西川和久の不定期コラム

マウス「MDV ADVANCE MDV-GZ7700X」

~SkylakeなCore i7とGeForce GTX 960を搭載した高速PC

「MDV-GZ7700X」

 マウスコンピューターは8月5日、SkylakeなCore i7とNVIDIA GeForce GTX 960、そしてPCI Express x4接続のM.2 SSD 512GB(Samsung SM951)を搭載したデスクトップPCを発表した。筆者としてもSkylakeは初物でさらに爆速の予感がする構成。加えてWindows 10と、楽しみながらの試用記をお届けしたい。

SkylakeなCore i7とDirectX 12対応のGeForce GTX 960

 発表があったのは「MDV-GZ7700B」と「MDV-GZ7700X」の2モデル。前者は今回紹介する「MDV-GZ7700X」とプロセッサやGPUは同じだが、メモリを8GB×2、HDD 1TBにしたベーシックなタイプだ。価格は149,800円。

 後者の「MDV-GZ7700X」は、メモリを8GB×4(合計32GB)へ、HDDは2TBへ、PCI Express x4接続のSSD 512GBを加えた上位モデルとなる。SkylakeなCore i7とGeForce GTX 960、そしてPCI Express x4接続のSSD 512GBとなれば、爆速間違いなしと言っても過言ではないだろう。主な仕様は以下の通り。

マウス「MDV ADVANCE GZ/MDV-GZ7700X」の仕様
CPUCore i7-6700K(4コア8スレッド、4GHz/最大4.2GHz、8MB、TDP 91W)
チップセットIntel Z170
メモリ32GB PC4-17000(8GB×4、空きなし)
ストレージM.2 SSD 512GB(Samsung SM951/PCI Express x4接続)、HDD 2TB(7,200rpm)
光学ドライブDVDスーパーマルチドライブ
OSWindows 10 Home(64bit)
グラフィックスGeForce GTX 960/2GB、DisplayPort×3、HDMI×1、DVI×1
ネットワークGigabit Ethernet
インターフェイスPS/2×1、USB 2.0(背面×2)、USB 3.0(背面×3、前面×2)、音声入出力、マルチカードリーダ、microSDカードリーダ
拡張スロットPCI Express x16×2(空き1)、同x1×4(空き4)
ストレージベイ5インチオープンベイ×4(空き3)、3.5インチシャドウ×2(空き2)、3.5インチマウンタ×4(空き3)
電源700W(80PLUS BRONZE)
サイズ190×490×410mm(幅×奥行き×高さ)
重量約10.6kg
価格229,800円

 プロセッサは第6世代Core「Skylake」のCore i7-6700K。4コア8スレッド、クロックは4GHzから最大4.2GHz。末尾がKタイプなのでオーバークロックに対応したSKUだ。第4世代Devil's CanyonのCore i7-4790KのBCLKが100/125/166ベースだったのに対して、1MHzごとの調整が可能となっている。キャッシュ8MBでTDPは91W。TDPが90Wを超えるPCを試用するのは久々だ。

 チップセットはSkylake用のIntel Z170。SkylakeのソケットはLGA1151でLGA1150と互換性はない(CPUクーラーは互換性あり)。Intel 100シリーズチップセットには、ほかにもH170/B150/H110が投入される予定だが、Z170は最上位で唯一オーバークロックに対応したものとなる。メモリはPC4-17000の8GB×4で計32GBを装着済だ。OSは先日リリースされたばかりの64bit版Windows 10 Home。

 ストレージは、PCI Express x4接続のM.2 SSD 512GB(Samsung SM951)と、7,200rpmの2TB HDD。光学ドライブはDVDスーパーマルチドライブを搭載している。

 ビデオカードはGeForce GTX 960(メモリ2GB)を搭載。デスクトップ用のGeForce 900系ではローエンドに相当し、Windows 10で採用されたDirectX 12にも対応している。外部出力は、DisplayPort×3、HDMI×1、DVI×1と豊富だ。

