西川和久の不定期コラム

マウスコンピューター「m-Tab iCE1000WN-BG」

~BTキーボード付き10.1型Windows 2-in-1

 8月27日マウスコンピューターは、Bluetoothキーボード付属で59,800円(税別)10.1型Windows 2-in-1タブレットを発表、即日販売を開始した。編集部から実機が送られてきたので試用レポートをお届けしたい。

SoCはBay Trail-MのCeleron N2807を採用

 実機が届いたときの第一印象は「どこかで見たような……」。調べたところ、4月に掲載したiiyama PC「10P1000-C-VG」とキーボードも含めそっくり。スペック上はSoCがCeleron N2807かCeleron N2806かが唯一の違いだ。

 当時の記事は「Build 2014で、IoT用のWindowsと9型未満の画面を持つデバイスに関しては、OEMのライセンス料を0円にするという発表があった。(中略)今回ご紹介する「10P1000-C-VG」は、残念ながらこれには該当せず、パネルサイズは10.1型……」と書いていたが、結局Windows 8.1 with Bingという形で10型クラスにも0円モデルが適用されるにいたり、m-Tab iCE1000WN-BGはその恩恵にあずかっている。主な仕様は以下の通り。

マウスコンピューター「m-Tab iCE1000WN-BG」の仕様
プロセッサCeleron N2807(2コア2スレッド、クロック1.58GHz/バースト時2.16GHz、キャッシュ1MB、SDP 2.5W)
メモリ2GB(PC3-10600 DDR3L)
ストレージeMMC 64GB
OSWindows 8.1 with Bing(64bit)
グラフィックスプロセッサ内蔵Intel HD Graphics、Micro HDMI
ディスプレイ光沢タイプ10.1型(1,280×800ドット)、10点タッチ対応
ネットワークIEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0+LE
インターフェイスMicro USB2.0(充電用兼)、microSDカードリーダ、音声入出力、前面100万画素/背面500万画素カメラ
センサー環境光センサー、電子コンパス、加速度センサー、ジャイロスコープ
サイズ/重量約258×172.6×10.9mm(幅×奥行き×高さ)/約690g
バッテリ駆動時間約4.5時間
その他Bluetoothキーボード付属、Office Home and Business 2013搭載
価格59,800円(税別)

 SoCは先に書いた通りBay Tail-MのCeleron N2807。2コア2スレッドでクロックは1.58GHz。バースト時2.16GHzまで上昇する。キャッシュは1MB、SDPは2.5W。

 メモリは2GB、ストレージはeMMCで64GB搭載。OSは64bit版のWindows 8.1 with Bingだ。

 グラフィックスはSoC内蔵のIntel HD Graphics。外部出力用にMicro HDMIも装備。ディスプレイは、光沢タイプの10.1型、解像度は1,280×800ドットで、10点マルチタッチにも対応。

 インターフェイスは、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0+LE、Micro USB2.0(充電用兼)、microSDカードリーダ、音声入出力、前面100万画素/背面カメラ500万画素カメラ。センサーは環境光センサー、電子コンパス、加速度センサ、ジャイロスコープを内蔵している。

 サイズは約258×172.6×10.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量約690g。バッテリ駆動時間は約4.5時間とこの手の製品としてはやや短い。この点は後半のベンチマークテストで検証してみたい。

 このほかBluetoothキーボードが付属し、Office Home and Business 2013を搭載して、価格は59,800円(税別)だ。キーボード込みの10.1型Windowsタブレットがこの価格はなかなか魅力的だろう。

前面中央上に100万画素の前面カメラ、下にWindowsボタン
背面右下にmicro SDカードスロット、左下のスリットはスピーカー(モノラル)。上少し右寄りに500万画素背面カメラ
前面/左側面。音量±ボタン、音声入出力、Micro USB、Micro HDMI
背面と右側面には何もない。上側面に電源ボタンがある
Bluetoothキーボード。10キー無しのアイソレーションタイプ。キーピッチは実測で約18mm。重量414g。左下側面に充電用Micro USBと、電源/Bluetoothペアリングスイッチ
カバーをこのように折り畳むと本体を固定するスタンドになる
付属のACアダプタとUSBケーブル2本(本体とキーボード充電用)。ACアダプタのサイズは約43×43×26mm(プラグ含まず)、重量47g
本体の重量は実測で678g。仕様より若干軽い
Surface 2(10.6型)との比較。10.6型と比較して奥行きはほぼ同じで幅が随分違う。厚みはあまり変わらない

