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Microsoft Office 2016をこれから使うあなたへ【第4回】

~PowerPointで相手の心を動かすプレゼン資料を作るための基礎

PowerPointを使えば、イラストや概念図、表、グラフなど、視覚効果の高い要素をふんだんに盛り込んだ、洗練されたスライドを簡単に作成できます

 短期連載の4回目となる今回は、プレゼンテーションソフトの「PowerPoint」を紹介します。プレゼンで相手の心を動かすには、まず、相手の関心を引くことが大切です。PowerPointでは、相手を魅了する洗練されたスライドを簡単に作成できます。さらに、作成したスライドをプロジェクタに表示して、プレゼンを実行する機能もあります。準備から実行まで、プレゼンに関するあらゆる機能を提供し、プレゼンの成功を後押ししてくれる心強いソフトなのです。

 本記事では、文字だけで構成された簡単なスライドを作成しながら、PowerPointの概要をつかんでいきます。具体的な操作方法については、「できるネット」の記事(画面や用紙に最適化。PowerPointでスライドのサイズを変更する方法)を参照してください。また、図表などの作成に関しては、別の機会に解説します。

最初のお約束。スライドのサイズを決めよう

 PowerPointの起動画面で「新しいプレゼンテーション」を選ぶと、プレゼンの表紙となる白紙のスライドが表示されます。初期設定のスライドのサイズは、「ワイド画面(16:9)」です。「16:9」はスライドの縦横比のことで、最近の主流であるディスプレイやプロジェクタにピッタリキレイに表示される横長のサイズです。

 プレゼンの本番で使用する画面が「16:9」の場合は、そのままで問題ありません。しかし、従来型のサイズの画面を使う場合、そのままではスライドの上下に黒い帯が表示され、せっかく作ったスライドの魅力が半減してしまいます。「デザイン」タブの「スライドのサイズ」ボタンから「標準(4:3)」を選択して、スライドを従来型のサイズに変更しましょう。

スライドのサイズは、「デザイン」タブの「スライドのサイズ」ボタンから変更できます。プレゼン本番で使用するディスプレイやプロジェクタに合わせて、「標準(4:3)」か「ワイド画面(16:9)」を選びましょう

 スライドのサイズの変更は、いつでも行なえます。しかし、図表や画像などを配置したあとでサイズを変更すると、バランスの微調整が必要になり面倒です。細部を作り込む前に、変更しておきましょう。

 ちなみに、PowerPointで企画書や報告書など印刷目的の書類を作る場合は、「スライドのサイズ」ボタンのメニューから「ユーザー設定のスライドのサイズ」をクリックすると、「A4」、「B5」などのサイズを選べます。

文字を入力するだけでプレゼン用の体裁になる!

 表紙のスライドには、「タイトルを入力」、「サブタイトルを入力」などと書かれた入力欄が用意されています。この入力欄のことを「プレースホルダー」と呼びます。タイトルは大きな文字、サブタイトルは小さな文字、という具合に、あらかじめフォントサイズが設定されているので、プレースホルダーをクリックして文字を入力するだけで、表紙の体裁が整います。

 最初に表示されるのは表紙スライド1枚ですが、「ホーム」タブにある「新しいスライド」ボタンをクリックすると、スライドを追加できます。

プレースホルダーに文字を入力するだけで、表紙スライドの体裁になります。2枚目のスライドを追加するには、「ホーム」タブにある「新しいスライド」ボタンをクリックします

 スライドを追加すると、編集画面に新しいスライドが表示され、その左にスライドのサムネイル(縮小画面)が表示されます。このサムネイル欄は、プレゼン全体の構成を見渡すための領域です。サムネイルをクリックすると、編集画面に表示されるスライドを切り替えられます。また、サムネイルをドラッグしてスライドの順序を入れ替えたり、「Delete」キーを押してスライドを削除したりもできます。

新しいスライドを追加すると、編集画面に白紙のスライドが表示され、サムネイル欄にスライドの縮小画面が並びます。2枚目以降のスライドには、タイトル欄と内容欄の2つのプレースホルダーがあります

 2枚目以降のスライドは、基本的にタイトル欄と内容欄の2つのプレースホルダーから構成されます。内容欄のプレースホルダーには、あらかじめ「箇条書き」が設定されています。「Enter」キーで改行しながら文字を入力していくと、各行の先頭に「・」のマークが付いた箇条書きの体裁になります。