 インターフェイスは、Gigabit Ethernet、PS/2×1、USB 2.0(背面×2)、USB 3.0(背面×3、前面×2)、音声入出力、マルチカードリーダ、microSDカードリーダ。

 拡張スロットは、PCI Express x16×2(空き1)、同x1×4(空き4)。

 ストレージベイは、5インチベイ×4(空き3)、3.5インチシャドウ×2(空き2)、3.5インチマウンタ×4(空き3)。SSDがオンボードで載っていることもあり、HDDとDVDスーパーマルチドライブがあるだけなので、かなりの部分が空いている。

 電源は700W(80PLUS BRONZE)を内蔵。サイズは190×490×410mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約10.6kg。価格は229,800円だ。今時のPCとしてはそれなりの値段だが、内容が内容なので、特別高価というわけでもないだろう。

中央に2スロットを占有するGeForce GTX 960。下に電源。ドライブベイはほとんど空いている。前面はファンを搭載
あっさりしたタワー型のケースで、開閉可能なパネルはない
DVDスーパーマルチドライブ、ステータスLED、音声入出力、USB 3.0×2、マルチカードリーダ、microSDカードリーダ。上部側面右に電源ボタンがある
3.5インチシャドウ×2(空き2)、3.5インチマウンタ×4(空き3)。一番上に2TB HDD
プロセッサ右側にメモリスロットが4つ。プロセッサの下にPCI Express x4接続のSSD。拡張スロットはPCI Express x16×2(空き1)、同x1×4(空き4)。背面にもファンがある
側面カバーはネジ2本外せば開けることができる。拡張スロットはGeForce GTX 960以外の部分は空き
USB 3.0×2、PS/2、USB 3.0×2、Gigabit Ethernet、USB 2.0×2、音声入出力。キャップがあるDVIやDisplayPortは未使用
出力はDVI、DisplayPort×3、HDMI×1。1つファンがある
USBキーボード・マウス、DVI→HDMI、DVI→ミニD-Sub15ピン

 筐体は一般的なタワータイプ。シルバーのラインでベイの部分とインターフェイス関連の部分を仕切っている。少し高さがあるものの、机の上に置くことも可能なサイズだ。

 前面にはDVDスーパーマルチドライブ、ステータスLED、音声入出力、USB 3.0×2、マルチカードリーダ、microSDカードリーダ。上部側面右に電源ボタンがある。

 背面には、USB 3.0×2、PS/2、USB 3.0×2、Gigabit Ethernet、USB 2.0×2、音声入出力。キャップがあるDVIやDisplayPortは未使用となっている。拡張スロットは2スロットを占有する形でGeForce GTX 960の出力、DVI、DisplayPort×3、HDMI×1が並んでいる。

 ベイ関連は、5インチベイ×4(空き3)、3.5インチシャドウ×2(空き2)、3.5インチマウンタ×4(空き3)。3.5インチマウンタは、ネジ不要で横から引っ張り出すタイプのためメンテナンスしやすい。拡張スロットは、PCI Express x16×2(空き1)、同x1×4(空き4/実質3)。電源が700Wなので、その範囲内で考えるとほどほどの拡張性がある。

 作動音に関しては、前面と背面、プロセッサ、GPU、そして電源にファンがあるため、ベンチマークテストなど負荷をかけない状態でもそれなりの音がする。机の下なら気にならないレベルだろうか。

 発熱については、PCMark 8 バージョン2の詳細を見ると、プロセッサの温度は38~60℃程度、GPUも同程度と、性能の割に意外と低めに抑えられている。

 なお、UEFIの画面も掲載したので興味のある方は参考にして欲しい。基本的にSETTINGS/FEATURES/HARDWARE MONITORと3ブロックに分かれている。