 筐体は厚みや重量も含め一般的な10.1型タブレットと言った感じで特に良くも悪くも無い。前面中央上部に100万画素の前面カメラ、下にWindowsボタン。左側面に音量±ボタン、音声入出力、Micro USB、Micro HDMIを装備。Micro USBは充電用を兼ねており、ホストモード変換ケーブルやUSB Hub接続すると充電できない。右と下側面には何もなく、上側面に電源ボタンを配置。

 背面は中央上やや右寄りに500万画素背面カメラ、右下にmicroSDカードスロット、左下のメッシュの部分にスピーカーがある。これからも分かるようにサウンドはモノラル。最近では7~8型のタブレットでもステレオになっているので惜しいところか。

 USB式のACアダプタはサイズ約43×43×26mm(プラグ含まず)、重量47g。PCなど一般的なUSBポートからでも充電可能なため、いざとなればどこでも充電可能だ。

 10.1型1,280×800ドットの液晶パネルは、発色/コントラストは良好だが最大輝度は若干暗いように思える。視野角はやや広め。少し角度があっても普通に見ることができる。画素密度が149.45ppiなので文字などはそれなりにジャギーが出る。

 ノイズや振動は皆無。発熱は長時間使っていると左側が若干暖かくなるものの、熱いというレベルではないので気にならないだろう。サウンドは先に書いた通り、スピーカーがモノラルと言うこともあり、とりあえず鳴るレベル。本格的に楽しむならBluetooth接続などの外部スピーカーが欲しいところだ。

 500万画素の背面カメラのサンプルを1枚掲載した。カメラアプリの機能としては、露出補正とタイマーのみとシンプルだが、ご覧のように意外とマクロに強い。ただしこれだけ明るくても、手ぶれ補正がなく、加えて筐体が大きいため、手ぶれしやすい。メインカメラとして使うのは難しいだろう。

天気の良い日、室内で撮影。結構マクロに強い。2,592×1,944ピクセル。露出補正無し。Exif情報が無いため詳細は不明

 付属のBluetoothキーボードは重量414g。本体の678gに対して比率的に重く、2つ合わせると1kgを超えてしまう。バッテリ内蔵型で、左側面にあるMicro USBポートから充電する。キーピッチは主要キーで約18mmだが、重い分しっかり作られており、たわむようなことはない。タッチパッドは、1枚板タイプで、感度も良く使いやすい。ペアリングしたところデバイス名は「KT-1332 Bluetooth Keyboard」となっていた。

 普段はキーボードカバー、折り畳むとスタンドになる仕掛けは面白いものの、角度が固定される上、本体のキーボード手前からスタンドの端までで約32cmと、奥行きが結構あり、例えば新幹線のテーブルなど奥行があまりないところだと(調べたところN700系は約24cm)使いにくいかも知れない。

ライトな用途ならパフォーマンス的に不満無し

 OSは64bit版のWindows 8.1 with Bing。少し前からBay Trail-Tに関しては64bit版でもInstantGoが使えるようになったが、Bay Trail-Mに関してはまだなのだろうか、InstantGoには非対応だ。

 スタート画面は2面。楽天gateway以降がプリインストールアプリとなる。Huluの下の橙色のボックスは、Office Home and Business 2013のセットアッププログラムだ。初期起動時のデスクトップは同社お馴染みの壁紙。左側に6つショートカットが並んでいる。タスクトレイに常駐しているのは、Control Center、VIA HD VDeck、Intel HD Graphics Control Panelといったツール系となる。