 内容欄が自動で箇条書きなるのは、理にかなったことと言えます。プレゼンでは、スライドを見てもらいながら、発表者の話にも耳を傾けてもらわなければなりません。スライドに長々とした文章を書き込んでしまうと、読むのに神経を使ってしまい、発表者の話がそっちのけになってしまう心配があります。それでも読んでもらえればまだマシで、文章だらけのスライドでは、読む気も聞く気も失せてしまう恐れもあります。スライドには、発表する内容の要点だけを箇条書きで列記して、目と耳の両方から情報を吸収してもらえるようにしましょう。

内容欄のプレースホルダーに文字を入力すると、行頭に「・」マークが付いた箇条書きの体裁になります。箇条書きで要点だけを列記するのが、スライド作りの鉄則です

スライドを作り込む前の2つ目のお約束。「テーマ」を決めよう

 プレゼンを行なうときは、洗練された見栄えのよいスライドを使用して、相手に「カッコイイ!」と思わせたいものです。PowerPointには、「テーマ」と呼ばれるスライド用のデザインが用意されています。

 テーマの設定は至って簡単。「デザイン」タブに切り替え、「テーマ」の一覧から好きなデザインを選ぶだけです。一覧のデザイン見本にマウスポインタを合わせると、一時的にスライドのデザインが変わり、設定効果を確認できます。マウスポインタを動かしながらいろいろ試して、気に入ったものが見つかったらクリックして決定します。

スライドのデザインを変更するには、「デザイン」タブの「テーマ」グループの右下にあるボタンをクリックして……
表示される一覧から好みのデザインをクリックすると、スライドにデザインが適用されます

 続けて「バリエーション」欄から好みの色を選びます。適用したテーマによっては、色のほか、背景の模様が違うバリエーションが用意されている場合もあります。テーマとバリエーションの組み合わせによって、選択できるデザインの幅がグンと広がります。

「バリエーション」を利用すると、スライドの基本的なデザインはそのまま、背景の色や模様などを変更できます

 テーマとバリエーションを設定したら、必ず2枚目のスライドを確認しましょう。「テーマ」や「バリエーション」の一覧には、表紙スライドのデザインイメージが表示されます。表紙が気に入っても、2枚目以降のデザインはイメージに合わなかった、というケースもあり得るので、2枚目の確認は必須です。

スライドのサムネイルをクリックして編集画面のスライドを切り替え、2枚目のスライドのデザインを確認します

 テーマを設定すると、色や模様などのデザインだけでなく、タイトルの位置や、フォント、フォントサイズ、箇条書きの記号なども変化します。図表やグラフを配置した後でテーマを変更すると、全体のバランスが崩れ、再調整が必要になる場合があります。せっかくの作業が水の泡、なんてことのないように、細部を作り込む前にテーマを設定しておきましょう。

 ただし、全くの白紙の状態ではイメージがつかみづらいので、今回のように、ある程度の文字を入力してからテーマを設定することがポイントです。

箇条書きの見栄えを整えよう

 箇条書きについて、もう少し詳しく見ていきましょう。

 箇条書きの項目数が少ないと、文字がスライドの上側に偏ってしまいます。フォントサイズを大きくしたり、行間を広げたりして、スライドのバランスを調整しましょう。行間を広げるには、プレースホルダーを選択して、「ホーム」タブの「行間」ボタンから行間のサイズを選択します。

箇条書きの文字上をクリックすると、周りに点線の枠が表示されます。点線の枠をクリックすると、枠が実線になり、プレースホルダー全体が選択状態になります。その状態で「ホーム」タブの「行間」ボタンからサイズを選ぶと、箇条書きの行間が変わります

 プレゼンの内容によっては、箇条書きに階層を付けたいことがあります。行頭にカーソルを置いて「Tab」キーを押すと、箇条書きの階層が下がります。反対に、階層を上げたい時は、「Shift」キーを押しながら「Tab」キーを押します。階層を下げると、行頭が右にずれ、自動的にフォントサイズが小さくなります。

必要に応じて、箇条書きに階層を付けられます。行頭で「Tab」キーを押すと階層が下がり、「Shift」+「Tab」キーを押すと階層が上がります

 いかがでしょうか。文字を入力してテーマを設定するだけで、それなりの仕上がりになったと思いませんか? 簡単な操作で見栄えのするスライドができる、これがPowerPointの真骨頂です。
 このほかにも、図表やグラフなど、分かりやすいプレゼン資料を作るための機能がたくさんあります。今回の記事を入り口として、さまざまな機能にチャレンジし、PowerPointをとことん利用してください。

製作協力:日本マイクロソフト

(きたみ あきこ)