西川和久の不定期コラム

マウスコンピューター「WN891」

〜3万円でOffice付きの8.9型2-in-1

 マウスコンピューターは6月11日、8.9型の液晶パネルを搭載した2-in-1を発表、販売を開始した。カバー兼用のキーボード、そしてOffice Home and Business 2013が付属しながら、3万円を切るのはコストパフォーマンスが高い。編集部から実機が送られてきたので、試用レポートをお届けしたい。

製品写真

8.9型着脱式キーボード付き2-in-1

 冒頭の製品写真、「どこかで見たことがあるような……。」と、思われた方は正解。2014年9月に、同社の10.1型2-in-1「m-Tab iCE1000WN-BG」をご紹介しているが、カバー部分を折り畳んで本体のスタンドにする、カバー兼キーボードの構造が同じなのだ。

 今回ご紹介するマウスコンピューター「WN891」は、ザックリ説明すると、この10.1型のパネルを8.9型にして、カバー兼キーボードの部分を合わせてリサイズ、プロセッサをCeleron N2807からAtom Z3735Fへ変更した2-in-1となる。主な仕様は以下の通り。

マウスコンピューター「WN891」の仕様
SoC Intel Atom Z3735F(4コア4スレッド、1.33GHz/1.83GHz、キャッシュ 2MB、SDP 2.2W)
メモリ 2GB(PC3-10600 DDR3L)
ストレージ eMMC 32GB
OS Windows 8.1 with Bing(32bit)
グラフィックス プロセッサ内蔵Intel HD Graphics、Micro HDMI
ディスプレイ 8.9型1,280×800ドット(光沢あり)、10点タッチ対応
ネットワーク IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0+LE
インターフェイス USB 2.0、Micro USB、マルチカードリーダ、ヘッドフォン端子、192万画素前面/背面カメラ、モノラルマイク、モノラルスピーカー
サイズ/重量(本体) 231×152×10.9mm(幅×奥行き×高さ)/約481g
サイズ/重量(キーボード込み) 231×152×21.0mm(同)/約776g
バッテリ駆動時間 約6時間
その他 着脱式カバー兼キーボード、Office Home and Business 2013
価格 29,800円(送料込み)

 SoCは、タブレットでお馴染みIntel Atom Z3735F。4コア4スレッドでクロックは1.33GHzから最大1.83GHz。キャッシュは2MBでSDPは2.2W。メモリはPC3-10600 DDR3Lの2GB。ストレージはeMMC 32GB。OSは32bit版のWindows 8.1 with Bingを搭載。このクラスとしては定番中の定番の構成だ。

 ディスプレイは光沢ありの8.9型1,280×800ドットで10点タッチ対応。これまで扱った小型タブレットは8型ばかりで、また最近少し話題になっている1万円で購入できるタブレットは7型と、サイズが大きい方へ振れる8.9型は珍しい。

 たった0.9型の違いであるが、例えば多くの10型は10.1型である中、Surface 2は10.6型となっており、この0.5型の違いでも差は結構大きく、個人的にはSurface 2の10.6型が断然見やすい。従って今回の8.9型も持ちやすさという面ではマイナスだが、見やすさという面ではプラスとなる。グラフィックスはSoC内蔵のHD Graphics。外部出力用としてMicro HDMIを装備している。

 インターフェイスは、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0+LE、USB 2.0、Micro USB、マルチカードリーダ、ヘッドフォン端子、192万画素前面/背面カメラ、モノラルマイク、モノラルスピーカー。主に充電用のMicro USBのほかに、USB 2.0が1つあるのはポイントが高い。付属のカバー兼キーボードは、別途専用のコネクタが使われる。

 本体のみのサイズは231×152×10.9mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約481g。カバー兼キーボード込みだと高さが21.0mmで、重量は約776gとなる。合体時でも1kgを軽く切っているので、持ち運びは容易だ。

