西川和久の不定期コラム
パナソニック「Let'snote MX3」クラムシェルモデル
~2-in-1モデルをクラムシェル固定にして軽量化!
(2014/6/30 06:00)
パナソニックは6月19日、2-in-1として出荷済みの「Let'snote MX3(CF-MX3JDCTS)」をベースに、クラムシェルモード専用で軽量化したノートPC「Let'snote MX3(CF-MX3LJCTS)」を発表、7月15日から出荷開始する。編集部から実機が送られてきたので、試用レポートをお届けしたい。
2-in-1をクラムシェルモード専用とすることで軽量化
元々の2-in-1モデル(CF-MX3JDCTS)は約1.178kg。液晶ディスプレイが360度回転し、クラムシェルモードからタブレットモードへ変形できるタイプだ。タブレットモードがあるため、液晶パネルはタッチ対応。またLet'snote特徴である、3層サンドイッチ構造の天板、カーボン強化マグネシウム合金製の筐体などによって、軽くて薄い上に頑丈なボディを実現している。
今回発表されたクラムシェルモデル(CF-MX3LJCTS)は、ヒンジの交換やタッチ非対応などにより2-in-1モデルからタブレットモードをなくして、クラムシェルモード専用にすることで、軽量化を目指したモデルとなる。主な仕様は以下の通り。
パナソニック「Let'snote MX3(CF-MX3LJCTS)」の仕様 | |
---|---|
プロセッサ | Core i5-4310U(2コア/4スレッド、2GHz/Turbo Boost時3GHz、キャッシュ3MB、TDP 15W、vPro対応) |
メモリ | 4GB DDR3L SDRAM |
ストレージ | SSD 128GB |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ |
OS | Windows 8.1 Pro Update 1(64bit) |
ディスプレイ | 12.5型(非光沢)、1,920×1,080ドット、タッチ非対応 |
グラフィックス | プロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4400、ミニDsub-15ピン×1、HDMI出力×1 |
ネットワーク | Gigabit Ethernet、IEEE 802.11a/b/g/n/ac無線LAN、Bluetooth 4.0、WWAN(Xi/LTE対応) |
その他 | USB 3.0×2、SDカードリーダ、フルHD対応Webカメラ、音声入出力 |
バッテリ駆動時間 | 約10時間(JEITA測定法2.0)、約15時間(JEITA測定法1.0) |
サイズ/重量 | 301.4×210×21.5mm(幅×奥行き×高さ)/約1.09kg |
直販価格 | 193,700円(税別)から(Xi/LTE非対応モデル) |
プロセッサはCore i5-4310U。2コア4スレッドでクロックは2GHz。Turbo Boost時3GHzまで上昇する。キャッシュは3MB、TDPは15Wだ。vProにも対応。メモリはDDR3L SDRAMを4GB。ストレージはSSDを128GB、光学ドライブにDVDスーパーマルチドライブも搭載している。OSは64bit版のWindows 8.1 Pro。Update 1が適応済みだ。
ディスプレイは非光沢の12.5型で解像度は1,920×1,080ドット。先に書いた通り2-in-1モデルはタッチ対応だが、本機は非対応となる。グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4400。外部出力用としてミニDsub-15ピンとHDMIを装備し、マルチモニタ化やプロジェクタへの出力も容易だ。
ネットワークは有線LANがGigabit Ethernet、無線LANがIEEE 802.11a/b/g/n/ac。Bluetooth 4.0、WWAN(Xi/LTE)にも対応している。そのほかのインターフェイスは、USB 3.0×2、SDカードリーダ、フルHD対応Webカメラ、音声入出力。2つあるUSB 3.0の内1つは電源オフ時でもスマートフォンなどを充電できる。
サイズは301.4×210×21.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.09kg。同じくDVDスーパーマルチドライブを内蔵する2-in-1モデルは約1.205kgなので、ヒンジやタッチ非対応など、細かい部分の積み重ねによって、約110g軽くなっている。この約100gの違いは、少しでも軽いノートPCを欲しいユーザーにとって小さい数字ではないだろう。
着脱式のバッテリパックを裏に搭載し、駆動時間はJEITA測定法1.0で約15時間、JEITA測定法2.0で約10時間。この点については後半にBBenchで検証してみたい。
価格は、Xi/LTE非搭載モデルが直販で193,700円(税別)から。単純に搭載しているプロセッサや液晶、ストレージなどを考えると高価だが、Let'snoteの品質にはそれに見合う価値がある。
【お詫びと訂正】初出時、WWAN非搭載モデルの仕様を記載しておりましたが、試用機はWWAN搭載機となります。お詫びして訂正いたします。
第一印象は「とにかく軽い!」の一言。DVDスーパーマルチドライブ内蔵の2スピンドル(SSDなので厳密には違うが)としては驚異的な軽さだ。バリバリ仕事するなら3分の2~半分程度の重量でもキーボードがないタブレットを持つより、こちらの方がはるかに生産性は高いだろう。このインパクトは過去いろいろ触ったUltrabookよりも上だ。
トップカバーや筐体は、Let'snoteそのもの。カーボン強化マグネシウム合金製で美しく、かつ頑丈。正面側面にDVDスーパーマルチドライブ、各種インジケータ、SDカードスロット、電源スイッチ。この位置に光学ドライブがあるのは今では珍しくなってしまった。左側面はロックポートのみ。右側面は無線切り替えスイッチ、音声入出力、USB 3.0×2、HDMI、Gigabit Ethernet、ミニDsub-15ピン、電源入力と、ほぼ全てのインターフェイスが集中している。USB 3.0の手前側が電源オフ時の給電に対応する。裏面にはバッテリパックがある。
