西川和久の不定期コラム

マウスコンピューター「MDV-GX9200X2-SH」

~Ivy Bridge-E搭載のモンスターデスクトップPC

 マウスコンピューターは9月11日、Ivy Bridge-Eコアプロセッサを搭載したデスクトップPC、「MDV-GX9200」シリーズを5モデル発表した。今回はその中から最上位に当たる「MDV-GX9200X2-SH」が編集部から送られて来たので、試用レポートをお届けする。

Ivy Bridge-EコアプロセッサのCore i7-4960Xを搭載

 今回発表された「MDV-GX9200」シリーズは、構成によって「MDV-GX9200E」、「MDV-GX9200B」、「MDV-GX9200S-SH」、「MDV-GX9200X-SH」、「MDV-GX9200X2-SH」と、5モデルに分かれている。

 「MDV-GX9200E」と「MDV-GX9200B」、「MDV-GX9200S-SH」は、Core i7-4820K(4コア/3.70GHz/Turbo Boost:3.90GHz)でGeForce GTX 650/GTX 760/GTX 770。「MDV-GX9200X-SH」はCore i7-4930K(6コア/3.40GHz/Turbo Boost:3.90GHz)でGeForce GTX 780。「MDV-GX9200X2-SH」はCore i7-4960X Extreme Edition(6コア/3.60GHz/Turbo Boost:4.00GHz)でGeForce GTX 780となる。

 また搭載メモリ容量、ストレージがHDDのみかSSD+HDD(-SHタイプ)か、光学ドライブがDVDスーパーマルチドライブかBDドライブかも異なり、カスタマイズも可能なので、予算や好みに応じてシステムを組み上げることが可能だ。

 今回編集部から届いたのは最上位モデルに相当する「MDV-GX9200X2-SH」。主な仕様は以下の通り。

【表】マウス「MDV-GX9200X2-SH」の仕様
CPUCore i7-4960X(6コア/12スレッド、
クロック3.6GHz/Turbo Boost 4.0GHz、
キャッシュ 15MB、TDP 130W)
チップセットIntel X79 Express
メモリ8GB×4(32GB)/PC3-14900 DDR3、
8スロット(空4)
SSD180GB(Intel 530シリーズ)
HDD3TB(7,200rpm)
光学ドライブBDドライブ
OSWindows 8 Pro(64bit)
グラフィックスGeForce GTX 780(3GB)/DVI-D×2、
DisplayPort×1
ネットワークGigabit Ethernet
その他USB 3.0×4(前面×2、背面×2)、USB 2.0×8(前面×0、背面×8)、PS/2×1、
eSATA×2、音声入出力、
マルチカードリーダ×2(内1つはmicroSD用)、
デジタル出力(同軸/光)
拡張スロットPCI Express x16×4(x16動作:2、x8動作:2)、
同x1×2、PCI×1
ストレージベイ着脱可能内蔵3.5インチベイ×4(空2)、
3.5インチベイ×2(空2)、5インチベイ×3(空2)
サイズ/重量190×490×410mm(幅×奥行き×高さ)/約11.8kg
価格339,990円

 プロセッサはCore i7-4960X。6コア/12スレッドでクロックは3.6GHz。Turbo Boost時に4.0GHzまで上昇する。キャッシュは15MB、TDPは130W。4000番台であるがHaswellではなく、Ivy BridgeベースのIvy Bridge-Eで、1世代古いアーキテクチャだ。前世代プロセッサのCore i7-3970Xは2012年11月発表だったので、世代交代するのに結構な時間がかかったことになる。

 チップセットはIntel X79 Express。メモリはDDR3-1866(PC3-14900)になり、クアッドチャネルで8GB×4の計32GB。8スロットあり空き4で8GB×8の最大64GBまで対応している。OSは64bit版のWindows 8 Pro。また、64bit版のWindows 7 Professonalも同価格で選択可能だ。

 ストレージは、プライマリドライブにIntel 530シリーズの180GB SSD、セカンダリドライブにHDD 3TB(7,200rpm)、光学ドライブにBDドライブを搭載している。

 グラフィックスは、KeplerアーキテクチャのハイエンドGPU、GeForce GTX 780(3GB)を搭載。出力として、DVI-D×2、DisplayPort×1を備える。

