西川和久の不定期コラム

エプソンダイレクト「Endeavor Pro8100」

~連載史上最強8コア/16スレッド+Quadro K2000D/2GBデスクトップPC!

エプソンダイレクト「Endeavor Pro8100」

 エプソンダイレクトは11月18日、フラッグシップモデルの「Endeavor Pro8100」を発表した。Haswell-Eを搭載し、8コア/16スレッド、最大64GBのメモリを搭載可能なモンスターマシンだ。一足早く編集部から試作機が送れらてきたので、試用レポートをお届けしたい。連載史上最強のプロセッサに興味津々だ。

Haswell-E Core i7搭載で8コア/16スレッド

 今回発表された「Endeavor Pro8100」は、ケースに47Lタイプを使用している「Endeavor Pro8000」の後継機となる。最大の特徴はHaswell-EのCore i7+Intel X99になったことだ。

 BTOでさまざまなパーツを選択可能となっており、プロセッサに関しては、Core i7-5960X(3.0GHz/Turbo Boost時3.5GHz、8コア/16スレッド)、Core i7-5930K(3.5GHz/同3.7GHz、6コア/12スレッド)、Core i7-5820K(3.3GHz/同3.6GHz、6コア/12スレッド)の3種類。

 メモリはPC4-2133で4GB(4GB×1)、8GB(4GB×2)、16GB(8GB×2)、32GB(8GB×4)、64GB(8GB×8)。64GBまで搭載可能なのが凄まじい。

 ビデオカードは、Radeon R7 240(2GB)、GeForce GTX 750(1GB)/GTX 760(2GB)/GTX 770(4GB)、Quadro K600(1GB)/K2000D(2GB)/K4000(3GB)。Radeon、GeForce、Quadro系と3種類用意されている。

 ストレージはM2 SSD 128/256/512GB、HDD前面アクセスベイに500GB/1TB/2TB(7,200rpm)/4TB(5,400rpm)を最大4基。Intelスマートレスポンス・テクノロジーに対応したHDD 1TB+SSD 64GBや、Intelラピッド・ストレージ・テクノロジーを使ったRAIDO 0/1/10の構成も可能だ。

 どのパーツや構成を見ても強力なものばかり。手元に届いたマシンの仕様は以下の通り。

エプソンダイレクト「Endeavor Pro8100」の仕様
CPUCore i7-5960X(8コア16スレッド、3.0GHz、Turbo Boost:3.5GHz、キャッシュ20MB、TDP 140W)
チップセットIntel X99
メモリ8GB×4/DDR4-2133(最大64GB/8スロット空き4)
ストレージSSD 256GB(M.2)、HDD 1TB(1TB×2/RAID 1)
光学ドライブBDドライブ
OSWindows 8.1(64bit)
ビデオカードQuadro K2000D(2GB)、Mini DisplayProt、DVI×2
ネットワークGigabit Ethernet
その他USB 3.0×10(前面×2、背面×8)、USB 2.0×3(前面×1、背面×2)、PS/2、マルチカードリーダ、音声入出力(+S/PDIF)
拡張スロットPCI Express x16×2(1つ空き)、同x8×2(全て空き)、同x1×2(全て空き)
ストレージベイ5インチオープンベイ×3(空2)、3.5インチオープン×1(空0)、HDD前面アクセス×1(×4/空2)
電源650W電源
サイズ/重量217×500×471mm(幅×奥行き×高さ)/約17.5kg
価格464,940円(税込)

 プロセッサは8コア16スレッドでクロックは3.0GHzから最大3.5GHz、キャッシュ20MB、TDP 140WのCore i7-5960X。Haswell-Eアーキテクチャとなる。この連載で8コア16スレッドは初登場だ。チップセットはIntel X99。BIOSでオーバークロックの設定は可能だが、動作保証外となっている。

 メモリはDDR4-2133で8GB×4の計32GB。この状態で空きスロットが4つあり、8GB×4を加えることによって最大64GBにすることができる。4チャネルに対応し最大メモリ帯域幅は68GB/sec。一般的なDDR3-1600/2チャネルでは25.6GB/secなので、ここだけでも約2.7倍の差がある。

 ストレージは、M.2 SSD 256GBと、7,200rpmの1TB HDDを2基使いRAID 1(ミラー)構成としている。光学ドライブはBDドライブを搭載。

 ビデオカードはKeplerアーキテクチャでワークステーション用のQuadro K2000D(2GB)。ミドルレンジに相当し、30bitカラー、10/12bitグレースケール、Mini DisplayProtとDVI×2の3画面同時出力、DisplayPort 1.2によるデイジーチェーンで1ポートから最大4画面出力に対応している。