付属のACアダプタは、サイズが90×35×25mm、重量が177g。またコンセントへケーブルなしで接続できるアタッチメントが付属している。バッテリパックの重量は190g。これなら予備にもう1本持っても、それほど苦にならない。
ディスプレイは非光沢なので映り込みが少なく目に優しい。輝度・コントラストも十分。明記されていないのでIPSかどうかは不明であるが、視野角も広い。また12.5型でフルHDの解像度は、Windowsストアアプリでもデスクトップアプリでも、ほどよいサイズで表示されバランスが取れている。
同社によるとキーボードは「Let'snote SX3」と同等。2-in-1のLet'snote MX3よりも縦方向のピッチがやや広い16mmと言うことだ。横方向のキーピッチ19mm、キーストローク2mmのリーフ型キーボードを採用し、中央を強く押すと若干たわむものの、フィーリングは申し分ない。タッチパッドは面積も広く、2ボタンタイプを搭載。また中央に「HOLD」スイッチが付いている。ノイズや振動、発熱に関しては、試用した範囲だとまったく問題ないレベルだった。
このように、全体的にハイレベルで品質の高いノートPCだが、唯一残念なのは、キーボード左側のスリットにあるスピーカーだ。モノラルなので、音が左に偏る上にパワーが全くなく、最大出力でも(一般的なノートPCと比較すると)ほんのわずか鳴る程度。ビジネスモデルなので割り切った仕様なのだろうが、もう少し一般的なレベルにはして欲しい。
BBenchで13時間越えのバッテリ駆動
OSは64bit版のWindows 8.1 Pro。Update 1が適応済みで、メモリ4GBでもプラスSSDでサクサク動く。初期起動時のスタート画面は、Panasonicアプリ以降がプリインストール。「Camera for Panasonic PC」と「Intel Experience Center」はWindowsストアアプリ、「Dashboard for Panasonic PC」はデスクトップアプリだ。
デスクトップ左側には、同社のツール系といくつかのアプリケーションへのショートカット。タスクトレイに常駐しているソフトウェアは13個とやや多めだ。
SSDは128GBの「SAMSUNG MZNTE128HMGR」を搭載し、C:ドライブのみの1パーティションで約102.5GBが割り当てられ空きは79.3GBだった。使い方によっては少し不足する可能性がある空き容量といえるだろう。Wi-FiとBluetoothはIntel製だ。
ワイヤレスWAN拡張機能設定ユーティリティとワイヤレスWAN設定変更ユーティリティに関しては、Xi(LTE)対応ワイヤレスWAN内蔵モデルなのでプリインストールされている。いずれにしても電源関係とネットワーク関係が多いのが特徴だ。
デスクトップアプリは、「iBT Audio Monitor」、「VIP Access」、「ArcSoft for Panasonic」、「CyberLink PowerDVD 10 for Panasonic」の他社製ソフトウェアに加え、「Dashboard for Panasonic PC」、「HOLDモード設定ユーティリティ」、「Hotkey設定」、「PC情報ビューアー」、「PC情報ポップアップ」、「PC情報ポップアップの設定」、「USB充電設定ユーティリティ」」、「カメラユーティリティ」、「画面分割ユーティリティ」、「電源プラン拡張ユーティリティ」、「ネットセレクターLite」、「バッテリー残量表示」、「バッテリ残量表示補正ユーティリティ」、「ピークシフト制御ユーティリティ」、「プロジェクターヘルパー」、「マニュアル選択ユーティリティ」、「無線ツールボックス」、「リカバリーディスク作成ユーティリティ」、「ワイヤレスWAN拡張機能設定ユーティリティ」、「ワイヤレスWAN設定変更ユーティリティ」など、自社製のユーティリティが数多く含まれている。
ワイヤレスWAN拡張機能設定ユーティリティとワイヤレスWAN設定変更ユーティリティに関しては、Xi(LTE)対応ワイヤレスWAN内蔵モデル(CF-MX3LJCTS)があるために含まれているが、今回試用したモデルは非対応なので機能しない。いずれにしても電源関係とネットワーク関係が多いのが特徴だ。
ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2の結果を見たい。バッテリ駆動時間テストはBBench。またCrystalMarkの結果も掲載した(今回は2コア4スレッドと条件的には問題ない)。
winsat formalの結果は、総合 5.4。プロセッサ 7.3、メモリ 5.9、グラフィックス 5.6、ゲーム用グラフィックス 5.4、プライマリハードディスク 8.05。PCMark 8 バージョン2は2406。CrystalMarkは、ALU 43365、FPU 42943、MEM 45457、HDD 34978、GDI 16690、D2D n/a、OGL 10217。Intel HD Graphicsがネックになっているものの、プロセッサとストレージが速いため、快適に操作可能だ。
BBenchは、省電力、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オンN、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で49,138秒/13.6時間。JEITA測定法1.0による仕様上の約15時間とは計測方法が異なるものの、それでも13時間を超えた。ただ、テスト条件のバックライト最少では見辛いので、明るくした場合、実際はもう少し短くなる。
以上のようにパナソニック「Let'snote MX3(CF-MX3LJCTS)」は、2-in-1のLet'snote MX3をクラムシェルモード専用として軽量化した約1.09kgのノートPCだ。Core i5とSSDで一般的な用途であれば性能も十分。加えて筐体はLet'snoteクオリティ。少々高価だが、それに見合う内容となっている。
Let'snoteファンのみならず、軽量で頑丈、そして10時間を超えるような長時間のバッテリ駆動を実現しているノートPCを探しているユーザーにお勧めしたい逸品だ。