西川和久の不定期コラム

NEC「LAVIE Tab E TE508/BAW」

~大手メーカー製で安価な8型Androidタブレット

LAVIE Tab E TE508/BAW

 NECは7月21日、エントリークラスのAndroidタブレットLAVIE Tab Eシリーズの8型と10.1型の2機種を発表、7月23日より販売を開始した。8型が編集部からの送られてきたので、試用レポートをお届けしたい。

手頃な価格の8型

 今回発表されたのは、8型の「LAVIE Tab E TE508/BAW」と、10.1型の「LAVIE Tab E TE510/BAL」の2機種。

 今回取り上げる8型は、前モデルに相当する「TE508/S1」から、SoCの変更(MT8121)とAndroid(4.2から後日4.4)のバージョンアップを施し、画面周りのフレームをより細くし、DOLBY ATMOSに対応させるなど、地味な改良ではあるが、2015年版らしい進化を遂げている。主な仕様は以下の通り。

【表】NEC「LAVIE Tab E TE508/BAW」の仕様
SoCMT8161 1.30GHz(クアッドコア)
メモリ1GB(LPDDR3)
ストレージ16GB
OSAndroid 5.0(Lollipop)
ディスプレイ8型IPS式1,280×800ドット、10点静電容量式タッチパネル
ネットワークIEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0
インターフェイスMicro USB、microSDカードスロット、音声入出力、前面200万画素/背面500万画素カメラ、内蔵ステレオスピーカー、内蔵モノラルマイク
サイズ/重量125×210×8.9mm(幅×奥行き×高さ)/約354g
バッテリ/駆動時間4,290mAhリチウムポリマーバッテリ/約8時間(Web閲覧時)、約7時間(ビデオ再生時)
カラーバリエーションホワイトのみ
価格22,800円(税別)

 SoCはMT8161。クアッドコアでクロックは1.30GHz。メモリは1GB/LPDDR3。前モデルとコア数クロック数は同じだが、LPDDR2からLPDDR3になっているので、メモリアクセスは改善されている。ストレージは16GB。AndroidのバージョンはAndroid 5.0(Lollipop)。エントリーモデルらしく、メモリもストレージも抑え気味の構成だ。

 ディスプレイは、8型IPS式1,280×800ドット、10点静電容量式タッチパネルを採用している。サイズ的にはフルHDが欲しいところであるが、コストとの兼ね合いなのだろう。外部出力用のHDMIなどは搭載していない。

 インターフェイスは、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0、Micro USB、microSDカードスロット、音声入出力、前面200万画素/背面500万画素カメラ、内蔵ステレオスピーカー、内蔵モノラルマイク。Micro USBは充電と併用だ。

 サイズは125×210×8.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量約354g。4,290mAhリチウムポリマーバッテリを内蔵し、バッテリ駆動時間は、Web閲覧時約8時間、ビデオ再生時約7時間。

 カラーバリエーションはホワイトのみで価格は22,800円(税別)。同クラスでもっと安価なタブレットもあるが、大手メーカー製と考えると結構手頃ではないだろうか。

前面。上に200万画素カメラ、上下のメッシュはスピーカー
左/上。上側面にMicro USBと音声入出力。左側面、カバーの下にmicroSDカードスロット(上の大きいスロットは塞がれている)
右/下。下側面は何もない。右側面に音量±ボタンと電源ボタン
背面。左上に500万画素カメラを備える
ACアダプタとケーブル。ACアダプタは45×40×25mm(同、突起物/ケーブル含まず)/重量47g。100~240V入力、5.2V/2A出力
重量は実測で352g

 筐体は品のいいホワイト。プラスティックが主になっているがチープな感じがまるでない。さすがにこの点はNECならではと言えるだろう。扉の写真からも分かるように、8型なので片手で持つには(個人差もあるだろうが)ギリギリのサイズだ。持った感じは軽過ぎず重過ぎず。

 前面には200万画素のカメラと上下(縦位置の場合)にスピーカーを配置。Android固有の[戻る]、[ホーム]キーはソフトウェア式になっている。背面は左上に500万画素のカメラがある。

 左側面にカバーがあり、その下にmicroSDカードスロット。一見2スロットに見えるが、上側のスロットは塞がっている。右側面は、音量±ボタンと電源ボタン。上側面にMicro USBと音声入出力。下側面には何もない。

 付属のUSB式ACアダプタは、サイズ45×40×25mm(同、突起物/ケーブル含まず)、重量47g。100~240V入力、5.2V/2A出力とよく見かけるタイプだ。

