■西川和久の不定期コラム■
エプソンダイレクトは13日、新たなモバイルノートPCとして「Endeavor NA601E」を発表。同日より受注を開始した。編集部から実機が送られてきたので、試用レポートをお届けする。
11月6日に個人/SOHO向けのSシリーズ「Endeavor NY2300S」が発表された。同製品は、14型の2スピンドルで重量約2kgと、モバイルノートPCとしては若干重く、他のモデルは15.6型のノートPC。従ってこれまで同社のラインナップとしては一般的なモバイルノートPCというカテゴリがなかった。
対して「Endeavor NA601E」は、筐体の作りこそ2スピンドルのノートPCだが、光学ドライブを非搭載にすることもでき、この時の重量が約1.65kgとそこそこ軽量な構成が可能となる。
またこの光学ドライブ用のベイは、セカンドバッテリも搭載できる仕掛けになっている。今回手元に届いたマシンの仕様は以下の通り。
CPU | Intel Core i5-3317U(2コア/4スレッド、1.7GHz/2.6GHz、キャッシュ3MB、TDP 17W) |
チップセット | Intel HM77 Express |
メモリ | 4GB |
SSD | 128GB |
光学ドライブ | スリムDVDスーパーマルチドライブ |
OS | Windows 8(64bit) |
ディスプレイ | 14型液晶ディスプレイ(非光沢)、1,366×768ドット |
グラフィックス | CPU内蔵Intel HD Graphics 4000、HDMI出力、ミニD-Sub15ピン |
ネットワーク | Gigabit Ethernet、IEEE 802.11a/b/g/n |
その他 | USB 3.0×1、USB 2.0×2、SDカードスロット、音声入出力 |
サイズ/重量 | 339×243×22mm(幅×奥行き×高さ)/約1.76kg(基本構成時) |
バッテリ駆動時間 | 最大約7時間(セカンドバッテリ使用時最大約11.6時間) |
価格 | 77,700円 |
プロセッサはCore i5-3317U。2コア4スレッドでクロック1.7GHz。Turbo Boost時に2.6GHzまで上昇する。チップセットはIntel HM77 Express。メモリは2GB×2の計4GBでデュアルチャンネル作動となる。ストレージは128GBのSSDと、光学ドライブはスリムDVDスーパーマルチドライブ。OSは64bit版のWindows 8だ。
グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4000。HDMI出力とミニD-Sub15ピンを備えている。液晶パネルは非光沢の14型。解像度は1,366×768ドットだ。従ってWindows 8のスナップ機能を利用できる。ただ残念ながらタッチ仕様では無い。
ネットワークは有線LANがGigabit Ethernet、無線LANがIEEE 802.11a/b/g/n。その他のインターフェースは、USB 3.0×1(Powered)、USB 2.0×2、SDカードスロット、音声入出力。USB 3.0が1ポートしかないものの、一通り揃っているため特に困る事は無いだろう。
SSD使用時はIntelラピッドスタートテクノロジーによる休止状態からの高速復帰に対応。また、Intelスマートコネクトによるスリープ状態でも定期的にメール受信する機能も搭載する。企業向けモデルらしく、TPMチップ(Ver.1.2)も搭載している。
サイズは339×243×22mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約1.76kg(基本構成時)。価格は、Core i5-3317U、メモリ2GB、HDD 250GB、DVD-ROMドライブ、Windows 8 64bitの標準構成で59,850円。今回の構成では77,700円となる。
またBTOによりカスタマイズが可能だ。OSは64bit版のWindows 8/Windows 8 Pro、32bitと64bit版のWindows 7 Home Premium/Windows 7 Professonalを選択可能。まだWindows 7を選択できるのは企業にとってポイントが高いだろう。
プロセッサはCore i5-3317Uに加えCore i7-3517Uがあり、メモリは2GB×1、4GB×1、2GB×2、4GB×2、8GB×2という構成が可能。デュアルチャンネル動作できるので2枚構成が望ましい。HDDとSSDは、HDDが250GB/500GB、SSDが128GB/256GB、そしてハイブリッドHDD 500GB(8GB SLC搭載)も選択可能だ。
先に書いた通り、光学ドライブ用のベイにはDVD-ROM/スリムスーパーマルチドライブに加え、増設バッテリもセット可能。より長いバッテリ駆動ができる。
無線LANは、無線LAN無し/IEEE 802.11a/b/g/nに加え、IEEE 802.11a/b/g/n+WiMAXも可能だ。
【お詫びと訂正】初出時、ACアダプタのコネクタをミッキータイプと記載しておりましたが、2ピンのメガネタイプの誤りでした。お詫びして訂正いたします。
天板はかなり濃いダークグレイで、ヘアライン仕上げされ渋い感じだ。その他の部分は全てツヤ無しブラックと非常に落ち着いたデザイン。厚さ22mmと比較的スリムでパッと見の印象もなかなか良く好印象。