 そのほかのインターフェイスは、Gigabit Ethernet、USB 3.0×10(前面×2、背面×8)、USB 2.0×3(前面×1、背面×2)、PS/2、マルチカードリーダ、音声入出力(+S/PDF)。前モデルからの変更点はUSB 2.0とPS/2の数が減り、USB 3.0が大幅に増えているところ。

 拡張スロットは、PCI Express x16×2(1つ空き)、同x8×2(全て空き)、同x1×2(全て空き)。ただしプロセッサがCore i7-5820K搭載時は、PCI Express x16×1、同x8×2、同x4×1、同x1×2と、PCI Express x16が1つ減り、同x4が1つ増える。

 ストレージベイは、5インチオープンベイ×3(空2)、3.5インチオープン×1(空0)、HDD(3.5インチシャドウ)前面アクセスベイ×1(×4/空2)。

 電源は650W。BTOで1,000Wも選択可能だ。サイズは217×500×471mm(幅×奥行き×高さ)、重量約17.5kg。価格はこの構成で464,940円(税込)と超ヘビー級だが、最新鋭で高速なパーツばかりなので納得できる。

 参考までに650W電源を搭載した基本構成、Core i7-5820K、Radeon R7 240、4GB、500GB(HDD)、DVD-ROM(再生ソフト付)、キーボードとマウスの構成では、214,920円(税込)となる。

左側面。メッシュの部分は空調用。ファンやCPUへのダクトなどは付いていない
前面。上から、BDドライブ、電源スイッチ、音声入出力、USB 2.0、USB 3.0×2、Pro8100と書かれたパネルの下(裏)にマルチカードリーダ、HDD前面アクセスベイ
HDD前面アクセスベイ。Endeavorと書かれているパネルの下(裏)にレバーがあり、それを引くと簡単に開く
内部。主にアクセスする部分はネジ止めがなく、扱いやすいケースだ。Quadroは同種のGeForceほど大きくなく、内部は意外とスッキリしている
内部のCPU周辺。さすがにTDP 140Wとなると巨大なCPUクーラーが付いている。前後にメモリスロットが4組ずつで計8スロット。PCI Expressの間にM.2 SSDがある
背面。拡張スロットはQuadroだけでほかは空いている。パネルは右中央のブルーのレバーを下げると外れる
背面のインターフェイス部を拡大したもの。主電源スイッチ、USB 2.0×2、PS/2、USB 3.0×8、Gigabit Ethernet、音声入出力(S/PDIFあり)
Quadro K2000D。Mini DisplayProt、DVI×2。小型のファンが付いている
付属品。USB接続のマウスとキーボード、鍵、DVI→ミニD-Sub15ピン変換アダプタ

 以前からEndeavor Proシリーズのケースは扱いやすかったが、今回もHDD前面アクセスベイやツールフリー構造となっており、内部のいろいろな部分をドライバーいらずでメンテナンス可能だ。

 前面は、BDドライブ、電源スイッチ、音声入出力、USB 2.0、USB 3.0×2。“Pro8100”と書かれたパネルの下(裏)にマルチカードリーダ。HDDを4つを内蔵できるHDD前面アクセスベイは、Endeavorと書かれているパネルの下(裏)にレバーがあり、それを引くと簡単に開く。

 背面は、主電源スイッチ、USB 2.0×2、PS/2、USB 3.0×8、Gigabit Ethernet、音声入出力(S/PDIFあり)。拡張スロットの部分にQuadro K2000DのMini DisplayProt、DVI×2がある。

 先に書いた通りUSBのポートは多過ぎると感じるほど充実している。PCI Express、内部ベイ、HDD前面アクセスベイなどにまだ空きがあり、拡張性に関しては十分余裕がある。電源も650Wなので大丈夫だ。

 ファンは、背面、電源、CPU、GPUの計4つ。パーツ構成から想像して“うるさいだろう”と覚悟していたところ、意外とノイズは少なく、小さく低い音で聞こえる程度だった。これなら机の上(ディスプレイの横)に設置しても、余程静かな場所でない限り、気にならないレベルだと思われる。(時期もあるだろうが)試用した範囲では、さほどケースも暖かくならなかった。ただ、低周波の振動は若干ある。

驚愕のベンチマークテスト結果

 OSは64bit版のWindows 8.1 Update。初期起動時のスタート画面は、「楽天gateway」以降がプリインストール。デスクトップはお馴染みの壁紙や、「PCお役立ちナビ」など、同社製アプリへのショートカットが若干並んでいる。16スレッドということで、リソースモニターを表示してみたが、CPU 0~CPU 15まで並んでいる画面は圧巻だ。