 そのほかのインターフェイスは、Gigabit Ethernet、USB 3.0×4(前面×2、背面×2)、USB 2.0×8(背面)、PS/2×1、eSATA×2、音声入出力、マルチカードリーダ、デジタル出力(同軸/光)。マザーボードに「GIGABYTE GA-X79-UP4」が使われている。

 拡張スロットはPCI Express x16×4、同x1×2、PCI×1。x16に関しては、内2レーンがx8動作となる。

 ストレージベイは着脱可能な内蔵3.5インチベイ×4(空2)、3.5インチベイ×2(空2)、5インチベイ×3(空2)。電源ユニットは80PLUS GOLD認証を取得した容量700Wのものだ。

 サイズは190×490×410mm(幅×奥行き×高さ)、重量約11.8kg。価格は今回の構成で339,990円。内容を考えると当然だが、今時のPCとしては結構な値段となる。

 なおカスタマイズでは、CPUファンやCPUグリスのタイプ、SSDとして240GB(Intel 530シリーズ)、256GB(TOSHIBA SSD HG5dシリーズ)、RAID 0/360GB(180GB×2、Intel 530シリーズ)、480GB(Intel 520シリーズ)、RAID 0/480GB(240GB×2、Intel 520シリーズ)、512GB(TOSHIBA SSD HG5d シリーズ)。HDD1として4TB、HDD2として500MBから4TBなどの選択が可能だ。

左側面。側面に空調用のメッシュがある。右側面には何もない
表面はマット調のブラック。扉式のパネルはなく、コネクタ類がそのまま表に出ている
上に光学ドライブ、中央に音声入出力、USB 3.0×2、マルチカードリーダ×2を装備
背面。上からPS/2、USB 2.0×2、デジタル出力(同軸/光)、eSATA×2、USB 2.0×4、USB 3.0×2、USB 2.0×2、Gigabit Ethernet、音声入出力を搭載
内部。マザーボードはGIGABYTE「GA-X79-UP4」が使われている。SSDとHDDは簡単に着脱できるマウンターに付けられている
CPU周辺。プロセッサに大きいヒートシンクが付けられている。メモリスロットは左右に4本の計8本ある
GeForce GTX 780。2スロットを占有し、DVI-D×2、DisplayPort×1。またDVI-DからミニD-Sub15ピンとHDMIへ変換するコネクタが付属する
電源ユニットは80PLUS GOLD認証を取得した容量700Wタイプを搭載
付属品。USBインターフェイスのマウスとキーボード(キーボードは保護シートが付いたまま撮影)

 筐体は一般的なデスクトップサイズで、フロントはマットな手触りのブラック、周囲が光沢ありのブラック、側面は非光沢のブラックと落ち着いた感じだ。各コネクタはパネルに隠れているタイプではなく、音声入出力、USB 3.0×2、マルチカードリーダがそのまま表に出ている。

 リアには、PS/2、USB 2.0×2、デジタル出力(同軸/光)、eSATA×2、USB 2.0×4、USB 3.0×2、USB 2.0×2、Gigabit Ethernet、音声入出力。これだけあれば通常困ることは無いだろう。また写真からは分かりにくいが、フロントとリアにファンを1つずつ搭載。

 ビデオカードは2スロットを占有し、出力はDVI-D×2、DisplayPort×1。DVI-DからミニD-Sub15ピンとHDMIへの変換コネクタも付属する。

 SSDとHDDは、簡単に着脱可能なマウンタに付けられており、まだ空きもあるので増設は容易だ。拡張スロットはPCI Expressx16が空き3、同x1とPCIはそれぞれ空き1となる。

 電源ユニットは80PLUS GOLD認証を取得した容量700Wタイプを搭載している。ストレージの増設程度であれば余裕で対応可能だと思われる。

 全体的に綺麗にまとめられ好印象だが、ファンの音だけは少々うるさい。かなりのハイパワーマシンなだけに、こればかりはトレードオフとなる。

Windows エクスペリエンス インデックスが全て8.1以上!