 8型IPS式の液晶ディスプレイは、発色/コントラスト/明るさ/視野角ともに申し分無し。かなりクオリティの高いパネルが使われている。もちろんタッチもスムーズだ。

 発熱や振動、ノイズに関しては全く気にならないレベルに収まっている。あえて挙げれば、連続して撮影すると、背面側が少し暖かくなる程度だろう。サウンドは、あと一歩パワーは欲しいものの、このクラスとしてはハイクオリティだ。総じて2万円強の価格を考えると、十分満足できる内容と言っていいだろう。

 初期設定は、素のAndroidとほぼ同じで、Google以外の独自アカウントなどへログインする必要はなく、非常に簡素化されている。また壁紙/ウィジェットなどのカスタマイズは、アプリ画面にはなく、ホーム画面の背景を長押しすることによって画面が切替わる仕様となっている。

ようこそ/日本語
WLANの選択
接続を確認中
アカウントの追加
名前
Googleサービス
セットアップ完了
壁紙/ウィジェット、設定のカスタマイズはバックグランド長押し

機能は豊富だが、写真の写りは一般的

 カメラアプリは、画面上部に、通常モード/ライブ/モーショントラック/美顔/パノラマ/マルチアングル表示モードを搭載。右にはピースサイン検出/笑顔検出/HDR/背面/前面切替えのアイコンがある。あまり見かけないモードもあり、機能は豊富だ。

 設定では、位置情報を記録する/露出/撮影モード/ホワイトバランスオート(オート、白熱灯、昼光、蛍光灯、曇り、たそがれ、日陰、暖色系蛍光灯)/画像プロパティ/フリッカー防止などを選択可能。設定:カメラの項目では、ゼロ・シャッター遅延/手ブレ補正/顔検出/自動シーン検出/セルフタイマー/連続撮影枚数/画像サイズ(1MP、2MP、5MP)/プレビューサイズ/ISO(自動、100、200、400、800、1600)/フェイスビューティが用意されている。設定:ビデオでは、ノイズリダクション/手振れ補正/マイク/音声モード/低速度撮影/動画の画質に対応している。

 撮影した写真のExifを見ると、絞りf/2.8、焦点距離4mm(35mm焦点距離は値がなく不明)となっていた。

 写りはiPhoneなどハイエンドスマートフォンほどではないが、500万画素機としては一般的な写りだ。ここには掲載していないが、テスト中に撮影した赤い花も鮮やかな色だった。ただ輪郭が少し溶け気味なのが気になるところだ。

 低照度は、手ブレ補正があるとは言え、f/2.8、最高ISO 1600、そしてホールドしにくい8型なので、あまり強い方ではなく、手元にハイエンドスマートフォンがあれば、そちらで撮影した方がいろいろな意味で無難だと思われる。

カメラ/メイン。上に撮影モード、右にピースサイン検出、笑顔検出、HDR、背面/前面切替え
作例/日向。ISO82、f/2.8、1/825、4mm
作例/低照度。ISO309、f/2.8、1/10秒、4mm
カメラ/設定(1/2)
カメラ/設定(2/3)
カメラ/設定(3/3)

シンプルな構成だが性能は今時としては控えめ

 初期起動直後のホーム画面は珍しく1画面。大手メーカー製としてはかなりあっさりした内容だ。

 Dock部分に、「メール」、「Chrome」、「Playストア」、「設定」、「マップ」、「カメラ。ホーム画面には」、「使い方ガイド」、「動画なびポータル」、「サポート情報」、「LAVIEアシスタント」、「My Time Line」、「LAVIEフォトモバイル」、「My History」、「らくらく無線設定」、「U-NEXT」、「電子書籍」、「ガイドブック」、「WPS Office」、「Yahoo!」、「McAfee」、「i-Filter」、「NAVTIME」、「Googleフォルダ」を配置。

 Googleフォルダには、「Chrome」、「Gmail」、「Google+」、「マップ」、「Playミュージック」、「Playムービー」、「Playブックス」、「Playニュース」、「Playゲーム」、「ドライブ」、「YouTube」、「フォト」、「ハングアウト」が並んでいる。

ホーム画面
ホーム画面/Googleフォルダ
ホーム画面/クイックアクセス
ホーム画面/通知エリア
ホーム画面/背景長押しでカスタマイズ

 アプリ画面は2画面とこちらも少ない。「ガイドブック」、「カメラ」、「カレンダー」、「ギャラリー」、「ドライブ」、「バックアップ」、「ハングアウト」、「ファイルマネージャ」、「フォト」、「マップ」、「メール」、「らくらく無線設定」、「音楽」、「音声検索」、「時計」、「設定」、「電子書籍」、「電卓」、「連絡先」、「Chrome」、「Dolby」、「FSKAREN」、「Gmail」、「Google」、「Google+」、「Google設定」、「LAVIEフォトモバイル」、「My Time Line」、「NAVITIME」、「Playゲーム」、「Playニュース」、「Playストア」、「Playブックス」、「Playミュージック」、「Playムービー」、「WPS Office」、「Yahoo!」、「YouTube」が並ぶ。