 ストレージは、M.2 SSDが256GBの「LITEON IT L8T-256L9G」。仕様上は、シーケンシャルリード/ライトが520MB/sec、440MB/sec。4Kランダムリードライトが85K/75K IOPSだ。C:ドライブのみの1パーティションで約217.8GBが割り当てられ、空き170GB。D:ドライブはIntelラピッド・ストレージ・テクノロジーを使ったRAID 1(ミラー)になっており、ドライブ自体は7,200rpmで1TBの「Seagate ST1000DM003」2基を搭載している。

 BDドライブは「PIONEER BD-RW BDR-209M」、Gigabit EthernetはIntel製、サウンドはRealtek製だ。Wi-FiやBluetoothには対応していない。

スタート画面。楽天gateway以降がプリインストール
起動時のデスクトップ。同社製アプリへのショートカットが若干並んでいる。リソースモニターの16個のCPUが圧巻
デバイスマネージャ/主要なデバイス。M.2 SSDは256GBの「LITEON IT L8T-256L9G」。BDドライブは「PIONEER BD-RW BDR-209M」、Gigabit EthernetはIntel製、サウンドはRealtek製
SSDのパーティション。C:ドライブのみの1パーティションで約217.8GBが割り当てられている
Intelラピッド・ストレージ・テクノロジー。7,200rpmで1TBの「SEAGATE ST1000DM003」を2基使ったRAID 1(ミラー)
NVIDIAコントロールパネル。グラフィックスのクロック954MHz、CUDAコア384、GDDR5 2,048MBなのが分かる

 プリインストールソフトウェアは、Windowsストアアプリは、「楽天gateway」、「NAVITIME」、「Yahoo!天気・災害」、「Bing翻訳」などオマケ程度。本機の特性を考えれば特に問題ないだろう。

アプリ画面1
アプリ画面2

 デスクトップアプリは、「CyberLink PowerDVD 10」、「Nero(Nero ControlCenter/Nero Express/Nero Kwik Media)」、「3D Visionフォトビューアー」、「3D Vision プレビューパック 1」、「PCお役立ちナビ」、「おすすめアプリケーションのインストール」、「Hotkey Setup」、IntelとNVIDIAのツールなど、必要最小限といったところ。

PCお役立ちナビ
おすすめアプリケーションのインストール
Hotkey Setup

 ベンチマークテストは「winsat formal」コマンド、「PCMark 8 v2」、「3DMark」、「CrystalMark」(8コア16スレッドなので条件的には問題があり参考まで)、C:ドライブとD:ドライブの「CrystalDiskMark」の値を掲載する。

 「winsat formal」の結果は、総合 7.3。プロセッサ 8.8、メモリ 8.8、グラフィックス 7.3、ゲーム用グラフィックス 7.3、プライマリハードディスク 8.2。

 「PCMark 8 v2」は3797。「3DMark」はIce Storm 101456、Cloud Gate 13763、Fire Strike 1891。CrystalMarkは、ALU 84528、FPU 75106、MEM 158667、HDD 40961、GDI 20271、D2D 13006、OGL 128097。そのほかは画像を参照して欲しい。

 winsat formalはグラフィックス以外が“8”以上というさすがのスコア。また、CrystalMarkのMEMが15万8千強と異様に高い。これはDDR4-2133で4チャネルの効果だろう。グラフィックスに関しては、Keplerアーキテクチャでミドルレンジとはいえ、GeForceとは特性が異なり、ゲーム系はそれほどスコアは高くない。ただし、OGL(OpenGL)は12万超えと非常に高くなっている。

winsat formalコマンドの結果
PCMark 8 v2の結果
3DMarkの結果
CrystalDiskMark(C:ドライブ/M.2 SSD)の結果
CrystalDiskMark(D:ドライブ/RAID 1 HDD)の結果
CrystalMarkの結果

 以上のようにエプソンダイレクト「Endeavor Pro8100」は、Haswell-EのCore i7を搭載したミドルタワーデスクトップPCだ。BTOでさまざまな構成が選択でき、用途や予算に応じて組み上げられるのは魅力的だ。HDD前面アクセスやツールフリー構造のケースの扱いやすく、拡張性も十分。内容の割にノイズや発熱も少ない。

 特に欠点らしい欠点はなく、価格に糸目を付けず最強の1台を求めているユーザーにお勧めしたい製品と言えよう。

(西川 和久http://www.iwh12.jp/blog/