西川和久の不定期コラム
レノボ・ジャパン「ThinkCentre M83z All-In-One」
~2タイプのスタンドを選べる一体型PC
(2014/7/15 06:00)
レノボ・ジャパン株式会社は6月3日、法人向けモデルとして、2タイプのスタンドを選べる一体型PC「ThinkCentre M83z All-In-One」を発表した。編集部からフレームスタンドの方が送られてきたので、試用レポートをお届けしたい。
非光沢のパネルを採用し使いやすい一体型PC
今回ご紹介するPCは、本体自体は普通の21.5型の液晶パネルを搭載した一体型PCだ。特徴としては冒頭に書いたように、スタンドが2種類用意され、1つは、モニターのようにスタンドがあり、本体がある程度高くなる「モニタースタンド」タイプ(高さ調整あり)。もう1つは手元に届いた「フレームスタンド」タイプ。これは一体型PCによくあるパターンとなる。
ただし、どちらにするかは発注時での選択(モデルが違う)となり、ワンパッケージで両方利用できるわけではないので注意が必要だ。主な仕様は以下の通り。
【表】「ThinkCentre M83z All-In-One」(10C3001CJP)の仕様 | |
---|---|
プロセッサ | Core i7-4770S(4コア/8スレッド、 3.1GHz/Turbo Boost:3.9GHz、 キャッシュ8MB、TDP 65W) |
メモリ | 4GB(PC3-12800 DDR3/DDR3L SDRAM SODIMM) /2スロット(空き1)/最大16GB |
チップセット | Intel H81 Express |
ストレージ | 500GB SSHD(500GB HDD 5,400rpm+8GB SSD) |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ |
OS | Windows 7 Professional SP1(64bit) |
ディスプレイ | 21.5型液晶(非光沢)、 1,920×1,080ドット(フルHD)、タッチ非対応 |
グラフィックス | プロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4600、 ミニD-Sub15ピン |
ネットワーク | Gigabit Ethernet、 IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0 |
その他 | USB 3.0×2、USB 2.0×4、100万画素Webカメラ、 メディアカードリーダ、音声入出力、 ステレオスピーカー(2W+2W)、 シリアルポート×1、PS/2ポート×2 |
サイズ/重量 | 約540×94×396mm(幅×奥行×高さ)/7.5kg |
その他 | プリファードプロ・フルサイズキーボード(USB)、 光学ホイールマウス(USB) |
直販価格 | 135,000円(税別) |
試用機のプロセッサはCore i7-4770Sで製品ラインナップの中では最上位となる。4コア8スレッドでクロックは3.1GHz。Turbo Boost時には3.9GHzまで上昇する。キャッシュは8MB、TDPは64Wだ。
チップセットはIntel H81 Express。PC3-12800 DDR3/DDR3L SDRAM SODIMMのメモリを4GB×1搭載している。スロット自体は2つあり最大16GBまでの対応だ。OSは64bit版のWindows 7 Professional SP1。
ストレージは500GB/5,400rpmのHDDとSSD 8GBのハイブリッドSSHD。光学ドライブとしてDVDスーパーマルチ・ドライブを搭載している。
グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4600。外部出力用としてアナログ出力のミニD-Sub15ピンを装備。DVIやHDMI、DisplayPortなどデジタル出力がないのは残念なところ。液晶ディスプレイは、非光沢の21.5型。解像度はフルHDの1,920×1,080ドット。タッチには非対応だ。
ネットワークは、有線LANがGigabit Ethernet、無線LANがIEEE 802.11b/g/n。Bluetooth 4.0にも対応。そのほかのインターフェイスは、USB 3.0×2、USB 2.0×4、100万画素Webカメラ、メディアカードリーダ、音声入出力、ステレオスピーカー(2W+2W)、シリアルポート×1、PS/2ポート×2。シリアルポートやPS/2ポートがあるのはいかにも法人向けらしい(が、今どき必要なのだろうか)。USB接続のキーボードとマウスも付属する。
サイズは約540×94×396mm(幅×奥行×高さ)、重量7.5kg。またACアダプタ式ではなく、本体に電源を内蔵し直接ACを入力するタイプだ。バッテリは内蔵していない。
価格は135,000円(税別)。複数のモデルが存在し、Core i3-4130(3.4GHz/2core)搭載モデルだと107,000円(税別)~、Core i5-4570S(2.9/3.6GHz/4core)搭載モデルだと112,000円(税別)~となる。
また、Windows 7 Professional SP1は、Windows 8.1 Proのダウングレード権を使っているため、Windows 8.1 Pro Updateを搭載したモデルも用意されている。ただし液晶パネルの仕様上、タッチ操作はできない。
気になる「モニタースタンド」タイプと「フレームスタンド」タイプの価格差は、前者の方が4,000円アップする。例えば今回紹介したCore i7モデルだと139,000円(税別)だ。
またどちらもVESA規格(100mm対応)なので、これ以外のスタンドも付けることができる。オプションとして別途スタンドだけ購入可能かは不明。
筐体は同社のイメージそのもので、多くの部分がマットブラック、要所要所にアクセントとして赤が使われている。パネルのサイズが21.5型と、比較的コンパクトで、厚みが94mmと薄いため(スタンド部分含まず)設置場所も選ばない。ACアダプタ式でなく、電源を内蔵しているのもポイントが高い。
