西川和久の不定期コラム
パナソニック「Let'snote MX4」
~Broadwell-Uを搭載した12.5型軽量級2-in-1
(2015/1/21 06:00)
パナソニックは1月15日、Broadwell-Uを搭載した12.5型軽量級2-in-1「Let'snote MX4」(CF-MX4)を発表した。編集部から前モデルとなるHaswell Refresh搭載の「Let'snote MX3」と共に試作機が送られてきたので、ベンチマークテストの比較を折り込みつつ、試用レポートをお届けしたい。
Broadwell-U/Intel Core i5-5200Uを搭載したCF-MX3の後継機
「Let'snote MX4」は、前モデルに相当する「Let'snote MX3」のスペックそのまま、プロセッサをCore i5-4210U(Haswell Refresh)からCore i5-5200U(Broadwell-U)へ置き換えた新モデルとなる。
このCore i5-5200U(Broadwell-U)は、14nmプロセスで製造され、つい先日(2015年1月5日)発表されたばかり。2コア4スレッドでクロックは2.2GHzから最大2.7GHz。キャッシュは3MBでTDPは15Wとなる。2014年9月のCore M/Broadwell-Y発表に続きBroadwellアーキテクチャとしては第2弾だ。違いはTDPが4.5Wか15/28Wからも分かるように、Broadwell-Uは、より一般的なノートPCや液晶一体型PCなどを想定したプロセッサという位置付けだ。試用した「CF-MX4HDFJR」の主な仕様は以下の通り。
パナソニック「Let'snote MX4」の仕様 | |
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プロセッサ | Core i5-5200U(2コア/4スレッド、クロック 2.2GHz/2.7GHz、キャッシュ3MB、TDP 15W) |
メモリ | 8GB |
ストレージ | 128GB(SSD) |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ |
OS | Windows 8.1(64bit) |
ディスプレイ | IPS式12.5型(非光沢)、フルHD/1,920×1,080ドット、10点タッチ対応 |
グラフィックス | プロセッサ内蔵Intel HD Graphics 5500、ミニD-Sub15ピン×1、HDMI出力×1 |
ネットワーク | Gigabit Ethernet、IEEE 802.11a/b/g/n/ac無線LAN、Bluetooth 4.0 |
その他 | USB 3.0×2、SDカードリーダ、フルHD対応Webカメラ、音声入出力 |
センサー | 照度センサー、地磁気センサー、ジャイロセンサー、加速度センサー |
バッテリ駆動時間 | 最大約11時間(JEITA測定法2.0) |
サイズ/重量 | 301.4×210×20/21.5mm(幅×奥行き×高さ、ノートPC利用時/タブレット時)/約1.198kg |
店頭予想価格 | 225,000万円前後(税別) |
メモリは8GB、ストレージはSSDで128GB。また、薄型の筐体にDVDスーパーマルチドライブまで搭載している。OSは64bit版Windows 8.1 Update。
グラフィックスは、プロセッサ内蔵Intel HD Graphics 5500。Broadwell-U固有の統合型GPUで、クロック300~900MHz、ユニット数24。ほかのSKUも含めると、Iris 6100/HD 6000/HD 5500と3つタイプがあり、6千番台はユニット数が倍の48となる。
ディスプレイはIPS式12.5型のフルHD/1,920×1,080ドット。10点タッチ対応だ。外部出力用として、ミニD-Sub15ピン×1、HDMI出力×1を装備している。
ネットワークは、Gigabit Ethernet、IEEE 802.11a/b/g/n/ac無線LAN。Bluetooth 4.0にも対応している。そのほかのインターフェイスは、USB 3.0×2、SDカードリーダ、フルHD対応Webカメラ、音声入出力。USB 3.0の片方は電源オフ時の給電にも対応する。さらに、センサーとして、照度センサー、地磁気センサー、ジャイロセンサー、加速度センサーも搭載している。
