桁区切りスタイルになります。同様に、セルB8も合計値を求めます

 隣接するセルの合計は、コピーを利用して求めましょう。数式を入力したセルを選択して、セルの右下隅に表示される小さな四角形をドラッグすると、ドラッグした範囲に数式をコピーできます。この操作を「オートフィル」と呼びます。「数式のコピー」と言っても、コピー先に同じ数式が入力されるわけではありません。コピー先のセルに応じた正しい合計式が入力されるので、各セルに正しい合計値が表示されます。

数式を入力したセルを選択して、セルの右下隅を下方向や右方向にドラッグすると、隣接するセルに数式をコピーできます。

グラフを作れば、数値の変化が一目瞭然

 売上の分析には、グラフ化が欠かせません。表の数値を眺めただけでは分からない売上の傾向が、グラフにすると一目瞭然になります。Excelならグラフ化もお茶の子さいさい。グラフの元になるセルを選択して、「挿入」タブからグラフの種類を選ぶだけです。たった2ステップで、グラフが瞬時に作成されます。

グラフを作成するには、元になるセルを選択して、「挿入」タブからグラフの種類を選びます。ここでは、セルA3~G7を選択して、「折れ線/面グラフの挿入」ボタンの一覧から「マーカー付き折れ線」を選びました
グラフが作成されました。「グラフタイトル」の文字上をクリックして文字を入力すると、グラフタイトルを書き換えられます。グラフ上の何もない部分をドラッグすると、グラフを移動できます

 グラフの作成では、「何を表現したいか」を考えてグラフの種類を選ぶことがポイントです。例えば、折れ線グラフを作成すると、売上が伸びているのかどうかが、折れ線の傾き具合から分かります。今回作成したグラフでは、売上が右肩上がりに少しずつ伸びていることが見て取れます。なかなかの資料に仕上がったのではないでしょうか。

 Excelの機能は多彩なので、上級機能を使いこなすにはそれなりの時間が必要です。しかし、今回作成したような単純な表とグラフの作成なら、だれでも短時間でマスターできると思います。できるところから始めて、少しずつ使える機能を増やしていってください。

製作協力:日本マイクロソフト

(きたみ あきこ)