SETTINGS/System Status
SETTINGS/Advanced
SETTINGS/Boot
SETTINGS/Securty
SETTINGS/Save & Exit
FEATURES
HARDWARE MONITOR

winsat formal全項目8.4以上の高性能

 OSは64bit版のWindows 10 Home。8.1 Updateから画面の構成が変わったので、現時点では、掲載する画面キャプチャは手探り状態の暫定版だ。

 起動時のデスクトップは、同社お馴染みの(デザインが少し変わっている)壁紙へ変更、CyberLink MediaSuiteとPhotoDirector、Windows 10ユーザーガイド(PDF)へのショートカットを配置。スタート画面に相当する部分は、Windows 10 Home標準のままとなっている。

 8.1 Updateであったアプリ画面はなくなりスタートメニューに統合されたため、一覧でインストールされたアプリを見ることができず順に追ったところ、プリインストール済みのソフトウェアは、UWP(Universal Windows Platform)アプリを含むWindowsストアアプリはなかった。

 ストレージは、C:ドライブにPCI Express x4接続のSSD 512GB(M.2 SSD Samsung SM951)。実質1パーティションで約476GBが割り当てられ空きは438GB。G:ドライブは、2TB/7,200rpm/64MBのSeagate「ST2000DM001」。約1,862GBが全て空きになっている。DVDスーパーマルチドライブは「HL-DT-ST DVDRAM GH24NSC0」。

 前面にある2種類のメディアリーダはUSB接続。Gigabit EthernetはRealtek製。NVIDIA コントロールパネルのDirectXランタイムバージョンが12.0となっているのが特徴的だ。

 使用感はとにかく何をしても快適。これだけの構成なので当たり前であるが、実際試用すると、筆者が常用しているPCが玩具のようだ。ここまでとは言わないものの、そろそろ本気でメインPCの入れ替えを行ないたいところ。

少しデザインが変わった壁紙。CyberLink MediaSuiteとPhotoDirector、Windows 10ユーザーガイド(PDF)へのショートカットを配置。スタート画面に相当する部分はWindows 10 Home標準
ストレージは、PCI Express x4接続のM.2 SSD 512GB(Samsung SM951)と、2TB/7,200rpm/64MBのSeagate「ST2000DM001」。DVDスーパーマルチドライブは「HL-DT-ST DVDRAM GH24NSC0」。前面にある2種類のメディアリーダはUSB接続。Gigabit EthernetはRealtek製
SSDのC:ドライブに約476GB、HDDのG:ドライブに約1,862GBが割り当てられている
NVIDIA コントロールパネルでのDirectXランタイムバージョンが12.0となっている
「RealTek HD オーディオマネージャ」の情報では、DirectX 12.0/HD Audio/ALC892となっている
「Intelラピッド・ストレージ・テクノロジー」。SSDはPCI Express x4接続なので、HDDとDVDスーパーマルチドライブの管理

 デスクトップアプリ(CWA/Classic Windows アプリ)は、マカフィー インターネットセキュリティ、CyberLink MediaSuite、CyberLink PhotoDirectorなど。どれもメジャーなので特に説明の必要はないだろう。

マカフィー インターネットセキュリティ
CyberLink MediaSuite
CyberLink PhotoDirector

 ベンチマークテストは、オーバークロックを行なわず工場出荷状態のままで測定。「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2、ビデオカード搭載機なので3DMarkの結果を見たい。CrystalMark(4コア8スレッドなので条件的には問題があり参考まで)と、CrystalDiskMarkの値も掲載した。

 winsat formalの結果は、総合 8.4。プロセッサ 8.5、メモリ 8.5、グラフィックス 8.4、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 9.05。Windows 10からゲーム用グラフィックスは測定しなくなっているが、全ての項目で8.4以上は(多分)連載上初だろう。

 PCMark 8 バージョン2 / Home(Accelerated)は4814。3DMarkはIce Storm 173896、Cloud Gate 24835、Fire Strike 6633。これらもほとんどお目にかかれない高スコア。特にFire Strike、最後のシーンでほぼコマ落ちせず(30fps前後)普通に観れたのは初めてだ。