左側面には、電源入力、ミニD-Sub15ピン、HDMI出力、USB 3.0×1(Powered)。右側面には、スリムDVDスーパーマルチドライブ、USB 2.0×2、音声入出力を装備。裏側はネジ7本外せば、容易にメモリやストレージにアクセスでき、メンテナンス性は高い。ACアダプタは超小型ではないものの、10.×45×30mmとコンパクトにまとまっている。
非光沢の液晶パネルは明るく発色も自然だ。視野角も狭くない。通常用途であればまったく問題無く使用できる。加えて最小輝度時もそれなりに文字が読める明るさを保ち、バッテリ使用時に省エネ駆動可能だ。できればオプションでタッチ機能に対応して欲しいところか。
14型なのでパームレストは十分広く、ストレージがSSDなので振動なども特に感じない。発熱に関しても部分的に何処かが暖かくなることは無かった。タッチパッドはマルチタッチに対応しており、Windows 8の操作が楽にできる。ボタンは物理的に左右2つに分かれているタイプだ。比較的軽くクリック感があり指が疲れない。
キーボードはアイソレーションタイプだ。キーピッチは一部狭くなっている部分もあるが、19mmを確保している。ただ軽く押しだけで全体がたわみ、筆者としては好みでは無いのが残念なところ。
サウンドはホビー用途では最大出力が不足気味。業務用途ならまずまず合格レベル。音質は可も無く不可もなく無難な感じだ。
●Core i5とSSDで高速作動OSは64bit版のWindows 8。スタート画面は2ページ構成でほとんど素のWindows 8に近い。デスクトップは同社お馴染みのショートカットが並んでいる。BTOでOffice系のアプリケーションなども選べるため、その時は、この2ページ目の部分へ追加されて行く形となるのだろう。
SSDはSATA 6Gbpsの「Hynix HFS128G32MNM」。プライマリパーティションと回復パーティションにそれぞれ16GB割り当てられているため、C:ドライブは約88GB。初期起動時空きは約64GBとなってる。光学ドライブは「Slimtype DVD A DU8A4SH」。有線LANはRealtek製、無線LANはIntel製だ。
アプリ画面は2ページ構成とあっさりしている。また標準以外でプリインストールされているWindowsストアアプリは「楽天gateway」のみと、少し寂しい状況だ。
アプリ画面1 | アプリ画面2 | 楽天gateway |
デスクトップアプリは、Corel WinDVD、PCお役立ちナビ、おすすめアプリケーションのインストール、電源管理ユーティリティー、Intel系ツール、Nero Express、マカフィーなど、Windowsストアアプリ同様、割と少なめ。
一方、かなり以前からプリンストールされている「PCお役立ちナビ」はWindows 8になっても健在。試しにと「スタートメニュー」で検索したところ、「Windows 8およびWindows RTでは、[スタート]メニューの代わり……。」と表示された。データベースは新しい環境に合わせて更新されている。
「電源管理ユーティリティー」は、今回から新搭載。画面キャプチャからも分かるように、電源プラン、充電設定、ピークシフトなどの各コントロールがこのソフトウェアだけで調整可能になる。非常に分かりやすくできているので是非活用したいところ。
電源管理ユーティリティー/電源プラン | 電源管理ユーティリティー/充電設定 | 電源管理ユーティリティー/ピークシフト |
PCお役立ちナビ | アンケートへのご協力のお願い |
ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックスとPCMark 7、BBenchの結果を見たい。参考までにCrystalMarkの結果も掲載した(今回の条件的には特に問題は無い)。なおWindows 8になってからWindows エクスペリエンス インデックスの最大が7.9から9.9へ変更となっている。
Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 5.5。プロセッサ 6.9、メモリ 5.9、グラフィックス 5.5、ゲーム用グラフィックス 6.4、プライマリハードディスク 8.1。PCMark 7は4834 PCMarks。CrystalMarkは、ALU 37736、FPU 35968、MEM 39818、HDD 42698、GDI 14274、D2D 1915、OGL 6140。
流石にSSDだけあって作動はキビキビ動き気持ちいい。スコアもかなり高めだ。またメモリ2GB×2のデュアルチャンネル作動が効いているのかグラフィックスも含めメモリ関連のスコアが若干高め。いずれにしても企業用途としては十分なパフォーマンスだろう。
BBenchは、省電力、バックライト最小、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、Wi-Fi/ONでの結果だ。バッテリの残5%で14,500秒/4.0時間。「超省電力」もテストしたが、ほとんど変わらなかった。
以上のようにエプソンダイレクトEndeavor NA601」は、14型でオーソドックスながらもBTOによりいろいろな構成が可能となるモバイルノートPCだ。特に光学ドライブ用のベイへ何も装着せず軽量化を狙ったり、セカンドバッテリを搭載し、長時間のバッテリ駆動可能なのが魅力的。
他社の個人向けモデルのように派手な演出は無いものの、企業用途でベースがしっかりした扱いやすいノートPCを探しているユーザーにとって手堅い1台と言えるだろう。