 OSは仕様とは異なり64bit版のWindows 8だった。メモリを32GBも搭載しているので作動には余裕がある。デスクトップの壁紙は同社お馴染みのものに変更され、少々のショートカットが左側に並んでいる。

 スタート画面は、「楽天gateway」以降がプリインストールアプリ。お馴染みのWindowsストアアプリが並ぶ。

 ストレージはSSDがIntel 530シリーズの180GB。HDDは仕様上は3TBだが、今回送られて来たものは、2TB/7,200rpm/キャッシュ64MBの「ST2000DM001」が使われていた。

 SSDのパーティションは実質C:ドライブのみの1パーティション。約152GBが割り当てられ空き100GB。光学ドライブは「HL-DT-ST BD-RE BH16NS48」。Gigabit EthernetはIntel製だ。マルチカードリーダはUSB接続となっている。

スタート画面1。「楽天gateway」以降がプリインストールアプリ
スタート画面2。お馴染みのWindowsストアアプリが並ぶ
起動時のデスクトップ。壁紙は同社お馴染みのものに変更され、少々のショートカットが左側に並ぶ
デバイスマネージャ/主要なデバイス。ストレージはSSDがIntel 530シリーズの180GB。HDDは2TB/7,200rpm/キャッシュ64MBの「ST2000DM001」。光学ドライブは「HL-DT-ST BD-RE BH16NS48」。Gigabit EthernetはIntel製
HDDのパーティションは実質C:ドライブのみの1パーティション。約152GBが割り当てられている

 プリインストール済みのソフトウェアは、Windowsストアアプリが、「Fresh Paint」、「Hulu」、「NAVITIME」、「Skype」、「SUUMO」、「ヤフオク」、「クックパッド」、「じゃらん」、「ホットペッパーグルメ」、「ポンパレ」、「ムビチケ」、「楽天gateway」……など、お馴染みのパターンだ。特に本機に特化したものはない。

アプリ画面1
アプリ画面2
ホットペッパーグルメ
ポンパレ
クックパッド

 デスクトップアプリは、「CyberLink Media Suite」、IntelやNVIDIAのツール系、そして「マカフィーインターネットセキュリティ」と、素のWindows 8に近い状態だ。なお、BTOではMicrosoft Officeなどを選ぶこともできる。

GeForce Experience
Intelラピッド・ストレージ・テクノロジー
CyberLink Media Suite

 ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックス、PCMark 7の結果を見たい。CrystalMarkの結果も掲載した(今回は6コア12スレッドと条件的に問題があるので参考まで)。

 Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 8.1。プロセッサ 8.5、メモリ 8.5、グラフィックス 8.2、ゲーム用グラフィックス 8.2、プライマリハードディスク 8.1。PCMark 7は5556 PCMarks。CrystalMarkは、ALU 86649、FPU 78855、MEM 122802、HDD 42928、GDI 19909、D2D 19672、OGL 42506。

 Windows エクスペリエンス インデックスは8.1以上と速い上にバランスも良い。PCMark 7の5556 PCMarksもなかなかのハイスコアだ。さすがにハイエンドユニットを組み合わせた実力はかなりのものと言える。

Windowsエクスペリエンス インデックス(Windows 8から最大9.9へ変更)は総合 8.1。プロセッサ 8.5、メモリ 8.5、グラフィックス 8.2、ゲーム用グラフィックス 8.2、プライマリハードディスク 8.1
PCMark 7は5556 PCMarks
CrystalMarkはALU 86649、FPU 78855、MEM 122802、HDD 42928、GDI 19909、D2D 19672、OGL 42506

 以上のようにマウス「MDV-GX9200X2-SH」は、Ivy Bridge-EアーキテクチャのCore i7-4960X、クアッドチャネルのメモリ32GB/PC3-14900 DDR3、SSD、NVIDIA GeForce GTX 780(3GB)などハイエンドユニットを組合わせ、Windows エクスペリエンス インデックスすべて8.1以上と言うモンスターマシンだ。何をするにしても速度に不満はないだろう。

 さすがにこれだけハイエンド構成だとファンの音が若干うるさいが、静音性よりも処理性能を求めているユーザーにお勧めしたい1台と言えよう。

(西川 和久http://www.iwh12.jp/blog/