 CrystalDiskMarkはSeq/Read 1608、Seq/Write 1566、512K/Read 952.0、512K/Write 1503、4K/Read 26.81、4K/Write 80.12、4K QD32/Read 279.0、4K QD32/Write 236.2(MB/sec)。CrystalMarkは、ALU 96809、FPU 90282、MEM 102497、HDD 65257、GDI 26127、D2D 23643、OGL 48735。爆速度はかなりのものと言えよう。

「winsat formal」のコマンド結果。総合 8.4。プロセッサ 8.5、メモリ 8.5、グラフィックス 8.4、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 9.05
「PCMark 8 バージョン2 / Home(Accelerated)」の結果は4814
「PCMark 8 バージョン2 / Home(詳細)」。クロックは0.8~4.2GHz。CPUの温度は38~60度程度、GPUの温度もほぼ同じ
「3DMark」では、Ice Storm 173896、Cloud Gate 24835、Fire Strike 6633
「CrystalDiskMark」の結果は、Seq/Read 1608、Seq/Write 1566、512K/Read 952.0、512K/Write 1503、4K/Read 26.81、4K/Write 80.12、4K QD32/Read 279.0、4K QD32/Write 236.2(MB/sec)
「CrystalMark」の結果は、ALU 96809、FPU 90282、MEM 102497、HDD 65257、GDI 26127、D2D 23643、OGL 48735

Windows 10とアプリの名称/互換性について

 連載上、Windows 10初搭載機ということもあり、Windows 10固有のアプリ関連の話を少ししたいと思う。

 既に上記しているが、従来のデスクトップアプリはCWA(Classic Windows アプリ)と呼ばれている。ストアアプリは、Windows 8.x系(便宜上、8.x系ストアアプリとする)と、Windows 10系=UWP(Universal Windows Platform)と2種類。どちらもストアに掲載されているのでややこしい。

 見分け方としては8.x系ストアアプリは”タイトルバーの左がメニューアイコン(3本バー)”でチャームにあった設定などが含まれている。また”全画面表示用に上下矢印のアイコン”もある。UWPはタイトルバーの左にメニューアイコンはなくアプリ名だ。

 もう1つ混乱するのがアプリの動作環境だろう。UWPアプリはWindows 10 (Desktop)、Mobile、IoTなど、全ての10で動作するアプリだ。ただし、Windows 7.x/8.xやWindows Phoneでは動作しない。対して8.x系ストアアプリは、8.xでも10(Desktop)でも動作するが、Windows Phoneでは動作しない。表にまとめると以下のようになる。

Windows 10各エディションと動作アプリの関係
Windows 10 DesktopWindows 10 MobileWindows 10 IoT
CWA××
8.x系ストアアプリ××
Windows Phone××
UWP
Windows各バージョンと動作アプリの関係
Windows 10Windows 8.xWindows Phone
CWA×
8.x系ストアアプリ×
Windows Phone××
UWP××

 Windows 10標準搭載のメールやカレンダーなどは既にUWP、また、Microsoft Word/Excel/PowerPoint Mobile、Windows 10リリース直後にUpdateされたTwitterアプリもUWPとなっている。なお、スタートメニューのWindowsアクセサリには、ペイントやメモ帳など従来のCWAも含まれている。

 このように10なら全エディションで動作する夢のようなUWPだが、問題は7.xや8.xでは動作しないこと。10のインストールベースがどれだけ急速に伸びるかが(鶏が先か卵が先か的な話ではあるが)UWP普及のキーとなるだろう。


 以上のように「MDV ADVANCE GZ/MDV-GZ7700X」は、Windows 10、SkylakeのCore i7、GeForce GTX 960、そしてPCI Express x4接続のSSD 512GB(M.2 SSD Samsung SM951)を搭載した最新鋭のデスクトップPCだ。

 価格は高めだが、ベンチマークテストの結果はご紹介したように爆速。いち早くそして自作ではなく手軽にこの環境を体験したいユーザーにお勧めしたい逸品だ。

(西川 和久http://www.iwh12.jp/blog/