サイズは301.4×210×21.5mm(幅×奥行き×高さ、最大/タブレット時)、重量約1.198kg。12.5型としては軽量で、Let'snoteの魅力でもある。
バッテリ駆動時間は最大11時間。また同機の特徴としてCF-MX3同様、脱着式のバッテリと内蔵で固定式のバッテリ2つを持っており、前者はホットスワップに対応していること。電源を落とさずバッテリの交換が可能だ。
税別店頭予想価格は225,000円前後。競合機種と比較して驚くほど高いものの、そこはいつもの通りLet'snoteクオリティとのトレードオフなのだろう。
筐体は言うまでもなくLet'snoteそのもの。これだけで妙な安心感がある。また12.5型でそれなりのサイズにも関わらず片手で楽々持ち上がる。さすがに約1.2kgは大きさの割に軽い。パネルが360度回転しタブレットーモードにもなるが、一般的なタブレットより少し厚みがあるのは仕方ないところか。
前面液晶パネル中央上にWebカメラとWindowsボタン。正面側面にDVDスーパーマルチドライブ、バッテリインジケータ1と2、HDD/SDカード LED、音量±ボタン、回転ロックボタン、SDカードスロット、電源スイッチと、多くのノートPCより前面/側面に配置されているインターフェイス類が多い。バッテリインジケータが2つあるのも、先に述べたように本機の特徴だ。また各LEDが明るく状態が非常に分かりやすい。
左側面はロックポートとペン収納スペース。右側面は電源入力、ミニD-Sub15ピン、Gigabit Ethernet、HDMI出力、USB 3.0×2、音声入出力、無線オン/オフスイッチ。ほとんどのコネクタが右側面側に集中している。
下は着脱式のバッテリ収納スペースのみ。メモリやストレージにアクセスできる小さいパネルはない。またバッテリの重量は191gと軽め。付属のACアダプタはサイズ90×35×25mm(同、突起物含まず)、重量177g。
液晶パネルは非光沢でIPS式の12.5型。解像度がフルHDと言うこともあり、それなりに高精細だ。非光沢なので派手さはないものの、明るさ、コントラスト、発色、視野角は良好で申し分ない。タッチの反応も良好だ。
キーボードは、Let'snote固有のリーフ型キーボード。キーピッチは実測で約19mm。スペック上はキーピッチ19mm(横)/15.2mm(縦)でストローク2mm。右側にピッチや面積の狭いキーがいくつかあり、個人的には少し使いにくいと感じる部分もある。とは言え、これは慣れの問題だろう。タッチパッドは円形ではなくスクエアと一般的で2ボタン式だ。またHOLDボタンも装備している。
発熱や振動、ノイズなどは試用した範囲では特に感じなかった。サウンドは、キーボードの左にモノラルスピーカーがあるのみ。出力も弱くオマケ程度のものだ。ビジネス用途と割り切ってこの仕様になっていると想像するが、もう少し何とかして欲しいとも思う。
CF-MX3とは同じTDPで性能が若干アップ
OSは64bit版のWindows 8.1 Update。ただし試作機なのでソフトウェアの構成などは、出荷版とは違う可能性があることをご了承いただきたい。
初期起動時、スタート画面は1面で後半のPanasonicアプリ以降がプリインストールとなる。アプリ画面は3面。デスクトップは壁紙の変更といくつかのショートカットを配置している。タスクトレイに常駐するソフトウェアが若干多めだろうか。powercfg/aで確認したところ、InstantGoには非対応だった。
SSDは128GBのSamsung「MZNTE128HMGR」。これはCF-MX3と同じだ。C:ドライブのみの1パーティションで約102.5GBが割り当てられ、空きは78GB。回復パーティションは15.63GBだった。Wi-FiやGigabit EthernetはIntel製が使われている。また、センサー類もあるのが分かる。
インストール済のソフトウェアは、Windowsストアアプリは、「NAVTIME」、「Bing翻訳」など少なめだ。本機の場合、基本的にビジネス用途なので、現状でWindowsストアアプリが少ないのは妥当と言える。