 ストレージはHynix HCG8e。実質1パーティションでC:ドライブに約42.93GB割り当てられ、空きは27.2GB。回復パーティションに14.65GBも割当てられているのは、容量が少ないだけに痛いところ。Wi-FiとBluetoothデバイスは、どちらもRealtek製が使われていた。

スタート画面1。Windows 8.1 with Bing標準
スタート画面2。楽天gateway以降がプリインストール
起動時のデスクトップ。同社お馴染みの壁紙にショートカットが6つ並んでいる
デバイスマネージャ/主要なデバイス。ストレージはHynix HCG8e。Wi-FiとBluetoothは、どちらもRealtek製
ストレージのパーティション。実質1パーティションでC:ドライブに約42.93GB割当てられている

 インストール済みのソフトウェアは、Windowsストアアプリは、「Fresh Paint」、「Hulu」、「LINE」、「NAVITIME」、「OneNote」、「R25 for Windows 8」、「Yahoo!天気・災害」、「じゃらん」、「ホットペッパーグルメ」、「ムビチケ」、「楽天gateway」。特徴的なアプリが無いため画面キャプチャは掲載していない。

 デスクトップアプリは、「楽しもうフォトウィザード」と、IntelやVIAのツール類となる。先に書いたように、Officeはインストールされておらず、セットアッププログラムを使ってユーザーがインストールする仕様だ。

アプリ画面1
アプリ画面2
アプリ画面3
Control Center
VIA HD VDeck
Intel HD Graphics Control Panel

 ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2、BBenchの結果を見たい。CrystalMarkのスコアも掲載した(2コア2スレッドで条件的には問題ない)。Celeron N2806を搭載したiiyama「10P1000-C-VG」のスコアを括弧内に並記している。

 winsat formalの結果は、総合 3.3(3.3)。プロセッサ 4.7(4.4)、メモリ 5.5(5.5)、グラフィックス 3.3(3.3)、ゲーム用グラフィックス 3.6(3.6)、プライマリハードディスク 6.9(6.6)。PCMark 8 バージョン2は1076(822)。CrystalMarkは、ALU 12586、FPU 12268、MEM 15528、HDD 21179、GDI 4905、D2D 1815、OGL 3299。参考までにGoogle Octance(デスクトップ版IE)は4231(3873)となった。

 Clelron N2807とN2806の違いは、winsatを見る限り、プロセッサのみ+0.3。ストレージを除き他は全く同じだ。PCMark 8 バージョン2とGoogle Octanceも若干上がっている。バースト周波数が2.16GHzか2GHzの違いがそのまま出ているようだ。

 実際の使用感は、IEなどのレンダリング速度は不満なく、Windowsストアアプリも表示が主なものに関してはストレスなく扱える。筆者が普段使っているSurface 2(Google Octance 3640)より若干速い感じだ。

 BBenchは省電力モード、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、WiFi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で19,560秒/5.4時間。スペック上の最大約4.5時間より約1時間長い結果となった。ただバックライト最少は暗いので、実際はもう少し短くなると思われる。いずれにしても1日使うのは厳しそうだ。

winsat formalコマンドの実行結果。総合 3.3。プロセッサ 4.7、メモリ 5.5、グラフィックス 3.3、ゲーム用グラフィックス 3.6、プライマリハードディスク 6.9
PCMark 8 バージョン2。1076
BBench。省電力モード、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果。バッテリの残5%で19,560秒/5.4時間
CrystalMark。ALU 12586、FPU 12268、MEM 15528、HDD 21179、GDI 4905、D2D 1815、OGL 3299

 以上のようにm-Tab iCE1000WN-BGは、10.1型1,280×800ドットのパネルを搭載したWindowsタブレットだ。SoCがBay Tail-MのCeleron N2807なのであまり性能は高くないものの、カジュアルな用途では問題無く、加えてSurface 2のWindows RTとは違いフルのWindowsが使える意味は大きい。

 バッテリ駆動時間がBBenchで5.4時間と短いのは気になるが、安価にOfficeが使える10型のタブレットを探しているユーザーの候補となりえる1台だ。

(西川 和久http://www.iwh12.jp/blog/