 価格はOffice Home and Business 2013込みで29,800円(送料込み)。コストパフォーマンスは抜群に高いと言えよう。

前面。画面中央上に192万画素前面カメラ。下にWindowsボタンはない。液晶保護シートが貼付済み
背面。左上に192万画素背面カメラ。各コネクタやポート名がある
左側面/下側面(本体)。左側面にキーボードコネクタ。下側面にマイク
右側面/上側面(本体)。右側面に電源ボタンと音量±ボタン。上側面にモノラルスピーカー、USB 2.0、Micro USB、Micro HDMI、ヘッドフォン端子、Windowsボタン
カバー兼キーボード。日本語64キーのアイソレーションタイプだ。タッチパッドは1枚プレート
カバーはこのように折り畳み本体を固定するが、構造上角度は変更できない
磁石を使った着脱式で物理的なキーボードコネクタがある
キーピッチは実測で約18mm。「む」キーのみ狭くなっているが、ほぼ均一のキーピッチで扱いやすい
付属のACアダプタなど。アダプタは約70×40×30mm(突起部含まず)/94gで5V/2,000mA出力。Micro USBケーブル、Micro USB/USB変換ケーブル
キーボードは実測で298g
本体は実測で483g
キーボード装着時は実測で781g

 筐体の質感などは良くも悪くも普通の8型級タブレット。特別高級感もないがチープ感もない。ただ、0.9型の差によるサイズの違いは大きく、筆者が片手で持つにはギリギリ(短時間でも厳しい)。後半のベンチマークテストをご覧いただければ分かると思うが、作動速度は同スペックの他機種と変わらないので、片手で持てるかどうかが、評価基準の最大のポイントとなるだろう。

 縦にした場合、前面は画面中央上に192万画素前面カメラ。下にWindowsボタンはない。背面は左上に192万画素背面カメラ。左側面にキーボードコネクタ、右側面に電源ボタンと音量±ボタン。上側面にモノラルスピーカー、USB 2.0、Micro USB、Micro HDMI、ヘッドフォン端子、Windowsボタン。下側面にマイクを配置。ほとんどのコネクタ類が縦置きで上側面(横置きで左側面)に集中している。

 付属のUSB式ACアダプタは、サイズ約70×40×30mm(同、突起部含まず)、重量94g。出力は5V/2,000mA。プラグの部分は折り畳めない。

 8.9型の液晶パネルは、光沢があるので映り込みはあるものの、明るさやコントラスト、発色は十分。IPS式ではないので視野角は若干狭いが、クオリティの高いものが使われている。また輝度を最小にしても暗めの室内であれば問題なく操作できるレベルだ。予め液晶保護フィルムが貼られているのも有難い。10点タッチもスムーズに反応する。

 付属のカバー兼キーボードは、カバーの部分はグレーのマット調。キーボードの部分はブラック。磁石はキーボードコネクタ部分と、スタンドになる折り畳む部分、キーボード手前の折り畳みむ部分の3カ所に使われ、組立てや着脱は容易だ。

 キーボードはアイソレーションタイプの64キー日本語キーボードだ。キーピッチは多くの部分で約18mm。少し狭いが、作りはしっかりしているので入力自体はしやすい。

 ただ、「む」の位置とピッチ、[DEL]、[ESC]キーが[Fn]キーとのコンビネーションになるため、ここだけは使いにくい。しかし、これによってほとんどのキーのピッチが同じになるメリットもあり、痛し痒しといったところか。タッチパッドは物理的なボタンがない、1枚プレートタイプとなる。

 振動やノイズは0スピンドルなのでもちろんない。発熱は後半のPCMark 8 バージョン2のHome/詳細を参考にして欲しいが、最大の70℃程度でもカバーは少し暖かい感じだ。この状態が長時間続かなければ気にならないレベルだろう。

 サウンドはモノラルスピーカーだが、このクラスとしては出力が高めだ。ただし、側面に付いている関係で音が左横に(もしくは縦位置で上に)抜けてしまう。手のひらで壁を作ったり、何かに反射させるとパワー感が増す。

 単体での使用は(どちらかといえば)片手ではなく両手で軽く持ち、入力が主になる時はカバー兼キーボードを装着、本格的に使う時はMicro HDMIでディスプレイへ接続し、Bluetooth HIDデバイスと併用……といった感じで、さまざまなシーンで活用できる。