前面中央上にWebカメラ、下の丸いメッシュの部分にステレオスピーカーが埋め込まれている。左側面には、USB 3.0×1、音声入出力、USB 3.0×1、メディアカードリーダ。右側面にはDVDスーパーマルチドライブ、音量±ボタン、電源ボタン。背面の中央下側に電源コネクタ、PS/2ポート×2、シリアルポート×1、Ethernet、ミニD-Sub15ピン、USB 2.0×4を配置。
高速で大容量の外付けHDDを付ける場合はUSB 3.0を使うので、ケーブルの取り回しを考えると、できれば背面側にUSB 3.0のポートが欲しかったところか。付属のキーボードとマウスはしっかり作られており、十分実用的だ。
液晶パネルはIPSかどうか明記されていないので不明であるが、視野角も広く、明るさ/コントラスト共に良好。パネルの角度は、スタンドで調整可能になっており、45度近くまで(仕様に表記なし)倒すことが可能だ。
ただ今回試したフレームスタンドモデルは、基本的に目線が正面から下の角度となるため、机の高さ(と椅子の高さ)によっては見辛いケースも考えられる。法人用途の場合、価格差4,000円程度であれば「モニタースタンド」タイプの方が好まれるのではないだろうか。
振動や発熱、ノイズに関しては試用した範囲では全く問題ないレベルだった。サウンドは法人向けモデルの割にはしっかりした音でパワーも十分ある。写真からは分かり難いかも知れないが、左右のスピーカーがあまり離れてないため、ステレオ感がイマイチなのは残念なところ。
法人向けとしては十分な性能
OSは64bit版でWindows 8.1 Proのダウングレード権を使ったWindows 7 Professional SP1。ただし下位モデルのCore i3/i5搭載機は32bit版のWindows 7 Professional SP1となる(Windows 8.1 Proは全モデル64bit版)。
初期起動時のデスクトップは、同社昔ながらの壁紙に変更され、左側に若干のショートカット、そしてタスクバーに「Lenovo Solution Center」が配置されている独特のものだ。
ストレージは500GB SSHD(500GB HDD 5,400rpm+8GB SSD)の「ST500LM000」を搭載、C:ドライブのみの1パーティションで約451GBが割り当てられ空きは417GBとなっている。DVDスーパーマルチドライブは「PLDS DVD-RW DS8ABSH」。
Wi-Fi、Bluetooth、Gigabit EthernetはIntel製だ。前半にも書いたが、デバイスマネージャにCOM1(シリアルポート)があるのは久々だ。
インストール済みのソフトウェアは、「Lenovo Solution Center」、「Message Center Plus」、「Lenovo System Update」、「Lenovo User Guide」、「Power Manager」、「Lenovo AutoLock」、「ThinkVantage Communication Utility」、「Lenovo SHAREit」、「Norton Internet Security」、「PowerDVD Create」など。同社お馴染みのユーティリティが多く含まれている。
Lenovo Solution Centerは、筆者もThinkPadで愛用している代表的なツールだ。ただ、ご覧のように使われているフォントが半端なサイズで明朝体と非常に見にくい。できれば改善して欲しいポイントと言えよう。
Lenovo SHAREitはWi-Fi Directを使い、写真や動画など、いろいろなデータを簡単にシェアできるツールだ。Google Play/Android版とApp Store/iOS版も公開されているので、同社以外のデバイスでも利用可能だ(Android版、iOS版)。また、まだベータ版であるがWindows版も用意されている。
このほか、法人向けと言うことで、キーボードとマウス以外のUSB機器をブロックできるSmart USB Disable機能や、ペアリングしたデバイスが離れると、自動的にロックするLenovo Bluetooth Lock機能なども搭載している。ただ先のSHAREitとは相反するソリューションではないだろうか。
ベンチマークテストはWindows 7なので「Windows エクスペリエンス インデックス」と、PCMark 8 バージョン2の結果を見たい。またCrystalMarkのスコアも掲載した(今回は4コア8スレッドなので参考まで)。
Windows エクスペリエンス インデックスの結果は、総合 5.6。プロセッサ 7.7、メモリ 5.9、グラフィックス 5.6、ゲーム用グラフィックス 6.6、プライマリハードディスク 5.9。PCMark 8 バージョン2は2917。CrystalMarkは、ALU 83649、FPU 70939、MEM 71362、HDD 11966、GDI 19103、D2D 6283、OGL 16082。
4コア8スレッドのCore i7プロセッサだけあって、他の項目と比較して少し高めの値だ。業務用途であれば、下位モデルのCore i3/i5でも十分なパフォーマンスだと思われる。またストレージは数字には表れていないものの、SSHDと言うこともあり体感速度は明らかにHDDよりも速く感じる。
以上のようにLenovo「ThinkCentre M83z All-In-One」は、21.5型非光沢でフルHDの液晶パネルを採用した一体型PCだ。スタンドに「モニタースタンド」と「フレームスタンド」が用意され、購入時に選択でき、設置場所を選ばない。さらにプロセッサもCore i3/i5/i7と3種類。用途や予算に応じて選べるのも嬉しいポイントだ。
画面のデジタル出力が無いのが残念だが、特に欠点らしい欠点も見当たらず、一体型PCを探している企業にお勧めできる製品と言えよう。