アプリ画面(1/2)
アプリ画面(2/2)

 この中で目新しい(触ったことがない)アプリ、WPS Officeを少し試したが、Office互換としてはそれなりに使えそうだった(データが仕事用で公開できないため、画面キャプチャは簡単なものになっている)。ただ既にMicrosoftからAndroid用のExcel/Word/PowerPointがリリースされているので、この手の互換アプリの用途は減少することが予想される。

WP Office/フォルダ
WP Office/テンプレート
WP Office/Microsoft Officeで作ったpptx

 DOLBY ATMOSは、国内メーカーのタブレットとしては初対応らしく、デモを再生すると、とても8型(長辺)の両端にスピーカーがあるとは思えない臨場感だ。パワーはあと一歩欲しいところだが、クオリティも抜群だ。これだけでも本機を選ぶ価値があると言える。

DOLBY ATMOS

 ウィジェットは7画面。「アナログ時計」、「おすすめのコンテンツを楽しむ」、「カレンダー」、「コンテンツ×3」、「デジタルクロック」、「ドライブ」、「ドライブのショートカット」、「ドライブのスキャン」、「ハングアウト」、「フォトギャラリー」、「ブックマーク×2」、「ミュージックプレイリスト×2」、「メール」、「メールフォルダ」、「音楽」、「経路を検索」、「再生・マイライブラリ」、「書籍」、「設定をショートカットとする」、「電源管理」、「連絡先」、「Gmail」、「Gmailのラベル」、「Google Now」、「Google Playスタンド」、「Google Playブックス」、「Google Playミュージック×2」、「Google+ユーザーの場所」、「Google+投稿」、「Googleアプリ」、「Playストア」、「WPS Offife」、「Yahoo! JAPAN」などが並んでいる。

ウィジェット画面(1/7)
ウィジェット画面(2/7)
ウィジェット画面(3/7)
ウィジェット画面(4/7)
ウィジェット画面(5/7)
ウィジェット画面(6/7)
ウィジェット画面(7/7)

 設定は、無線とネットワーク(WLAN/インさーネット構成/Bluetooth/データ使用量/その他)、端末(ディスプレイ/音声と通知/ストレージ/電池/アプリ/通知ログ)、ユーザー設定(位置情報/セキュリティ/アカウント/言語と入力/バックアップとリセット)、システム(日付と時刻/電源ON・OFFのスケジュール/ユーザー補助/印刷/タブレット情報)。特に拡張されている部分はない。

設定(1/2)
設定(2/2)

 ストレージは16GB中、空き10.34GB(ただし若干の画面キャプチャ保存)。Androidのバージョンは5.0.2であるが、後述するAnTuTu Benchmarkで64bit版と言うことが判明した。このクラスで64bitは珍しいのではないだろうか。

設定/ストレージ
設定/端末情報

 ベンチマークテストはGoogle Octane 2.0とAnTuTu Benchmarkを使用した。Google Octane 2.0は2786、AnTuTu Benchmarkは27605。今時としては結構低めだ。とは言え、一般的なアプリを使う分には、(Webのレンダリングが若干遅めであるが)特にストレスなく動作する。

 バッテリ駆動時間は、ローカルのフルHD動画を音量/明るさともに50%で連続再生したところ、約10.5時間でダウンした。十分な駆動時間と言えよう。

Google Octane 2.0結果は2786
AnTuTu Benchmark/テスト結果は27605
AnTuTu Benchmark/ランキング。今時としてはスコアは低い
AnTuTu Benchmark/デバイスインフォメーション。Androidのバージョンは5.0.2だが64bit版

 以上のようにNEC「LAVIE Tab E TE508/BAW」は、SoCにMT8161/1.30GHz(クアッドコア)、メモリ1GB、ストレージ16GB、1,280×800ドットの8型IPS式を搭載したAndroid 5.0タブレットだ。価格が2万円台前半と、大手メーカー製としてはリーズナブル。パネルやサウンドにはこだわりがあり、この点は同クラスと比較すると明らかにワンランク(以上)上だろう。

 エントリーモデルと言うこともあり、性能は期待できないものの、安心して利用できる大手メーカー製のAndroidタブレットを求めているユーザーにお勧めしたい逸品だ。

(西川 和久http://www.iwh12.jp/blog/