 個人的にはスティックタイプPCとの価格差が1万円強程しかないことを考えると、バッテリ駆動でディスプレイがある分、こちらの方が利便性が高いのではと思っている。

Atom Z3735Fとしては平均的なパフォーマンス

 OSは32bit版のWindows 8.1 with Bing。初期起動時のスタート画面は2画面。最後のMicrosoft Officeのみがプリインストールだ。デスクトップは同社お馴染みの壁紙に替り、左サイドにAdobe Readerと簡易マニュアルのショートカットが置かれている。powercfg/aで調べたところInstantGo対応だった。

 ストレージはeMMC 32GBの「Samsung MBG4GC」。Cドライブのみの1パーティションで、約23.65GBが割り当てられ、空きは19.9GB。アプリだけであればそれなりに入るが、データはmicroSDカードへ逃がした方が無難だろう。Wi-FiとBluetoothはRealtek製だ。そのほかの部分も同クラスと似た構成になっている。

スタート画面1。Windows 8.1 with Bing標準
スタート画面2。最後のMicrosoft Officeのみプリインストール
起動時のデスクトップ。壁紙の変更とAdobe Readerと簡易マニュアルのショートカット
デバイスマネージャ/主要なデバイス。eMMCは32GBの「Samsung MBG4GC」でWi-FiとBluetoothはRealtek製
ストレージのパーティション。Cドライブのみの1パーティションで約23.65GBが割当てらてれいる
アプリ画面1
アプリ画面2

 インストール済みのソフトウェアは、Windowsストアアプリはなく、デスクトップアプリのOffice Home and Business 2013のみ。ストレージの容量が32GBと少ないためか、最小限に抑えている。

 ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2、BBenchの結果を見たい。CrystalMarkのスコアも掲載した(4コア4スレッドで条件的には問題ない)。

 winsat formalの結果は、総合 3.9。プロセッサ 5.9、メモリ 5.5、グラフィックス 4.1、ゲーム用グラフィックス 3.9、プライマリハードディスク 7.1。PCMark 8 バージョン2のHomeは1103。CrystalMarkは、ALU 19013、FPU 17498、MEM 18874、HDD 20665、GDI 4233、D2D 2917、OGL 2482。参考までにGoogle Octane 2.0は3,473だった。Atom Z3735F搭載機としては平均的な速度だろう。

 BBenchは、キーボードカバーを付けた状態で、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果は、バッテリの残2%で34,852秒/9.7時間。残5%では34,432秒/9.6時間だ。

 たまたま終了する直前のBBenchの推移を見ていたのだが、7%からの粘りが印象的で、10%までのカーブで落ちず、ほぼ水平(もちろん少し落ちている)を保ち続けていた。またバックライト最小でも、暗い場所なら十分見える明るさなので、室内であれば9時間程度は使えそうだ。

winsat formalコマンドの実行結果。スコアは総合 3.9。プロセッサ 5.9、メモリ 5.5、グラフィックス 4.1、ゲーム用グラフィックス 3.9、プライマリハードディスク 7.1
PCMark 8 バージョン2のHome。スコアは1103
PCMark 8の詳細結果。クロックはテストする内容に応じて最大の1.83GHzまで上がっているのが分かる。プロセッサの温度は、60℃から最大70℃程度
BBench。ドッキングした状態で、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果。バッテリの残2%で34,852秒/9.7時間
CrystalMark。ALU 19013、FPU 17498、MEM 18874、HDD 20665、GDI 4233、D2D 2917、OGL 2482

 以上のようにマウスコンピューター「WN891」は、少し大きめの8.9型の液晶パネルと、カバー兼のキーボード、そしてOffice Home and Business 2013を搭載した2-in-1だ。平均的な7〜8型と比較して少しの差であるが、大きい分、思った以上に単体でもキーボードありでも使いやすくなっている。また価格も3万円を切っており、コストパフォーマンスは抜群だ。

 片手で持てるかは個人差があり微妙であるが、仕様の範囲内では特に欠点らしい欠点もなく、このクラスのタブレットや2-in-1を探しているユーザーにお勧めしたい逸品と言えよう。

(西川 和久 http://www.iwh12.jp/blog/