デスクトップアプリは、「iBT Audio Monitor」、「VIP Access」、「WinZipのセットアップ」、「CyberLink Power2Go for Panasonic」、「Cyberlink PowerDVD for Panasonic」。
同社製ツールとして、「Camera for Panasonic PC」、「Dashboard for Panasonic PC」、「HOLDモード設定ユーティリティ」、「Hotkey設定」、「NumLockお知らせの設定」、「PC情報ビューアー」、「PC情報ポップアップ」、「PC情報ポップアップの設定」、「USB充電設定ユーティリティ」、「カメラユーティリティ」、「画面回転ツール」、「画面共有アシストユーティリティ」、「セキュリティ設定ユーティリティ」、「タッチ操作ヘルプユーティリティ」、「タッチパッド誤操作防止ユーティリティ」、「タッチパネルモード設定ユーティリティ」、「手描きツール2」、「電源プラン拡張ユーティリティ」、「ネットセレクターLite」、「バッテリー残量表示」、「バッテリー残量表示補正ユーティリティ」、「ピークシフト制御ユーティリティ」、「プロジェクターヘルパー」、「マニュアル選択ユーティリティ」、「無線診断ユーティリティ」、「無線ツールボックス」、「リカバリーディスク作成ユーティリティ」など、ユーティリティと名の付くアプリがテンコ盛りだ。個人的には少々多過ぎるようにも思う。
なお、2014年11月に「Let'snote RZ4」で掲載した「Dashboard for Panasonic PC」、「PC情報ビューアー」、「カメラユーティリティ」、「USB充電設定ユーティリティ」、「電源プラン拡張ユーティリティ」、「ピークシフト制御ユーティリティ」は同じだったので、下記に掲載する画面キャプチャは違うユーティリティのものを選んでいる。
ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、「PCMark 8 バージョン2」の結果を見たい。バッテリ駆動時間テストはBBench。またCrystalMarkの結果も掲載した(今回は2コア4スレッドと条件的には問題ない)。カッコ内はCF-MX3(Core i5-4210U搭載)の値だ。
winsat formalの結果は、総合 5.8(5.4)。プロセッサ 7.3(7.2)、メモリ 7.5(7.5)、グラフィックス 5.9(5.9)、ゲーム用グラフィックス 5.8(5.4)、プライマリハードディスク 7.9。PCMark 8 バージョン2は2377(2327)。CrystalMarkは、ALU 41185(39242)、FPU 40026(37578)、MEM 43877(44723)、HDD 34489(33270)、GDI 15884(15257)、D2D n/a(n/a)、OGL 11422(11708)。
若干上下があるものの、プロセッサの基本性能とグラフィックスが若干性能アップといったところか。ただこの程度の差は体感では分からない範囲だ。
BBenchは、省電力、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残4%で38,984秒/10.8時間(41,066秒/11.4時間)。
バッテリ駆動時間は逆にCF-MX3/Core i5-4210Uの方が僅差であるものの、少し長いと言う結果になった。この程度の差は常駐しているソフトウェアなどにもよるし、試作機なのでチューニングしきれていない可能性もある。仮にバッテリ駆動時間が同程度だとすると、先の結果からTDPあたりの性能はCF-MX4/Core i5-5200Uの方が若干高いと言うことになる。
以上のようにパナソニック「Let'snote MX4」は、Broadwell-Uを搭載した12.5型軽量級2-in-1だ。性能やバッテリ駆動時間も十分。パネルや筐体、そしてキーボードの品質は申し分なく、正に国産の凄味を感じる製品に仕上がっている。
個人的には内蔵スピーカーがオマケ程度の品質である点と価格が気になる部分であるものの、Let'snoteファンには文句なしのモバイルノートと言えよう。